ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

レーン(Vn)シュタインコップ指揮大ベルリン放送管弦楽団(meloclassic)1942/4/9ベルリン放送スタジオ録音・CD

オールドスタイルの演奏であること、戦中の録音であることを考慮しても、雑。ドイツらしく音の入り方をゆるやかにせず明瞭にするのもいいが情趣は損ねられる(オケ)し、ソリストもふくよかな魅力のある部分は多々あるものの、解釈は一貫してない刹那的なもののようで、ごまかしているようなところや、30年代のSP一発録りのようにミスをミスのまま放置してかまわないようなところはどうかと思う。オールドスタイルなりの艶めいた音色の魅力はあるが復刻の際にノイズと共に柔らかな部分が取り去られて金属質にすら聞こえるのも痛い。終盤年なのかな、というような衰えた調子も聴こえる(ほんとうに年なのか調子が悪かったのか知らんが)。直前に聴いたフリードマンの名演とくらべての落差に驚いた。
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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

フリードマン(Vn)プレートル指揮ORTF(meloclassic)1964/1/13パリシャンゼリゼ劇場放送LIVE・CD

一世を風靡したアメリカのソリストというが、アメリカ人ヴァイオリニスト特有の型にはまったニュートラルさ(技術的な完璧さを含む)、現代的な解釈というのはあるとは思うが、言い表せない甘美な音色の魅力がある。三楽章など荒々しいとも言えなくもないが、軽やかで安定した明るい音(少しピッチ高めに取っているか)は金属質にも思えるがそれでも色気が宿り、フレージング、僅かな指のずらし、巧緻なヴィヴラートの掛け方に秘訣があると思うものの、この魅力は何だ?と言葉に窮するのが正直なところである。モノラルだがこの演奏をブルッフを理解しきったソリストによるスタンダードな演奏として推すのに躊躇はない。ラストの引き伸ばしはオケともども派手で良い。プレートルのバックはバックだな、という以上のものはない。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ミルシテイン(Vn)ロジンスキ指揮NYP(SLS)1944/12/31live

野太い音、完璧な技巧、即物主義スタイルで突き進む音楽には爽快感というか、ズシンとくるところもあり圧倒されるものがある。オケとのアンサンブルも完璧。テンポは突き進むのみで細かいニュアンスは無いが、箇所により奏法を変えて音楽の単調さを避ける3楽章など、聴きどころはある。録音は戦時中なりのもの。しかしSLSにしては良い。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

アンドラード(Vn)フレスティエ指揮ORTF(ina配信)1970/2/11放送 live

フレスティエのブルッフ?と首を傾げながら聴いたが、隈取りの濃いハッキリした音作り、またソリストの、この曲にしては荒っぽく音色にこだわらない表現とあいまって、野武士のような、というかドイツっぽいのか?クリアな録音ともども、太筆書きの演奏を、楽しむというよりは、聞いた。作曲上の師匠デュカス、自作にメインがラインというなんともボリュームたっぷりなコンサート。拍手無し。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○タシュナー(Vn)アーベントロート指揮ベルリン・フィル(ANDROMEDA他)1944/12/16ベルリン・CD

極めて悪い録音のせいもあろうが、この人の音が私は苦手だ。金属質で尖っていて、弾き方も非常にキレていて短い音符には全て激烈なスタッカートがついているようなもの(このキレぶりはバックオケも同じ)、音程は完璧だし音量もやたらとでかいのだが、指揮者で言えばライナーの直球をトスカニーニふうに揺らしたような、ごく小さくも効果的で板についたアーティキュレーションでこうじるさまは確かに技術的な凄みや解釈再現の完璧さを印象づけるものの、これは音楽なのだろうか、と思ってしまう。いや音色は録音のせいかもしれない。でも弓の毛をビチビチに張ってギリギリ押し付けるようなドイツ的な奏法はオケプレイヤーや教師としては魅力的な業師ぶりを発揮しようものだが、ソリストとしては、何かが足りない。というか、上手いなあ、と思っているうちにだんだん、いらいらしてくる。性急な演奏はこの人の持ち味のようで、つんのめったようなテンポ感がしまいには技術的な限界を超えてしまうこともあり、左手指がこんがらがったような演奏になったり緩徐主題がメロメロに崩れる(それも解釈と言えばそれまでだが)感も否めない。この曲はそこまで難しいものではないから単純な曲でこそ腕を見せ付けるこの人らしい魅力が、ブラームスのシンフォニーを奏でるように真剣で素晴らしいバックオケとのアンサンブルあいまって重量級の愉しみは提供する。だから○にはしておく。しかし、もっと潤いが・・・

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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ブスターボ(Vn)メンゲルベルク指揮ACO(MUSIC&ARTS)1940/10/27LIVE・CDクセのあるソリストに指揮者。異様なルバートの多用に最初はかなり抵抗をおぼえる。録音も途切れるところがあったり聞こえにくくなったりかなり悪い。ただ、こういう恣意的で前時代的なロマンティシズム溢れた演奏というものは今では絶対聞くことができない。その意味では貴重である。ここが肝心なところだが技術的には非常に高い。ソリストもオケも、メロメロになどならない。余裕があるのだ。3楽章など激しいアタックで目の覚めるような激しさ、聞きものだ。オケも完全にそのノリに付けていくから説得力が違う。ここまでオケパートの表情が豊かで尚且つソリストと絡み合った演奏もなかなか無い。かなり充実した聴感です。録音が劣悪なので○はつけられないが、マニアは聞いてください。2楽章の最後にも何故か拍手。このCDセットは93年初出と古いが店頭で見かけなくはない。CD-R化されているかもしれない。 ,

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○モルヴィッツエル(Vn)コンヴィチュニー指揮ベルリン放送交響楽団(ETERNE)LPちょっと単調な音色では有るが、このソリスト、ドイツ流儀で率直な表現を施し非常に聞かせる力がある。すべてちゃんと弾けるんだけど敢えて弾き崩す、みたいなところがどんなソリストでも必ずある曲だが、この人は細かい音符まで全部しっかり音にしている。じつにマジメ。もちろんバックはバリバリのドイツ流儀、堅牢で重量感ある表現はこの曲の古典性~たとえばオケとの掛け合いがモーツアルトふうであったりするところ~を引き出して面白いし、また安心感がある。今まで聴いてきた甘甘のロマンティックなブルッフと違う感じがして、ちょっと清新な感じがする。私の盤は状態が悪いのでちょっと不満も残ったし、二度めに聴いたときは結構飽きてしまった。でもこの盤は敢えて面白いと言っておきます。だってコンヴィチュニーのブルッフですよ。。,

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○クライスラー(VN)グーセンス指揮ロイヤル・アルバートホール管弦楽団(CEDAR)1924名人芸です。音がよければ(もっとバックオケがきちんと聞こえてきたら)確実に◎にしていたと思う。想像力をもって聴いて欲しい。クライスラーがいかに巧いか。ケレン味たっぷりのフレージングの嵐は今の演奏家が逆立ちしてもできない世界だ。これは感覚的な問題。練習してどうのこうのではなく、これはもうセンスがそのまま音となって出ているのだ。1楽章などとくにすばらしい。圧倒的と言ってもいい。クライスラーは演奏をとおして再度曲を作曲し直している。2楽章が少し平凡、3楽章は細かい音符が聞こえない(録音のせいかクライスラーがはしょっているのかわからないが)ので○にとどめておくが、ブルッフが作曲した当時行われていたであろう演奏様式を彷彿とさせる演奏、機会があれば聞いてください。,

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○オドノポソフ(vn)ゲール指揮オランダ・フィル(MMS)ウィーン・フィルのコンマスとして有名な奏者。音が単調で音程にやや不安を感じる所もあるが、語り口の巧さは抜群だ。息の長いフレーズに適度に起伏をつけて歌うことに長けたヴァイオリニスト。バックもしっかりしていてなかなかのものである。聞きごたえがある演奏。,

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

△クーレンカンプ(Vn)シューリヒト指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(RE!DISCOVER:CD-R他)1930若き?シューリヒト特有のうねるようにダイナミックな動きの上で、ソリストはなぜか音を外しまくり。解釈にこれといった個性はないし、フレージングはボウイングの都合でしかないし、いったいこの人はプロなんだろうか。艶のある音を出すならせめてシゲティ並に聞かせて欲しい。せっかく自在に動くオケをバックにつけているのだから自在に動いて弾いてほしい。ただたんに機械的な演奏、しかもヘタ。クーレンカンプはいい意味で機械のような技巧を駆使したソリストというイメージをかつては持っていたのだがこういう演奏を聞くにつけどんどん評価下落中。せめて若々しさとかないの?△。,

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○クーレンカンプ(Vn)シューリヒト指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団(ARCHIPHONE)1947

技術的な意味含め甘甘で、えんえんとレガート気味の危なっかしい演奏ぶりは好き嫌いが別れるだろう。ロマンチシズムの極みといえばそうで、フレージング起因でフォルムが崩れそうなところ遅いが揺れないテンポとオケの磐石の土台があってしっかり足場ができている。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

クーレンカンプ(Vn)シューリヒト指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(archiphon:CD-R)1947

SPからの単純な板起こしらしいが正体不明。継ぎ目があからさまでちょっとどうかという質。演奏自体は部分部分でじつに出来がバラバラで、もともとバラバラつぎはぎ演奏だったのだろうか?冒頭など重々しくいいかんじで始まるものの、3楽章の技巧的なフレーズで思いっきりよたっていたりムラがありすぎる。シューリヒトは「ドイツ臭い」感じでそれはそれでずしりとくる演奏ぶりがこのイタリアンな曲には特異さをおぼえさせ面白いが、いささかデジタルなアーティキュレーション付けが人工的に感じられる。クーレンカンプはいい音を出したものだが戦後は・・・うーん・・・無印。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○サモンス(Vn)ハーティ指揮ハレ管弦楽団(HALLE O)CD

サモンズの安定した技術がじつに素晴らしい。スピーディで一切の崩れもなく、音楽をどんどんドライヴしてゆく。古い演奏でいながらとても現代的なスマートなかっこよさがある。ハーティにもハレにも余りいい印象はないのだがこのSP音源音質でもサモンスと調和して共に補完しあうほどに上手く組み合っていることがわかる。オーソドックスという言葉はさいきんマイナス評価のように受け取られがちだが、敢えてプラス評価の意味でオーソドックスとしておく。いかにも灰汁のないイギリス的演奏の見本。ソリストもオケも。音色の統一感はこういう取り合わせでないと出ない。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

モリーニ(Vn)フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団(DG)CD

どうも四角四面だ。フリッチャイはドイツっぽさ全開で縦を重視した垂直に風の通りそうながっしりした構えを見せ、モリーニはその上で無難な演奏を繰り広げる。そうとうに自己主張する旋律をはなつ曲ゆえ、その自己主張をどう制御するかが鍵になるのだが、この演奏ではたんに面白くない方向にまとめてしまった、という感じが否めない。正直楽しくなかった。楽章間の曲想のコントラストもはっきりしない。無印。
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