モソロフ:鉄工場

ユリウス・エールリッヒ指揮パリ交響楽団(COLUMBIA)SP

さすがフランスの楽団、いいふうにまとめてくる。サバータの演奏がこんな感じだったか。ハッキリと鉄工所の器械の動きを音楽にした、ということなのだが、でかいだけで使い物にならない製品ではなく、小粒ながら精度の高い品質を担保してくれそうだ。楽団の音に魅力はあるが指揮者は見えてこない。
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モソロフ:鉄工場

デルヴォ指揮パリ音楽院管弦楽団(EMI他)

機械趣味というのはドヴォルザークの頃から作曲界では顕著にみられるが、20世紀に入ってほどほど経つと無邪気な工業賛美に時代の流行である野蛮主義やら騒音主義の作風を取り入れた作品が一時的に流行る。ロシアアバンギャルドの代表的なこの3分作品はプロコフィエフの鋼鉄の歩み以上に有名であり、ミニマルな律動がサティのパラードを思わせるダダイズムに見せかけ、じつは厚い管楽器と打楽器の組み合わせたちゃんとした作品であり、このコンビで聴くとほとんどオネゲルのパシフィック231である。オネゲルはバッハに倣ったいわゆる新古典主義にたっているからして本来的には対照的であるはずが、聴き流すぶんにはほぼ似通ったひびきと構成を持つように感じられるのが面白い。オネゲルは先行作品である。ちなみにラヴェルもダフニスにウインドマシーンを取り入れ音響要素としての機械に興味を持ち、航空機趣味、戦時中はトラックを運転していた、音楽家はけして部屋に閉じこもって書いている人種ではもはやなかったのであった。話ずれたが、本当の未来主義音楽にくらべればぜんぜんまともであり、国家が抑制して完全転向せざるをえなかったのはモソロフの不運。この作品でしか名を残せなかったのは悲劇である。

モソロフ:鉄工場

○クアドリ指揮ロイヤル・フィル(westminster)LP

クアドリらしい派手な突進が聴ける。とはいえモノラルなこともあり、音響が拡散していくことはなく、オネゲルの231をやるように直線的な構成をとっている点ききやすい。若干唐突な終わり方が気にはなったが。○。

モソロフ:鉄工場

○スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(venezia)1981studio・CD

どうやら新発見音源らしい。知る限り同曲ライヴがMELODIYAから出たのみでスタジオ録音があったとすれば、未発売か抱き合わせで一瞬出て廃盤になったものと思われる(この盤の前半に収録された同年録音がそれだろうか)。遠くやや弱く、けして凄く良い録音ではないがロシアの正規盤の水準ではあり、安定したノイズレスな音で、最盛期スヴェトラコンビの筋肉質の力強い演奏ぶりを楽しむことができる。ロシアアバンギャルドの象徴のように言われる騒音主義の影響を受けた短い曲だが、ノイジーな部分はクラスター状の合奏部に僅かに残るくらいで、リズムはまさに鉄工場で規則的に打ち下ろされる大鉄槌の、実に単純単調なものにすぎない。ストラヴィンスキーやプロコフィエフの前期にくらべれば遥かに耳なじみよく(オネゲルみたいな明快な旋律線を設けないのは同時代けして珍しくない)、短く骨太の描写音楽であり、工場労働者を賛美する社会主義国家がこれを否定するのはモソロフの真意を汲んでとかいったことではなく、単に趣味だろう。甲乙つけがたいが、聴きやすいのはライヴ盤よりこちらかもしれない。もっと拡散的でスヴェトラらしいアバウトな豪快さが聴きたいのならライヴ盤を。○。このモソロフ集は転向前後を比べることのできる好企画。いずれ才能ある惜しい作曲家だったことがわかる。

モソロフ:鉄工場

サバータ指揮E.I.A.R.交響楽団(EDUCATIONAL MEDIA ASSOCIATES) オネゲルのパシフィック231を思い起こして欲しい。つまりはそういった発想の描写音楽なのだ。「未来派」音楽とされているが、不協和音を多用するモダニズムの一派ではあったけれど、決して未来の音楽を描いていたわけではない。特徴的とされる「金属板の音」は、この演奏ではあまり聞こえてこないし、それほど効果があるとも思えない。ホルンの奏する旋律はいかにもオネゲルふうだ。5分程度の曲。モソロフはロシア・モダニズムを代表する一人であったが、批判をへて転向し平易な作風をとるようになった。 ,

モソロフ:鉄工場

○スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(SCRIBENDUM/MELODIYA)1975/10/2LIVE この曲の演奏ならもっとハデハデにやってほしい。ちょっと漠大になっているきらいがある。破裂音が開放的で内部に凝縮されないから、どうも中途半端に聞こえる。サバータのように整理して純音楽的にやるか、アイヴズを演奏するようにクラスター状態に仕立てるか、そのどちらかにしてほしい。パワーだけはあるから、面白い部分もあるが、それもどうも最高レベルまではいっていない様子。おまけで○。,
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