シチェドリン:ピアノ協奏曲第2番

○ペトロフ(P)スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(venezia/melodiya)1977/5/12live・CD

焦燥感溢れる楽想に対し、線的に音を並べていくだけの感のあるピアノ、断続的かつ現代的だがどこか前時代的な趣をはらむオケ部、ジャズのイディオムを導入したのはわかるのだが正直快楽性を孕むジャズの特性を生かしきれてるとは言えないところ含めて、私は余りこの曲が得意ではない。ただ、ペトロフなので指は極めてよく回り、曲の要求するスタイルにマッチしており、このてのゲンダイオンガクが好きな向きには勧められる。いかにもソヴィエトのゲンダイオンガクだ。2012年veneziaがラフマニノフやプロコフィエフなどと集成したCDに収録。
スポンサーサイト

シチェドリン:ピアノ協奏曲第1番~4楽章フィナーレ

○作曲家(P)ロジェストヴェンスキー指揮モスクワ音楽院管弦楽団(モスクワ音楽院大ホール百周年記念盤)1954/6/1世界初演liveこの人の作品は隙が無い。かっこいい。現代音楽に分類されることも多いが、さまざまな性向の作品を書いており、この曲のようなものでは(完全に調性的で)ミヨー的な楽天性を示しながらもあくまでスマートで(ミヨーがしばしば陥る野暮ったさが無く)俊敏に描かれ、つねに透明で明るくすがすがしい空気に満ち溢れている。この人の作品の美しい響きが私は好きだ。鳥の声をうつしたピアノ曲があるが、メシアン的過剰にならずとても簡素でリリカルな(しかし非常に現代的な)作品になっている。また、室内楽作品ではかなり「現代音楽」しているが、ここでもひびきの鋭敏な感覚が発揮されており、深い心象をたたえている。それらに対して、この曲はいわば先祖帰り的ヴィルツオーソ向け作品だが、分散和音やトレモロやグリッサンドのとても効果的な用法が印象的だ。その書法はちょっと独特であるがそこがよい。とてもロシア系の作品とは言えない作品で、かなりフランスの空気を感じさせるが、最後のちょっとグラズノフ的なユニゾンの旋律強奏は辛うじてこの作曲家がロシア・ソヴィエトの作曲家だったことを思い出させる。この作曲家、非常に興味があるので、おいおい追っかけていこうと思う。ピアニストとしても非凡の奏者であったというのは、この盤で聞けばわかるとおり。,

シチェドリン:ピアノ協奏曲第1番

作曲家(P)スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(MELODIYA)1974LIVE中古CD屋に行ったら、スヴェトラーノフの最初のスクリアビン1番の録音がなんと1万円で売りに出ていた。あんなの誰が買うんだろう・・・スヴェトラなら後年もっといい名演が残されているのにと思ったが、こういうマイナー曲はコアなファンがいるもの、あっというまに廃盤になり、ごく一部のマニアの間で高額で取り引きされるのが現状なのだな、と実感した。とくにメロディヤ盤は今や入手困難なものが多いから、こういう現象が起こるのだなあ、と思った。さて、シチェドリンも思いっきりマイナー作曲家だ。ジャズや前衛音楽を貪欲に取り入れながらロシア音楽の新しい一面を開拓しようとしている作曲家の一人であるが、今は「カルメン組曲」が知られるくらいである。ショスタコーヴィチの時代と違い、シチェドリンはソヴィエトが開放的政策をとるようになった時代の寵児だ。ロシアの縛りはもはやなく、閉鎖的であったがために遅れをとったロシア音楽の現代化を目すあまり、結局ゲンダイオンガク家になってしまい、レコード屋でもコンテンポラリーのカテゴリーに分けられている。「ゴキブリだらけのモスクワ」など、変な作品名でも知られる。さて、この曲は22歳、モスクワ音楽院卒業制作の作品である。ここでは74年改訂版の演奏が聞ける。4楽章制で交響曲的構成を意識しているようだ。二楽章にスケルツォ、三楽章にパッサカリアを置いている。各楽章ともいきなりの旋律強打で強引に聞かせてゆくが、プロコフィエフの影響は否定できないだろう。だが、プロコフィエフにしばしば聞かれる不透明な半音階的書法の影響は皆無だ。とにかく透明感があり、新鮮な響きに彩られた初々しい曲である。旋律や技巧には独特の癖があるものの、美しく清々しい曲想の中で思う存分歌っている。やや生硬で巧いとはいえない書法だが、そういう習作的なものに特有の”ある”種の魅力があるので、マイナー曲好きには受けるだろう。ロシアーソヴィエト系の曲とはっきり認識できるのは散在する取ってつけたような民謡風主題の存在くらいで、それもカバレフスキーのように洗練され国民楽派の臭いは全くしない。旋律はラヴェル前後の作曲家を彷彿とさせる魅力的なものが寧ろ多く、暗めの曲想の中でも決して透明感を失わない。1楽章はやや長いが、旋律と曲想の流れを追っていくだけでも楽しめる。2楽章はプロコフィエフをちょっと思わせる平易な音楽。3楽章はいくぶん謎めいている。4楽章は喜遊的な、ミヨーを思わせるラテン系音楽。リズミカルで軽やかな歩みはまったくフランス風だ。皮肉っぽさすら感じる。この終楽章は出色の出来なのでお勧め。時代柄あきらかに古い作風なのではあるが(ブーレーズやギーレンとほぼ同世代なんですよ!)。終端の旋律ユニゾンでだかだかだかだん!とやるのはグラズノフ以来の伝統か。古き良きモダニズムの香りがするが、それは後年の破壊的音楽の創造へとつながってゆく。シチェドリンは可もなく不可もなくといったかんじのピアニズム(この曲、ピアノ的には余り難しくなさそう)。スヴェトラーノフは完全にバックに廻っている。小粒な曲に対してやや雄大にやりすぎているきらいもある。シチェドリンは作風を転々とし、ゲンダイオンガクに落ち着いてしまうのだが、若い頃はこんな曲もあるのだ。かつてCDで出ていたが最近廃盤になったよう。CDでは1~3番が自演(2番除く)で集成されていた。 ,

シチェドリン:せむしの子馬~ロシアの踊り

スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立(放送?)交響楽団(LUCKY BALL:CD-R)1983/10/20LIVEオケ表記が放送響となっているが怪しい。ショスタコの「革命」のアンコール三曲目。地味な曲だが明るく穏やかな気分でさらっと聞き流せる。無難な演奏。無印。,

シチェドリン:カルメン組曲(原曲ビゼー)

○ロジェストヴェンスキー指揮ボリショイ劇場管弦楽団(melodiya,BMG)CD冗談音楽のような編曲だが、ハデハデでとにかくテンションの高い音楽は、どちらかというと中央アジアで繰り広げられる豪華絢爛絵巻のようなものだ。打楽器と弦楽のために編曲した組曲であるが、その笑ってしまうような独特のシニシズムに惹かれる人が多いのだろう、シチェドリンの作品の中ではもっとも有名なものとなっている。お馴染みの旋律はほとんど奇怪なオーケストレーションと構造の中に組み込まれており、しばしば意表をつく。ロジェストのテンションの高さ、オケの緊張感がぴりぴり伝わってきて非常に楽しめる音楽だが、人によっては(というかたいていのクラ聴きには)噴飯モノの受け容れられないものとみなすだろう。こういう冗談が通じる相手にのみ威力を発揮する音楽。だいたいなんで打楽器と弦なんだ。冒頭の鐘と最後の鐘のかなでる旋律はなかなかイマジネイティブな世界を繰り広げている。○。,

シチェドリン:MISCHIEVOUS FOLK DITTIES

○バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル(NYP)1967/6/20放送LIVE・CDひたすら細かい動きをする弦をベースに親しみやすい民謡旋律(でもけっこう垢抜けてる)を載せてくる管楽器、楽しげなフレーズを刻むスネアのジャズ風のリズムが心地いい。鋭いリズム表現はこの頃のバーンスタインならではのもので、この曲の持つリズム的な面白さが引き出されている。それにしてもアメリカ人に受けそうな娯楽的な作品。楽器法や響きにペトルーシュカを意識しているようなところがあるが、楽想はむしろミヨーらのラテンな明るい音楽から影響されているようで、そのあたりの折衷模様が面白い。巧いというのとはまた違うが、非常に効果的なオーケストレーションだ。「カルメン組曲」が好きな人はぜひ聞いてみてください。シチェドリンはいくつかの仮面を持っているが、たぶん一番分厚い仮面を被って書いた曲。本質的に快楽主義的なところがないとこういうウィットに富んだ曲は書けないとは思うのだが。バーンスタインは全体的にはあまりジャズ風の崩しを入れずにスピードを保って突き進む。スマートでシャープな感じだ。このようなマイナー現代曲演奏においてNYP時代のバーンスタインほど曲の知られざる魅力を引き出し、曲本来の晦渋さすら娯楽に昇華させてみせた指揮者はいないだろう。でもきっとこの曲は他の人が振ってもそれなりに聞けるしっかりした構造を持つ楽曲。この盤に拘らなくてもいいとおもいます。最後ちょっとブラヴォーが入る。,
プロフィール

岡林リョウ

Author:岡林リョウ
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム
リンク
カテゴリ
TAG

ストコフスキ 四重奏団 フィテルベルク ミュンシュ トスカニーニ コンドラシン バルビローリ 作曲家 モントゥ アンセルメ 作曲家演奏 ブール エネスコ ガウク ミトロプーロス ロスバウト サージェント オイストラフ フランセ ワイエンベルク ORTF アンゲルブレシュト サモスード デゾルミエール イワーノフ ゴロワノフ ムラヴィンスキー ピエロ・コッポラ モイセイヴィチ ベーム セル クーベリック カルミレッリ シュヒター バーンスタイン ビーチャム パシャーエフ ツィピーヌ アルベール・ヴォルフ パレー ウォレンスタイン アラール オーマンディ サモンズ 山田一雄 ロストロポーヴィチ シェルヘン モートン・グールド ギレー モイーズ 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード