クレストン:弦楽四重奏曲

○ハリウッド四重奏団(testament他)1953・CD

不協和音塗れのガチャガチャした都会的な楽章を2つ看過すると美しい旋律をひたすら祈るように歌う3楽章に至るので我慢我慢。この楽章は立体的にきっちりアンサンブルしているのでただ旋律音楽というわけでもなく楽しめる。教会音楽ふうの終結をするところも何か意味を感じさせる。フーガから始まる擬古典的な四楽章もなかなか。ハリウッド四重奏団は無難か。

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クレストン:1942年の聖歌

○ストコフスキ指揮NBC交響楽団(scc:CD-R)1943/12/26live

クレストンはユダヤ人だったと思う。この曲はあまり口辺にのぼらないが如何にもな旋律はそっちの方向のものなのだろう。いくぶんバーンスタイン的でありブロッホ的であり、映画音楽的な効果の高い音楽である。ピアノが独特の呪術的な雰囲気を暗く盛り上げる。ストコフスキーは最高のオケを前にやりたい放題の運命をやったあとこれを演奏しているわけだが、結果として運命とは逆ベクトルの曲のランチキ性が際立ってきて、またこれが何とも言えないカッコよさとなり、結局、ショスタコフィナーレで終わる。○。

クレストン:サックス協奏曲

○アバト(Sa)ストコフスキ指揮ハリウッドボウル交響楽団(scc:CD-R)1945/8/26live

リズムはクレストンらしさに溢れたアメリカアカデミズムに則ったものだが、かなり技巧的なサックスを聴いていると、何故かグラズノフ晩年のアルトサックス協奏曲を思い出す。何か古臭い。録音が鄙びていて、サックスの音も同じように鄙びて聞こえるせいか。一楽章は意外なほどサックスである必然性を感じなかった(テクニカルな面は除く)。二楽章はガーシュイン風味の空疎な不協和音の上をサックスの憂愁の旋律が流れアメリカだなあという雰囲気。録音が悪い。しかしここではサックスソロが活躍し、安定した技巧を聴かせるのはよい。音色変化を録音が捉え切れないのが痛いが、サックスは音色変化がそれほどハッキリ聴き取れる楽器でもないか。細かいヴィヴラートは美しいが、サックスというより木管楽器のような音に録れている。ストコフスキーは意外と新作に関しては弄る指揮者ではないので、ここでもあまり主張して来ない。バランスよく安心して聴ける。しかし楽章ごとに拍手が入るのはもうこのオケの聴衆では仕方ないのか。三楽章はいきなり引っ掛け気味の細かく攻撃的なサックスソロから始まり、トリッキーなリズムの交錯こそクレストンらしさだろう。オケとの丁々発止のやり取りが楽しい。サックスの特性かどうしてもアクセントが軟らかくなって鋭い音の表現にやや物足りなさを感じるところもあるが、緩徐部では美しい歌を聴かせる。しかしまあ、完璧に古典楽器としてサックスを扱っており、やや世俗的な旋律においてもキッチリキッチリした楽譜が外れた表現を許さないから、サックスにちょっとジャズを期待する向きには薦められない。曲としてはあくまでサックス演奏技術を確かめる類のものだろう。

クレストン:フルート、ヴァイオリンと弦楽オーケストラのためのパルティータ~Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ

○ベイカー(fl)ウィルク(Vn)ストコフスキ指揮CBS放送管弦楽団(SCC:CD-R)1954/2/21放送live

新古典主義にたった作品だが冒頭の音線がずれているほかは擬古典様式で、当たり障りのない透明感あふれる作品。ストコフスキはとくに難しさもなくすんなりやっている。

クレストン:合唱曲風舞曲第1番、第2番

○ゴルシュマン指揮コンサート・アーツ管弦楽団(Capitol)LP

この作曲家は保守的でメタ音楽的な作風をもち、この曲も正直昔のアメリカ産ソープドラマのような匂いがきつい。といっても悪いのは節操の無い「引用」に人工的で「モザイク的」な継ぎ接ぎ方法であり、陳腐ではあるが充実した書法は手管として持っている。明らかにラヴェルのダフニスや高雅で感傷的なワルツの響きと動き、ストラヴィンスキー野蛮主義時代の作品の僅かな部分、それに新ウィーン楽派ふうの響きなど同時代というよりは前時代的なものの「良質な部分」を持ってきて、それをドビュッシーの「選ばれし乙女」ふうにまとめている・・・といったら褒めすぎか。でも、こういう曲を聴きたくなることはある。○にはしておく。ゴルシュマンの曇った響きはこの曲の重さをひときわ重く感じさせる。

クレストン:舞踏序曲

◎カンテルリ指揮NYP(ASdisc)1956/3/18LIVEクレストンは生前から、そして今も人気の有るアメリカの作曲家だ。聞く人が聞けばその作風はショスタコーヴィチを予言したとさえ言い切れるらしい(年齢はいっしょ)。私には清々しいがせわしない「アメリカ音形」の上に美しい中欧的な旋律(もしくは映画音楽的な旋律)を載せたもののように聞こえる。和声的には重厚であるもののそう感じさせない楽器法のたくみさと言おうか、シャープで構造に無駄が無く、薄すぎず厚すぎず絶妙だ。もとはイタリア系だそうで、楽天的な曲想はそこからくるのだろう。この曲ではオルガニストだったとは思えない管弦楽法の巧みさを感じる。優等生的管弦楽法と揶揄することもできなくはなかろうが、曲想の美しさはアメリカの心を表現するに十分であり、コープランドですら生臭く感じるほど洗練されている。この曲は題名のとおりリズムの饗宴。最後のまさにコープランド描く西部の田舎踊りのような軽打楽器にのってちょっとジャズ風にリズミカルに演じられるクライマックスではとにかく理屈抜きに肩を揺らさせられる。盛大な拍手。カンテルリの水も切れるような鋭い指揮にも括目。曲がいいし、演奏もいいのだから、◎にしておくべきだろう。録音?こんなもんでしょ。,

クレストン:二つのコーリック・ダンス~第2番

○トスカニーニ指揮NBC交響楽団(GUILD)1942/11/1LIVE・CDトスカニーニのアメリカ音楽ライヴ集より。クレストンの曲はリズミカルでコープランドのアンファン・テリブル系。この曲は短いせいもあって、比較的素直な書法によっておりとくに後半とても楽しめる。世紀初前衛系の硬質な響きが特徴的な作曲家だがここでは晦渋さは前半のハーモニーに感じられる程度。ピアノを舞曲の下地に置くことによりリズミカルな音響を際立たせる方法はストラヴィンスキー後の流儀。コープランドも得意にしていたものだ。今はむしろショスタコが有名か。いずれにせよアメリカ20世紀前半様式の典型を示すものとして評価されよう。これがトスカニーニでなかったなら、好印象はなかったかもしれない。引き締まったリズムときっちり整えられたハーモニーが耳馴染みを良くしているのは確かだ。トスカニーニ向きの曲と言えるかも。,

クレストン:二つのコーリック・ダンス

カンテルリ指揮NYP(ASdisc)1952/11/29LIVE・CD 曲が兎に角地味なので、なんとも言えないのだが、カンテルリをもってしても暗中模索的な感じで終わってしまった感がある。クレストンのオルガン的発声は至る所で顔を出しているが、曲想と微妙にズレており違和感を感じる。踊るには重過ぎる。晦渋・・・。無印。 ,

クレストン:二つのコーリック・ダンス

カンテルリ指揮NBC交響楽団(ASdisc)1952/11/29・CD NYP盤評参照,

クレストン:交響曲第3番

○ハワード・ミッチェル指揮ナショナル交響楽団(ワシントンDC)(WESTMINSTER)1954初出 1楽章が面白い。静謐で精妙な序奏部からぐっと耳を引き付けられる。やがて主部では派手な音楽のはじまりはじまり。弦が刻んでブラスが叫ぶ。近代対位法の教科書通りと言うこともできるが、そのあからさまさが却って魅力を感じさせる。旋律もすばらしい。ハンソンに匹敵するわかりやすさだ。でもあれより余程構造的に書かれていて、変化に富んでいる。緩徐楽章はあまり記憶に残らないが、終楽章の盛り上がりも、終わり方も何度も何度も念を押すような粘着気質、無論音楽自体は新古典以降のものだから決して半音階的で濁ったロマン派音楽とは違う。聴いていて、私はふとウォルトンのシンフォニーを思いだしていた。あの書法に似ている。相互関係があったかどうかわからないが。。ハワード・ミッチェルは作曲家と親密な関係にあったそうで、この録音を聴いて謝辞の手紙を寄せたそうである。ミッチェルはアメリカ国内の活動を主とし、デビュー後ずっとポップスオーケストラを振っていたとのこと。前へ前へ行くテンポ(ときに勝手にオケを走らせてしまうような)はそのへんが関係しているのかもしれない。,

クレストン:交響曲第2番

モントゥ指揮ニューヨーク・フィル(NYP)1956/1/22放送LIVE モントゥの鮮やかな棒さばきが楽しめるが、曲がなんとも言いようのないもので・・・結局わけがわからない。もっとリズム性を前面に出せば面白かったろうに、この作曲家、大部分を繰り言のような緩徐部で覆ってしまった。名曲とは言い難い。モントゥの奮闘も空しい。演奏の評なのか曲の評なのかよくわからない書き方になってしまったが、いずれにせよ無印。アメリカっぽい曲ではあるけど。,

クレストン:交響曲第2番

ハワード・ミッチェル指揮ナショナル交響楽団(ワシントンDC)(WESTMINSTER)1954初出 うーん。アメリカン。アメリカの20世紀作曲家の典型だ。その道には既にコープランドらが轍をつけているわけで、若干重厚で目が詰まった音楽ではあるが、とっぴなところは何一つ無い。旋律の魅力と単純なリズムの楽しさ、それだけでも十分か。録音が古いので今一つ和声の妙味が味わえないのが残念。ピアノの導入が面白い効果をあげている。無印。,

クレストン:交響曲第2番

モントゥ指揮NYP(DA:CD-R)1955/11/20放送live

ややオケのデップリ感が出てしまったか。NYPらしい暗く重いロマンティックな芸風がこの曲の半音階的で暗い側面を引き出してしまっている。ストラヴィンスキーのバーバリズムの影響が強い楽曲でもあり、整理して綺麗に響かせればモントゥだからうまくきかせられるはずなのだが、シェフが同じでもタイミングによってはこうも印象が変わるものかと思った。終楽章の激烈な舞踏音楽は確かにNYPの威力が発揮されているがどこか揃わない感もある。何より音がくもって悪い。相対的に無印。

クレストン:交響曲第2番

○モントゥ指揮オケ名不詳(NYP?)(DA:CD-R)1956/2/24放送live

クレストンは案外人気のあるアメリカ穏健派の作曲家で舞踏要素はコープランドに似ながらももっとアメリカ・アカデミズムに忠実な聴き易さと映画音楽的描写性を持ち合わせており、ハンソンやウォルトンを彷彿とするロマンティックな側面も垣間見せるまさに「アメリカ穏健派」の健全な交響曲を、しかしマンネリズムに陥ることなくけっこう複雑に聞かせることのできる人である。振る人によって曲評価が分かれるであろうことは明確だが、モントゥなどもうまさにうってつけであり、前半楽章の暗い中にも透明感のあるロマンティックなパッセージにはもたれることの決してないドライヴがきいており、舞踏楽章など猛烈にリズムを煽りモントゥらしさ全開のほんとに「クレストンが恐縮するくらい素晴らしい」演奏を繰り広げている。最後は少し失速してしかしきちっと締める曲ではあるが、モントゥはそこも的確にまとめて交響曲らしいまとまりを見せている。バンスタあたりがやったらどうなっただろう?恐らくのるかそるか、ロマンティックな側面をあおりすぎて一部信望者しかついていけないものになったか、リズムがグダグダになり曲自体台無しになったか。強引にミュンシュ的に突き進んだとしても、舞踏が主要素となるクレストンの交響曲においては舞踏伴奏のプロに任せるのが正解だろう。録音はいくぶん新しいが一般的水準からいえば悪い。オケ激ウマ。アンサンブルがここまできちっとかみ合って水際立った丁々発止を聞かせられないと曲の魅力が出ないのはウォルトンなんかもいっしょだが、ウォルトンの難点はスピードを出せないほどにパートを別けすぎているところなんだよなあ。サンフランシスコあたりの新鮮な音にきこえなくもないが恐らくNYPの調子のいいときの音だろう。○。

クレストン:トッカータ

○ストコフスキ指揮ヒズ・シンフォニー・オーケストラ(CALA)1958/9/25カーネギーホールlive

さすがにアメリカ(イタリア移民だけど)を代表する20世紀作曲家の一人、個性のきらめきはこんな短い曲にも明瞭に現れている。単なる能天気な舞曲ではない響きの交錯に耳を奪われる。リズムも単純ではない。場面展開が速くストコフスキの面目躍如なめくるめく万華鏡の気分が味わえる。ラテンな雰囲気を感じさせながらも決して旋律の美しさや特有の色調だけに逃げることはなく、やたらがちゃがちゃ混乱した場面があると思えば信じられないほど美しくそこはかとない情趣を込めた楽想も現れる。音線の処理がアメリカにありがちな当たり前の定石どおりではなく、音程やリズムを微妙にたくみにズラしたりして飽きを防いでいる。高度の、だからこそ面白いアンサンブルが要求されているが、ストコフスキのパワーオーケストラはまさにうってつけだ。ヴァイオリンがちょっと辛い場面もあるけど引き締まった指揮でなんとかなっている。総じて映画音楽的と揶揄したくなる人もいようが、その想像しているところの映画音楽自体この人たちが作ってきたものなので本末転倒です。ジョン・ウィリアムズに至る流れはいろいろあるんです。雑音注意。○。
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