リゲティ:ロンターノ(1967)

○ブール指揮南西ドイツ放送交響楽団(LIVE SUPREME:CD-R)1970 美しい曲です。シェーンベルクが聞いたらどう思うだろう。徹底してスラーのかかった音価の重なり、時折トレモロがささやきあるいは呟く音楽。子虫が蠢いているようなトレモロ、と書くと怪奇音楽に聞こえてしまうかもしれないが(まあたしかにリゲティは「2001年宇宙の旅」や「未知との遭遇」の怪奇現象発生の音楽に使われて(剽窃されて)いたのだが)、ひたすらに気高く美しい光明の中でその蠢きは心象の微妙な揺れを示すことはあれど独特の雰囲気を壊すものにはなっていない。繊細なハーモニーには宗教音楽的な趣もある、無論キリスト教会の雰囲気だ。もっとも短い曲だからとくに身構える必要もないし、何か起こるような不安感を抱いてもそれは絶対に起こらないから安心して聴いてください。録音が悪いのが痛い。スラーのかかった高い音がマスターテープのせいで微妙に途切れ途切れになってしまっている場所がままある。演奏の精緻さをとって○一つつけておくが、録音にご注意ください。そうそう、雰囲気の点でいうとアイヴズの4番シンフォニー前半楽章の静謐な緩徐部の感じによく似ている。いわば20世紀の印象派音楽のありようのひとつを象徴している作品のひとつだ。ブール独特の透明感がいっそう曲の雰囲気を際立たせているところも秀逸。こういう曲を振れる指揮者ってほんとにすごいと思う(一方で単純なプロコなんかを演奏したりしているわけで)。最近亡くなったそうで。 ,
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リゲティ:ロンターノ(1967)

○ブール指揮バーデンバーデン南西ドイツ放送交響楽団(col legno)1967/10/22ドナウエッシンゲン音楽祭初演LIVE・CD非常に清澄で美しく、また仄かに感傷的な音楽である。アトモスフェールと比べてざわざわするような不安感が余り無く、瞑想的で、かついくぶんわかりやすすぎると感じるまでの耳優しい響きが最後まで頭を揺らす。先ごろ亡くなったブールの指揮も冴え渡っていて初演とは思えぬ板についたところを聞かせる。パリの窓外の教会の風情を音にうつしたそうだが、まさに情景音楽というか、「空気」をそのまま音にしたような音楽である。○。,

リゲティ:アトモスフェール

○ロスバウト指揮バーデンバーデン南西ドイツ放送交響楽団(col legno)1961/10/22ドナウエッシンゲン音楽祭初演LIVE・CD 2001年宇宙の旅で使われて有名になった不可思議音楽。心の底を掻きむしられるような気味の悪い響きから眩いばかりの光の和音へと至るスケールの大きさには圧倒される。未知との遭遇でジョン・ウィリアムスがパクったのも頷ける神秘の渦だ。やや騒々しく洗練されきっていない感もあるが、ロスバウトの感覚はマーラーを振る指揮者とは思えないほど鋭く鋭敏で、この現代の印象派音楽の輪郭を非常にくっきりと描き出している。感傷はないが純粋な音はある。録音がいまいちなので○。,

リゲティ:ロンターノ

◎ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団(PROFIL)1987・CD

響きのバランスが素晴らしく、音は鋭いながらもどこかしらロマンティックな流れのある音楽的表現が魅力的。このオケ特有の重さがなく、宙ぶらりんの幻想的な世界が描かれる。ただ拡散し収縮しを繰り返す音響世界はちょっと前時代的な幻想の気もして、それは奇を強調しないヴァントの表現ぶりに起因するのかもしれないが、楽しめた。◎。

リゲティ:二台のピアノのための三つの小品~3楽章

○アブドゥラーエフ、ナルトシャン(四分音ずらした二台ピアノ)(A&E)1988/12live・CD

この編成はアイヴズ以降けっこう普通にあるが、アイヴズやアロイス・ハーバが「新しい音」として微分音響をかなりずらしたり衝突させたりアグレッシブに使っていたのに対して、リゲティのこの曲では正確に重ねられ音響的に使われており、殆どそれと感じさせない微音的な、繊細な印象をあたえる。ナンカロウの機械ピアノ作品に似た調子で、反復音階が少しずつずれていって計算ずくの美しいひびきの綾を生み出していくさまは、さすがカッコイイ。つか、ナンカロウを洗練させて人に演奏させたらこうなったってかんじではある。最後は凄い指の回り方。とにかく、こんな計算のできる人はやはり、立派なアーティストであると思う。アイヴズの静謐なほうのピアノ曲を聴き易くした感じといったほうがいいのかな。現代美術インスタレーションのバックに流すにしてはちょっと色がありすぎるかもしれない。演奏すごいね。
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