カラーエフ:交響的素描「ドン・キホーテ」(1960、原曲57)

○ガウク指揮ソヴィエト国立交響楽団(MELODIYA/ETERNA)LPアゼルバイジャンの民族的作曲家カラーエフ。モスクワ音楽院出のショスタコ門下だそうだ。その音楽にはあまりショスタコふうのものは出てこないが、たとえばこの曲のような完全に「わかりやすい路線」にある作品にはショスタコが確信犯的に書いた映画音楽に通じる感覚が無くは無い。ちなみにこれも映画音楽からの編曲であるが、ショスタコを遥かに越え完全に旋律的で極限まで平易にてっしている。非常に垢抜けて綺麗な音楽である。その開放的な響きはアメリカ臭くさえある。また、冒頭などハーモニーにヴォーン・ウィリアムズを思わせる仄かな感傷性が込められていて印象的だ。プロコフィエフの轍を踏んでいることは確かだが、プロコフィエフのような「灰汁」が無い。それを美しさと捉えるか詰まらなさと捉えるかは好みによるだろう。私は非常に楽しめた。最後はコラール的な高弦の折り重なりかたがカラーエフらしい。それは微妙に不協和なひびきを産み出し、アイヴズの情景音楽を彷彿とさせる瞑想的な雰囲気を持つものである。ガウクのこれも珍しいステレオ録音だが、適度に豪放で楽しい演奏である。カラーエフは残念ながらソヴィエト崩壊を待たずして82年64歳で亡くなった。,
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カラーエフ:交響曲第3番

○バルシャイ指揮モスクワ室内管弦楽団(MELODIYA/ETERNA)LPこれなんてオリンピアでCD化してそうだがどうなのだろう。バルシャイの水際立った指揮が鋼鉄のように厳しいアンサンブルを組み立ててていくさまはとてもスリリングだ。とにかくこの人、同楽団と一時代築いただけあって凄い音を引き出す。弦のしょっちゅう軋む恐ろしく気合の入った音、とにかく高いテンションは溌剌とした1楽章からバリバリに発揮されている。不協和音を多用したゲンダイ曲だが(いわゆる「現代曲」ではない)明確な旋律が確認できる曲で、すこぶる構造的なところは寧ろ遅れてきた新古典主義といった様相を呈している。清新なひびきが特徴的で決して臭くならないのはロシアの作曲家としては珍しい。あきらかにヒンデミット的な晦渋さも秘めた1楽章のあと、2楽章はがらっと変わって実に美しい音から始まる。ハープシコードの響きがじつに美しく、穏やかな田園の風景が思い浮かぶ。これはカラーエフ出色の出来で必聴。ピアノも導入されていて、時々暴力的な響きが織り交ざったり同じところをグルグル回るようなリズム構造からしてもストラヴィンスキーの影響は明らかだ。それもかなり隔世遺伝である。ちょっとミヨーかもしれない。バルシャイはとても明快だ。3楽章は不協和音が支配する楽章だが、それでも尚どこか感傷的で美しい。この作曲家独自の美意識が伝わってくる。清潔な情感が心地いい。4楽章はふたたびヒンデミットである。冒頭のフーガからしてそのものである。だが、カラーエフの音楽にはヒンデミットやミヨーの肉汁の垂れるような音楽とは全く異なる「白さ」がある。バルシャイの指揮もそれを明らかにする。最後は謎の静寂で終わる。なかなかの力作だがロシア国民楽派を期待して聞くと完全に裏切られるのでご注意を。,

カラーエフ:3楽章のヴァイオリン協奏曲

コーガン(Vn)スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(ARLECCHINO/MELODIYA)1968/4/28LIVE・CDゲンダイ曲。併録のバルスコフよりもゲンダイ的でベルクぽい。速い楽章は圧巻で、よくこんなのさらう気になったな、という旋律性の無いただひたすらムツカシイパッセージの表現は凄まじく、コーガンの豪快な音楽を堪能できる。3楽章はちょっとウォルトンのチェロコンを思わせるところがあって、硬質なひびきの中にもいくぶんセンチメンタルな感触が無いことはない。でもまあ、曲としてはさほど魅力的とは言えないし、コーガンもテクニックばかり前面に立って音楽家性が薄い気もなきにしもあらず。無印。 ,
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