カーペンター:組曲「乳母車の冒険」

オーマンディ指揮ミネアポリス交響楽団(victor他)1934/1

印象派(最盛期ドビュッシー)の影響を強くうけながらもアメリカ的主題・あっけらかんとした響きを伴う旋律を併せ持つ、20世紀前半の米国作曲界にて先駆的役割を果たしたと言われているカーペンター。日曜作曲家ゆえ数は多くないその代表作がこの25分あまりの管弦楽組曲になる。同SPは野村胡堂(あらえびす)氏が紹介されていたが、氏の啓蒙的趣旨において取り上げられた同作に、当時これくらいしか録音が無かったというのが実状であり、とりたてて名演だからというわけではないのは他の同時代音楽の録音についても同様である(ストコフスキーを夥しく紹介されているのもここに理由があろう)。聴くに作品の律動性は聴き取れるが(リズムのキレが素晴らしい)、抒情性を味わうには、音が弱過ぎる。ドビュッシーの夜想曲的な側面からの影響を楽しみたいのに、イベリアですらない無邪気なリズム音楽のみ耳に残る。オーマンディのすぐれた技術はききとれるが、ミネアポリスのオケの古い録音の多くがそうであるように、オケの力量ははかりかねる。そういった演奏である。
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カーペンター:交響組曲「七つの時代」

ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィル(ASdisc)1945/12/2放送初演ライヴ カーペンターの白鳥の歌だが、そうは思えないほど瑞々しい曲想に満ちている。打楽器表現がコープランドなどを想起するものの、はっきりとアメリカ音楽やジャズの影響を示している部分は少ない。無邪気なよろこびではなく、何か奥底に深いものを持っているかのようだ。諸所非常に美しいがこれはロジンスキの腕によるところも大きいだろう。行進曲などはどちらかというと欧風であり、エルガーやウォルトンを思い起こすが、より焦燥感があり、ハーモニーも特殊な印象を残す。特徴的なリズム音形が織り交ざるが、このあたりがカーペンターの個性なのだろう。ジャズ的な楽想にはあきらかにコープランドやグローフェふうの音楽が導入されている。やや気まぐれに進行する音楽をロジンスキは引き締まったオケによってぐっと凝縮して聞かせてくれる。いくぶん前時代的な神秘をもって曲は終わる。拍手はまあまあ。,

カーペンター:交響詩「海流」(1944改訂版)

ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィル(ASdisc)1944/10/8改訂版初演ライヴ アメリカ異色の印象派作曲家の作品。エルガーに学んだこともある日曜作曲家である。「海流」というとディーリアスの曲を想起するが、同じホイットマンのテキストを用い、同じく印象派の影響を受けながらも、より鈍重でドイツ的な趣をもつ作品になっている。中声部以下の音に偏重しているが、たまに海鳥の声のようなフルートが入ったり、ハープが効果的なアルペジオを鳴らしたり、ちょっと耳を惹く場面もある。ディーリアスやバックスのようないくぶん晦渋さもあるけれども、深い心象表現を含む、アメリカ的な能天気な音楽とは一線を画したものとなっている。ただ、音詩としてはいささか散漫である点も否定できまい。ロジンスキは適度に熱情的に、そつなくやっている。拍手はほどほど。 ,
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