ホルスト:合唱交響曲

ボールト指揮LPO&cho、パルマー(EMI/warner)CD

宗教色と民謡調の神秘的な融合をみせる深情的かつダイナミックな大曲で本質的にはこういうRVWと同じ方向を向いていた作曲家なのかとわかるし、合唱を主軸に置いているがゆえの単純な書法に、惑星を期待して面食らう向きもいるかもしれない。前奏曲と四つの楽章、事実上5楽章の曲で音楽的に組曲ないし連作歌曲集的だと思うが楽章no.が明示されている。今はホルスト録音集としてまとめてwarnerの安箱で出ている中に入っている(私は現物が入手できずデジタル配信で買ったが、圧縮音であることを差し引いても原音起因もあろうが録音が粗くまた茫洋とし、薄く靄のようなノイズが気になるので1985年のデジタルリマスターの甲斐のある盤買いをおすすめする)。薄い美観の中に木琴鉄琴の打楽器を入れてくるのはRVWとは異なるところで、激しい歌では民謡と同時にモダンさが立ってきて(このへんこの演奏では木琴がややついていけないなど鈍臭さがある)耳馴染み良いコード進行、独特の半音進行による旋律表現や音響的な派手さは惑星と同時にウォルトン熟年期のあざとさを想起する(惑星よりもユニゾンが目立ちさらに楽器法が単調にきこえるのはあちらが複数人で作り込んだためで、ホルスト自身はあの曲でもピアノ版から起こす時点ではこの位を考えていたのだろうか。単に長いからそう感じるのか)。管弦楽の工夫より、合唱のストレートな訴えかけを聴く曲で、だから合唱交響曲なんであり、表題もあまりはっきりしたものはないが、これはしかし「うた」なのである。たとえばボールトのイマジネーション溢れる音世界が生きてくるのは管弦楽なので調和の意味ではそこまで評価できない演奏だとしても、自発的に合唱が主張してくるよう、ホルストが書き込んだスコアの意味が、進むに連れてよくわかってくる。四楽章フィナーレにいたってつまりは、これはオラトリオだということだ。迫力ある音響で打ち出される、あの惑星でも多用された不可思議な音進行がこれはホルストなのである、と主張し、映画音楽的な轟を残しRVW的な静かな海へと帰ってゆく。いや、海というか、この神秘はやはり、宇宙なのだろうな。
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ホルスト:組曲「惑星」

作曲家指揮LSO他(koch他)1926/6-10・CD

新録のほうだが、ノイズがひどいため録音方式の進歩で録り直ししたといっても正直、さほど違いを感じないばかりか、オケのアラがむしろ目立ってしまい速い楽章ではヴァイオリンが崩壊しそうだったり、また人工的な操作が際立つ。情報量の増えると共に余計な物がたくさん拾われ凝縮力が損なわれるという、これはストコフスキーでもあった感想に近い(あそこまで露骨な変異はない)。情報量と書いたが基本同じ解釈で新味はないものの、曲によってはアーティキュレーション付けが色濃くかなり煽っているのがわかる。依然、音楽は天空に昇らず大地を踏みしめているが、「劇的組曲ティンタジェル」と題しても通じるような感覚で組み立てられた曲だったのはわかる。精神的ではなく肉体的だ。もっとも終曲はサラサラ流れるテンポの中で「スターウォーズだ!」という神秘的な景色(響き合い)をきらびやかに出してきていて、真意がどちらかわからなくはなる。この曲は噎せ返るような響きのうえに金属音が強くパラパラタラタラと、なかなかの心象的な表現だ。ここへきてRVWと肩を並べる神秘の音楽の表現を録音に残せたのか。全般やはり旧録とたいして変わらないが、楽曲毎の対比はより明確で、テンポやリズムより管弦楽のおりなす響きにとにかく拘った演奏。こちらの合唱はさすが明瞭にとらえられているが、断ち切れるような終わり方は残念。

ホルスト:無言歌~田舎の歌、行進の歌

作曲家指揮交響楽団(pearl他)1924/9/1,2/14・CD

いずれも小品だが二曲目がいい。田舎ふうの音楽でもホルストはどこかしら洗練させて聴かせることができる。

ホルスト:ベニ・モラ(東洋的組曲)op.29no.1

作曲家指揮LSO(pearl他)1924/2/14・CD

三曲からなるがこれは曲が悪い。何十年前ものフランスはおろかロシアの作曲家がさかんにやっていた東洋趣味を、まんま古臭く、臆面もなく出している。曲が悪ければ演奏も悪い、とは言わないが、それにしては演奏もパッとしないのである。ホルストが惑星のオーケストレーションの最中に日本からの依頼で日本組曲を仕上げたのは有名な話だが、東洋のイディオムを取り入れるのではなくそのまま使うというスタイルはここでも同じである。

ホルスト:セント・ポール組曲

作曲家指揮弦楽合奏団(pearl他)1924/8/22・CD

惑星の次に有名な曲だがRVWと親しかった、なおかつ民謡運動や新古典主義の影響下で簡潔なアンサンブルに力を注いだ一面がよく知れる。RVWとの違いはあくまで田舎臭さを演出することはなく、部分的には同時代の先端を狙ったようなところ(ラヴェルふうの不協和音や常識的進行を無視したコード、突然東洋趣味を取り入れたりする)、無駄のない創意の発露が楽しく聴き取れる。このアンサンブルはまた上手く、久しぶりにこういうのを聴いたが、ロマンティックの演出に一音一音ポルタメントをかけるようなことをやるのだが、リズムやテンポに一切の変調をきたさない。ハーモニーの微妙さもよく録れていて、ホルストの指揮の腕も確かめられる。

ホルスト:組曲「惑星」

作曲家指揮LSO他(pearl他)1922-24・CD

1926年にも録音しているが(しかしよく似ており組み合わせも一緒でノイジーな音質も近い)それだけ同曲への思い入れがあったということだろう。つんのめるような急くようなスピード、トスカニーニのように力強く、一部人工的にデジタルな変化が現れる以外基本揺れない。単純にSPの収録時間の制約上猛スピードで突進というのはこの頃は多かったようだが、響きの多彩さを強調するようにはっきり各声部を分離よくおさめており、吹込み口近くに代わる代わる楽器を近寄らせたりしたり色々しているのではないかと思わせるほど、大管弦楽曲のSP録音にしてはバランスが良く、ノイズを除けば聴きやすく分かりやすい。まだ録音技術の曲に追いつかない同時期、そうとう工夫して小編成をそうと分からないよう録音したもので、さらにCD化時のレストアで一層音のコントラストを強めているのは想像に難くないが。以上を念頭に置いたとしても、ホルストがリアルな演奏を志向しており、それは幻想的なものではなく、純粋な現代クラシック音楽の流れ、ドビュッシーではなくラヴェルや新ウィーン楽派のようなものを目指した具象性の無いものであることがわかる。録音制約上スコアは単純化されているようだが、一層ホルストの変な理屈や文学的説明を要しない「音楽」を聴かせようということが際立っている。天体も占星術もない、聴感は「大管弦楽のための組曲」のみである。そのためたとえばジュピターの俗謡がどうこうとか、部分部分よりも、組曲全体の醸す同時代性、戦争の世紀の不穏で攻撃的な空気を、よくまあこの時代に、という精度を誇るオケに伝え、録音させている。ボールトですら解釈し過ぎているのかもしれない。ホルストはこういう、変な例えだがプロコフィエフのような音楽を考えていたのだと思った。終楽章ではしっかり女声合唱も聴き取れるが、それすら単に楽器として扱っているようだ。

ホルスト:組曲「惑星」

バーナード・ハーマン指揮LPO他(decca)CD

左右の分離の強いステレオで最初は戸惑う。録音操作もあり、でもそれだけに音場の拡がりがあってしっかり圧もかかり、木管など細かい楽器の動きが明瞭で、スペクタクルでメロディアスな音楽がいっそう引き立ち、同時代クラシックの指揮にも積極的だった映画音楽家の「わかりやすくさせる腕」が光る。この演奏を惑星の決定版とする人がいるのもわかる。元より小編成、ほとんどピアノ四手版だったものに、非常に理解ある協力者らを得て創り上げた(米英ではしばしばある)大管弦楽曲であるからして、手を加えるのが通例なところもあり、火星についてもいきなり銅鑼が大きく鳴らされ続けて面白い。テンポはゆったりしていてじっくり横の流れに重い響きのうねりをのせて楽しませていくやり方で、しかし激しい曲で縦もそれほどしっかり揃ってないながらさほど弛緩を感じさせないのは、アタックを尽く激しく付けさせているからで、それ含めて効果の狙い方が通俗的と思われるかもしれないが、息遣いまで聴こえてくる明晰な録音(撚れている箇所もあるが)で各楽章の性格をはっきり描き分けてきて、この比較的穏健なテンポとアーティキュレーション付けの穏当さでも飽きない。木星は聞かせどころとみて力が入っている。土星では民族音楽要素と現代音楽的な金属音のコントラストを鮮やかに提示している(このトライアングルなど使った金属質の音響はホルストが好み神秘主義的に他の曲でも使った「常套手段」である。ラストの海王星では多用されている)。両大戦間の不安な空気を伝える曲でもあり、楽天的な中に空疎な勇ましさや夜の空気を漂わせる、構造的に複雑ではないながらも内容には重層的で、他の作品にみられないものが詰め込まれ、指揮者はすでにリヴァイヴァルしたスペクタクル作品と捉えてはいるが、ゆっくりしたテンポを崩さず内声まで音を余さず出し切らせているのは、答えはここにはないが、聴く者の中に何か立ち上らせようとしているのだろう…アイヴズの時のように。最後のクライマックス、軍隊行進曲となる天王星の過激で壮大な音楽、カラヤンもやっていたオルガンのグリッサンドで上り詰めてからの死滅するラストは一聴に値する。海王星で甘美さが戻るのが、原曲のせいとはいえ少し安っぽいが。スター・ウォーズといった感じである。無歌詞女声合唱に至っては宇宙戦艦ヤマトである。それでも、これは聴きやすい。長くじっくり楽しむ人向けである。

ホルスト:組曲「惑星」

ストコフスキ指揮ロス・フィル他(EMI/Capitol)?1956・CD

数々の一流オケを相手にしてきたストコだけあってこの外様相手だと相対的にオケの音が痩せて迫力不足にきこえ(1956年のステレオ録音だからと言って20年余の実験をへて、2年前に世界初の商業録音として満を持してレコード発売、直後驚いた各社競ってステレオに取り組むなか3トラック録音により、原音そのもの(僅かなノイズや曇り、レンジの広さ)を除けばほぼ現在の録音と遜色ない記録となっている。そこに原因は求められない)、カラヤンもやっているような(ストコフスキー・クレッシェンドや打楽器増強とか休符無視とか独特ではあるが)一部スペクタクル的改変を除き、むしろ音符を切り詰め即物的に演奏しており、そのくせテンポは標準的というかほぼ速めのインテンポで揺れず、なぜか響きは重心が低くドイツ的な純音楽志向すら感じさせ、バランスは良いが期待する以上のものは、デモーニッシュな天王星以外恐らく得られない。思い入れなくスコアに少し手を入れたものを再現させたような演奏だ。音色に魅力がないのは厳しい。LAフィル特有の映画音楽的な艶や雑味もなく個性的ではない。巨視的なドラマを作らず小技を除けば平板で、迫力でいえばストコフスキ自身のスタイルが押せ押せだった古いNBCライヴを取る人がいてもおかしくはない。このあと同曲の録音を残さなかったのはイギリスの作曲家と近しかったストコにしては不思議でもあり、セッション録音には何かしらレコード会社側の事情が絡んでいたとしても、ライヴ記録すらないのはボールトなのかカラヤンなのか、力ある指揮者に道を譲ったのか。といっても普通に楽しめるし、普通に聴くのに問題はない。さすがに60年以上前のステレオ録音なので最新のライヴを生で聴くのとは違うが。

ホルスト:組曲「惑星」

ボールト指揮LPO(EMI,warner)1978・CD

作曲家の友人でこの時代まで立派に演奏活動を続けられたのはボールトくらいではないか。豪華なサウンドを余すところなく盤に刻み付け、壮麗な世界を再現させることができている。ホルストの自作自演が原典版である、というような誤解は「交流のあった当人の演奏」ということで覆される、「スペクタクル」で良いのだ。落ち着いた演奏だがオケの相性のせいだろう、まろやかに自然に受け容れられ、巨視的な演奏として次第に引き込まれてゆく。見得を切らずさらさら流れる熟成された音楽に軋みもない。迫力の要求される曲では総力を効果的に出し切り、繊細な曲ではイギリスオケならではのほんとに細やかな音色で聴かせる。突進する演奏でも没入する演奏でもないからこれをボールトの第一に推さない人がいるのもわかるが、最晩年まで衰え知らずのボールトが一番良い録音で残した記録として初心者にもお勧めしたい。少し遅いのでブラスが怪しい部分もあるが、気になるならカラヤンでもどうぞ。

ホルスト:惑星

ボールト指揮ニュー・フィル(EMI/warner)1966・CD

サージェントとともに作曲家同時代人として指揮し続け、録音数では恐らく今もって史上最多であろうオーソリティ、ボールトの、晩年優秀録音でこちらと70年代とどちらのスタジオ録音をとるかは人によるだろうが解釈は同じ。最近書くようになってしまった演奏瑕疵についてこの板では一箇所あるように聴こえるが、演奏としてはオケが録音オケとして長けた(実演でもロンドン・フィルより上とみなされていたようだが)フィルハーモニア管の改名なので、どの方向から見ても演奏レベルは高いと言わざるを得ないだろう。古い録音はサージェントに水をあける野暮なものもあったが、あくまで譜面に忠実に実直にやりながら、ホルストの洗練された野心的なオーケストレーションが前提にあるからこそ派手で聴き応えがある。強弱の差が激しい録音なのでお気をつけて。カラヤンが復活させたオーケストラレパートリーとされるが、あくまで著名オケでデジタル録音したというだけで、英国では脈々と演奏録音され続けそれなりに聴かれてきた演目である。むしろ正統であろう。

ホルスト:ショート・フェスティヴァル・テ・デウムH.145

グローヴス指揮ロンドン・シンフォニー・コーラス、LPO(EMI/warner)1977・CD

短い合唱曲でストレートな歌だが、ヴォーン・ウィリアムズの「海の交響曲」あたりのオラトリオ風作品を想起する覇気ある調子で、オーケストラの充実度、プロフェッショナルに完成された書法は個性的ではないが一種これもホルストらしさと言える。呪術的なところや晦渋な響き、尖鋭さを求めたら筋違い。グローヴズ卿はこのボールトの「古風なオケ」からロイヤル・フィル&合唱団のように輝かしい響きを引き出している。Warnerのホルストエディションボックスに廉価収録された。

ホルスト:惑星

サージェント指揮BBC交響楽団他(EMI)1967・CD

ダイナミックレンジが広すぎる!音量変化が過度で、最弱音から最強音に動くたびに椅子から転げ落ちてしまう。ま、これは聴く側の環境の問題だろうか。冷たい音のオケのせいか、色彩感があり技術にも不足はないのに、どこかしら素っ気ない。大見得を切れとは言わないが派手な楽章の盛り上がりどころなのにサッサとインテンポで流したり、颯爽とした、という言葉をネガティブに転じたようなところがある。サウンドとしては面白く、そつない。だが個人的にはモノラル録音の方が魅力的に聴こえた。

ホルスト:惑星

サージェント指揮LSO(pristine/decca)1954

スピードと統制。加えて派手さもある。この指揮者のスタイルはけして中庸ではなく、演奏効果をスコアの要求する範囲内で最大限に上げ、お客様を喜ばせる、そういうものだと思う。惑星は長ったらしくどうしても前半楽章に視点がいってしまうが、サージェントも前半楽章ほど力が入っているように聴こえる、これは「曲がそうだから」であってサージェントのせいとも思わない。激烈な火星がもっとも聴きどころと言っても過言ではない。録音は同時期にしては良く、オケは厳しく弛緩なく、立体的に構築されている。ホルストの緩徐楽章に特徴的な高音打楽器が美しく効果的だった。

ホルスト:組曲「惑星」

○サージェント指揮LSO(decca/pristine)1954年のモノラル録音。CD化されてないと言われていたがpristineがずいぶん前に盤化&配信をしていた模様(同名のブログ(怪しい)が無料配信していたがアプリをダウンロードさせる形なのでやめといた)。ここのリマスタリングは定評あり、録音がよくないとの前評判をそこそこ覆しストレスなく聴ける。むしろこのころまでのオケはステレオ時代より厳しさも迫力もちょっと上なので、より楽しめたんだとおもう。火星の掴みだけで充分。mp3を選んだので次の曲では圧縮ノイズが耳にきつかったが、ロスレスのfrac でも、CD通販でも手に入るので、値は張るがそちらのほうがいいかな。

ホルスト:交響曲(未完)~スケルツォ

ボストック指揮ミュンヘン交響楽団(sc)おおまかには親友のヴォーン・ウィリアムズのアグレッシヴなほうの作風に近いが、オーケストラの鳴らし方、とくにブラスの扱いの巧さが光る。惑星より古典的だけど多彩な響きは聴かれる。補筆してるのかな

ホルスト:組曲「惑星」

○ボールト指揮BBCso(bbcMusicMagazine)1973/9/7プロムスlive・CD

重低音と前進性はボールトの他演と変わらず、オケが吠え突進する部分では圧倒される。一方楽章によっては野暮ったかったり「純音楽過ぎたり」感じる向きもあろう。木星の中間主題はエルガー的だ。ライブなりの瑕疵はある。

ホルスト:組曲「惑星」

○スヴェトラーノフ指揮スウェーデン放送交響楽団他(weitblick)1994/9/3live・CD

基本的な解釈はスタジオ盤と同じ。おっそいなあ、という楽章は遅いし、繊細すぎやしないか、という楽章は繊細の極み。だがスタジオ盤よりも緊張感があり、1楽章など重量感が迫力に昇華され、重すぎることはなく重戦車のような響きを堪能させる。リアルなロマンチシズムと細部まで透明感ある繊細な響きという点では終楽章。旋律にはロマンチシズムを残すが全体の響きはモダンな面をしっかり浮き彫りにしている。ブラスとティンパニの激しい扱いのみが取沙汰される人だがこの高性能なオケでは弦や木管に要求されている細かい動きがきっちり仕上げられているのもいい。なかなかの演奏。但し、ライヴなりの羽目を外したような解釈を期待したら裏切られよう。

ホルスト:組曲「惑星」

○ボールト指揮LPO他(smc)1956/9/20モスクワlive・CD

モノラル。最初はかなり即物的でさらさら流れるように進み、ブラスは迫力不足で抑制的。音量自体抑え気味の録音なのでここは余り耳を惹かない。中盤にやっとのってきたふうでボールトらしいバランスの良い重量感のある響きにのったホルストがすみやかに展開されていき、ブラスも張りが出て来るが、ライヴならではの難点か木管などにミスが聴かれる。こういうのはボールトでは珍しい。とにかく録音が力不足なので終盤の合唱も聞こえづらく、幻想味を損ねているが、もともとボールトの惑星は幻想よりもオケの純音楽的な部分を訴える指向がつよいのでそれはそれでいいのだろう。モスクワライヴというと西側オケの客演にはひときわ迫力をかもす演奏が多く期待できるものだが、これはしょうじき、ボールトの平均かそれ以下といったふうだった。拍手は盛大。

ホルスト:二つのヴァイオリンのための協奏曲

フーウィッツ、シリト(Vn)I.ホルスト指揮イギリス室内管弦楽団(LYRITA)CD

曲がよくわからない。二台のヴァイオリンを使う意味はわからないでもないが、絡みは単純で、中身はカイジュウで、書法的に何故そう書いたのかわからないような所も多く、最初と最後を〆める楽想は美しいが、名曲とは言い難い。曲への評価として無印。

ホルスト:フルートとオーボエと弦楽のためのフーガ風協奏曲

○グレーム(FL)ベネット(OB)I.ホルスト指揮イギリス室内管弦楽団(LYRITA)CD

完全に新古典主義に立った作品でホルスト後期らしい特徴のない室内合奏曲だが、このての曲が好きな人には受けるだろう。個性は無いがストラヴィンスキーのプルチネルラよりもずっと聴きやすい。演奏はイギリス室内管らしい透明感溢れる曲に適したもの。

ホルスト:惑星~Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ

○サー・アーネスト・マクミラン指揮トロント交響楽団(ANALEKTA/NAXOS/VICTOR)1942・CD

意外や意外、聴けるのだ。ねっとりロマンティックな惑星、金管が事故を起こすほどうねる、こんなものは聴いたことが無い。あるいはこのオケの鮮やかな色彩感を活かしたみずみずしい表現。ロシア人指揮者のようだ。録音は悪いし人により気持ち悪くて聴けないと思うが、私は耳から鱗が落ちた。ラヴェル派のホルストならやはり突き放した表現のほうが正統だろうが、こういうのもあっていい。ナクソスでオンライン配信中。

ホルスト:インヴォケーション

○J.ロイド・ウェバー(Vc)シナイスキー指揮BBCフィルのメンバー(放送)2011/8/11プロムスlive

ロイド・ウェバーは作曲家アンドルーの弟。この曲はチェロを中心とした室内編成の典雅な小品。ハープのしらべがホルストのフランス趣味を反映している。やや生硬なチェロだがアンサンブルとしてはシンプルな輝きを示すものとなっている。

ホルスト:セントポール組曲

○ボイド・ニール弦楽合奏団(HMV)1948-49・SP

いかにも英国民謡音楽に新古典的な編曲をくわえた職人的な弦楽合奏曲で、終楽章で1楽章が回想される段にいたっては少々飽きる。むろんRVWほどに割り切ってはいないホルストのこと、惑星を思わせる神秘的な和音がひょっと顔を出したり、フランスの一昔前の前衛を思わせる和声をちょっと入れてみたり、わりと若い人に人気があるのがわかる。SPでも素晴らしい録音でこの合奏団の求心力の強さとブレのない技量の高さをちゃんと届けてくれる。web販売されている音源では2楽章の原盤が悪く、そのあたりは何ともいえないが、ノイズ除去すれば十分今でも通用するだろう。○。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ホルスト:惑星~抜粋

○バルビローリ指揮NYP(whra他)1959/1/18live・CD

恐らくCD-Rで何度か出た音源と同じと思われる(むこうのデータが不確かなため断言はしない)。音は同じく悪いもののややリマスタリングしているようで立体感がある。曲を選びいかにも大衆受けする順番に再構成した、バルビしかやってないような抜粋だが、ダイナミックな起伏をつけて見得を切るような表現、威風高々旋律の雄渾朗々と流れるさまは中期バルビの真骨頂を思わせる。そういうやり方は表層的ではあるが、それにとどまらないところがあって、いわばブラームスのシンフォニーを描くような、ちょっとおかしくもしっかりしたところのある惑星に仕上がっていると思う。リズム表現の強く出る場面でテンポが少し停滞するのはいつものバルビだが個人的にはすっきりいってほしい感あり。○。

ホルスト:惑星抜粋

○バルビローリ指揮ツーリンRAI交響楽団(BS)1957/11/15live・CD

他録とされるものと抜粋も録音状態の悪さも似ていて疑問はあるが、荒々しい表現、あけすけなブラスは放送オケらしいところが聞き取れる。50年代の覇気が漲り独特の歌謡性が聴き易さをあたえ、けっこう面白い。金星の美しさは特筆すべきか。○。残響がややうるさい。

ホルスト:組曲「惑星」(1914-16)~ピアノ連弾(原典)盤

ゴールドストン&クレモウ(P)(新世界レコード/OLYMPIA)録音の輪郭がぼやけている。打鍵も柔らかく余り力を感じない。曲が曲だけに、火星などは仕方ないかもしれないし、いくら作曲家の手による編曲にして、管弦楽版よりも早く私的初演されたものとはいえ、単にピアノ曲としてはいささか単純にすぎる感がある。演奏解釈も非常に穏やかで、ダイナミクスの変化も余り聞こえてこない。表現という点では物足りなさを感じる。但し、音構造がすっきり見やすくなっているぶん、作曲家の意図したハーモニーの綾の美しさや、重層的な表現の面白味がはっきりと聞き取れ、細かい音符の端まで楽しめる。ジュピター以降の後半楽章の響き、また緩徐楽章の初期ラヴェル的な趣が聞き物だろう。夢見心地。イモージェン女史がピアノ初演時の父親とヴォーン・ウィリアムズの背中について語った言葉がライナーに併記されている。二人の暖かい仲をよく物語っている。エルガーの弦楽セレナーデのピアノ版や、ホルストの「ウィリアム・モリスの想い出に」等も収録。ホルストの同曲は最近補完録音が出た、「コッツウオルド交響曲」のエレジー楽章より作曲家本人による編曲版だ。私は何故か初期~中期スクリアビンを思い浮かべる。ショパン風に聞こえる。「惑星」の方がずっと魅力的に感じた。,

ホルスト:組曲「惑星」(1914-16)

ボールト指揮BBC交響楽団(HISTORY他)1945・CD 古い録音に残響を加えた廉価盤。まあ、この曲はいい録音で聞くに越したことはない。火星も録音のせいかぱっとしない(元々ボールトの火星はそれほど自己主張が強くないのだが)。最後の音の決然とした伸ばしに、がっと捕まれるものはある。録音が悪いため精妙な遅い楽章は殆ど鑑賞の対象にならない。さいきんはやりの木星など、このころのボールトの急くようなテンポが気分を煽りまま楽しめる。総じて無印。,

ホルスト:組曲「惑星」(1914-16)

作曲家指揮ロンドン交響楽団(pearl)1922-24 KOCH盤評参照,

ホルスト:組曲「惑星」(1914-16)

作曲家指揮ロンドン交響楽団(koch他)1926 音が貧弱で当時の録音技術の弱さゆえ編成もかなり小さく、薦められるとは言い難い。このことはホルスト自身の言葉としても伝えられている。録音場所も狭すぎて、バルコニーから指揮したとか。ただこの曲を「再発見」するのにこれほど好都合な音は無い。虚飾の無い響きが却って本質を浮き彫りにする。2枚は互いに少し違う表現だが、パール盤のほうは余りに音が悪く聞きにくい。木星中間部旋律の表現がエルガー行進曲風のところなどは、ホルストの音楽経験を物語っているような気がする。,

ホルスト:組曲「惑星」(1914-16)

オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団 結構粗い演奏だが、スペクタクル的な演奏とは一線を画した純音楽的印象を持った。,
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