シェバーリン:ロシアの民謡主題によるシンフォニエッタ

○ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(OLYMPIA)1954・CD モノラル。戦後の作品だがもろ社会主義リアリズムといった感じで、20年前の作品より更に50年溯ったような古臭さがある。この曲に対しては依然「ロシア国民楽派」という称号が相応しい。それを念頭に置いた上で、尚結構楽しんで聞くことができる。ガウクはちょっと野暮ったいが力感はあり聞きごたえは十分。ロシア民謡を使用しているとはいえロシア流儀の田舎臭さは少ない。民謡の使い方としては寧ろヴォーン・ウィリアムズあたりに近い。ヴォーン・ウィリアムズの民謡編曲は卑俗な主題と華麗なオーケストレーションというミスマッチの妙が一つの特徴となっているが、この曲もそのケがある。旋法的な旋律廻しも似ている。ソヴィエトのシンフォニエッタといえばミャスコフスキーの名作が思い浮かぶが、あの曲の描く暗い幻想とはまた違った明るい美感を持つ作品とは言えるだろう。迷ったが○としておく。,
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シェバーリン:ホルンと管弦楽のためのコンチェルティーノOP.14-2

○ボリス・アファナシエフ(HRN)アノーソフ指揮ソヴィエト国立放送交響楽団アンサンブル(OLYMPIA)1962・CD ヴァイオリン小協奏曲に比べればいくぶん落ちるような感もあるが、ソヴィエトには珍しいホルン協奏曲であり、ロシア独特のホルンの音色を楽しむ事が出来る。といっても12分16秒の短い曲、ホルン自体音域が低くイマイチオケに埋没してしまうというか地味感があって記憶に残りにくいところがある。作風はやはりプロコフィエフ風で、新古典主義の色に染め抜かれた作品といえよう。アノーソフはどこか野暮ったい指揮者だがここではまあまあ。オケは巧い。迷ったが○としておきます。,

シェバーリン:ヴァイオリンと管弦楽のためのコンチェルティーノOP.14-1

○シュルギン(Vn)プロヴァトロフ指揮ソヴィエト国立交響楽団アンサンブル(OLYMPIA)1978・CD 10分強の小規模な作品だが30年代の流行りの音楽をよく伝える楽曲である。モダニズムふうの無調的パッセージがもろプロコフィエフの作品のように響いて耳馴染みが良い。ソヴィエトにありがちな曲といえばそうだが2楽章の古風で旋法的な音楽の魅力はどうだろう。私はこれを聴いていて寧ろヴォーン・ウィリアムズの澄み切った感傷的な音楽を想起してしまった。この時期のシェバーリンはけっこうフランス音楽やバロック以前の音楽に影響を受けていたようで、ソヴィエト音楽としてはちょっと不思議な肌触りがする。プロコフィエフやカバレフスキーに近いことは近いものの、あからさまな表現を避けており、民謡旋律も決して前面に立って主張することはない。このラルゴ楽章はシェバーリンの白眉たるもの、一聴の価値がおおいに有ります。バッハからイベールまで取り込んだ長い長い旋律に、伴奏はひたすら後打ちで感傷的なハーモニーを重ねる。最初から最後までえんえんとソロ・ヴァイオリンが歌うだけの楽章、最後にちょっとチェロ・ソロが絡みますが、ほとんどそれだけの単純な構造がまた泣かせる。3楽章はふたたびラプソディックで激しい音楽になるが、短い。ちょっと最後が物足りない気もするが、きっぱりとしていて潔い。簡潔な楽曲に○ひとつ。ソロは微妙に不安定になるところもあるがおおむねソフトな音色で聞かせます。,

シェバーリン:マヤコフスキーの詩「ウラジミール・イリーチ・レーニン」による劇的交響曲

ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団他(OLYMPIA)1960・CD

録音状態はモノラルだが良好。ガウクにしては最上のたぐいだろう。曲はレーニン賛歌で特に意識して歌詞を聞く必要はないというか、聞かないほうがいい。音楽の本質を捉えるのにしばしば歌詞は邪魔である。曲的にはほんとに劇的って感じ。ブラスが吼えまくりチャイコフスキー的な盛り上がりやミャスコフスキー的な感情の揺れをわかりやすく聞かせてくれる。派手だし、比較的短いのも聞きやすさを助長している。これまたプロレタリアート賛歌な歌唱が入ってくると結構マーラーの千人を思わせる雰囲気が漂う。壮大でかつ神秘、というと誉めすぎ以外の何物でもないが、確かに聞かせる技は持っている。総じて技巧に優れたロシア音楽の優等生、という感じ。モダンな時代の人だから19世紀民族主義物が苦手なクチでも聞けると思う。もっともショスタコ中期も受け付けない人には無理だが。○。ガウクいいですよ。

tag : ガウク

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