シマノフスキ:バレエ・パントマイム「ハルナシ」

トマーソ・フランスカーティ(T)ロジンスキ指揮ローマRAI交響楽団&合唱団(SLS)1955/12/31live

最近はハルナシェと表記されることが多い。単にバレエ音楽としてもよいのだが、独唱も合唱も入り、一味違う合唱管弦楽曲となっているので、本来の副題をつけておく。ウィーンのリヒャルト・シュトラウスの影響下にある第一期、パリからの風を受けスクリアビンの影響下にある第二期、ポーランド民族主義に基づき同時代のストラヴィンスキーやバルトークと歩調を揃えた第三期に完全に別れるが、これは最もわかりやすく、しかし書法の独特に完成された第三期の作品で、タトゥラ山地の音楽や舞踏への取材結果をそのまま取り入れてしまっていること、オリジナリティが薄れ全ての曲が同じ調子でオーケストレーションされていることから余り評価されないが、私は逆に「垢抜けて明るいバルトーク」のような音楽が好きで、この時期の作品しか聴かない。ロジンスキはシマノフスキもスクリアビンも親しみを持っていたようで録音があるが、もちろんリヒャルト・シュトラウスにも一家言持っていたからうってつけの指揮者だ。聴かせどころを、とくにリズムのメリハリとメロディの起伏を充実した合唱と楽団の激しい響きの中でしっかり届ける。覇気漲る演奏でないと民族主義の力が出ない。ここでは合唱とブラスがやかましいくらい印象に残る。独唱が終わると盛大な拍手。SLSらしい針音の目立つモノラル音源。
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シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番

ツェートマイヤー(Vn)ラトル指揮バーミンガム市立交響楽団(EMI)CD

シマノフスキといえばラトルの一連のEMI録音であったが今やワーナーで二束三文で販売される始末である。ラトルがまだ若い時期の演奏にみられる生乾き感(特殊な曲ばかりをやっていたせいもある)はまだあるように思う。ソリストは線の細い音で始めのうちはオケ負けするところがあり、曲のせいか録音エンジニアのせいかわからないが(譜面を見る限り曲のせいということもないだろう)バランスがあまりよくない。解釈ははじめは固いと思ったが、カデンツ前ですでに独特の揺らしを入れてきて、これまた丁寧過ぎるオケも法悦的な芳醇なひびきを醸すようになる。民族派に至る前の、スクリアビンからの流れをつぐシマノフスキという作曲家の立ち位置をしっかり示しているところがラトルらしい。派手な第二部ではソリストは徒に譜面づらを強調することなく音量的にも引いた感じで進めていくが、この音量バランスもまた録音のせい、ステレオの分離など違う要素に起因するものかもしれない。オケは明晰にシマノフスキの簡潔だが不可思議な構造、怜悧な中にも燃えるような響きを描き出す。ソリストが細く旋律を奏でる下の、むしろオケにほどこされた周到な書法の面白みが実感できるところは特筆できる。フィナーレに向かって依然ソリストは同じ音色で音量も派手に変化しないが、オケが包み込むように大きな世界観を出してきているため、他の録音と聴き劣りはしない。こんなにスケール感の出せる曲だったのか、という、協奏曲というより協奏的交響曲のような演奏。てそれ交響曲第四番(ピアノ協奏曲風)の別題だって。

シマノフスキ:交響曲第4番「協奏的交響曲」

エキエル(P)ロヴィツキ指揮ワルシャワ・フィル(OCC)1967/4/3イギリスlive・CD

「親しい公演スタッフによる録音」(ありがち)で、音源の権利もそちらにあるとのこと。同レーベルはこのエンジニアさんが自ら立ち上げたプライヴェートレーベルのようだ。ロヴィツキのこのときのツアー記録は他に無く、逆にポーランドの然るべきところに一部音源を提供し、正規のロヴィツキ記念盤として出ているようだから、これも無法盤というわけでは無い模様。

そういった経緯からあくまで記録としての録音となっており、貧相なステレオマイクで偏ったところから録っているようであり、音質的にも万全とは言い難い。全体が雲に覆われたような篭った音で、ピアノは小さく引いて聞こえバランスが悪い。これは晩年シマノフスキの新古典主義スタイルのシンプルで独特な(気色悪いスクリアビン的な組み物を透明な響きと強い旋律、リズムで押し通すという)作曲法からきているところもあるかもしれないが、スカスカで、アンサンブルが瓦解しているかのように聞こえるところもある(ソリストもミスが聴かれる)。録音だけではなく演奏も荒っぽいのだ。ありがちなことだが緩徐楽章は精緻で美しい。両端楽章がどうも「ライヴ品質」である。

もっとも全く同じ組み合わせでmuzaが出していた録音でも、技術的な弱さを力づくで強引に押し通した感があって、これはこういうものだったのかもしれない。細かい不備なぞどうでもいい、メロディとリズムで突き通せ!ってロヴィツキぽさが好きな向きは、ひょっとすると楽しめるかもしれない。この作品自体にその気はあるのだから。プロコフィエフとラヴェルの名作が同時代の作曲家に広く新古典主義にたったピアノ協奏曲の作曲へ向かわせた、そのうちの一つとされるが、バルトークの孤高まではいかないものの、民族舞踏音楽を下敷きにフランス印象派から前衛音楽の残り香である硬質の響きを用いながらも聴衆を置き去りにすることなく娯楽に昇華させた協奏曲である、これはポーランド産の演奏だからといって決して民族的な演奏「ではない」ので、もっと良く、もっと新しい録音で聴いてみて下さい。ファーストチョイスには向かない。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番~カデンツァ

シェリング(Vn)スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン放送交響楽団(youtube)1978live

YOUTUBEで質の悪い「録画画面」を見ることができる。演奏ぶりは非常に安定し雄渾。いかに悪録音の印象が演奏評価を曇らせるかがわかる。。シェリングのライヴは細かいところでは即興的な表現がある。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番

◎シェリング(vn)アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(youtube/Arlecchino)1963/10/9live

モノラルながら音が良く奏者も皆素晴らしい(シェリングには十八番の曲だが出来不出来がある、これは最高)。バックは機械的に捌かないと音が混んでわけがわからなくなる曲だがアンセルメ◎。youtubeはArlecchino(CD)と同じ演奏だが録音状態が格段のように感じた。

第一部
https://youtu.be/rFYp4Y51AtE
第二部
https://youtu.be/5m_LJFvDdP8

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番

○トレーガー(Vn)サタノウスキ指揮ワルシャワ・フィル(nimbus/muza)1962・LP

オケのむせ返るような響きに圧倒されるが、ソリストは堂々としたもの。民族感やスピード感はないがリズム感はよく、ベタ弾き気味のボウイングにしっかりした発音の、赤銅色の太い音色に感情的なヴィヴラート、特徴的で面白い。後半主題が登場するところでスネアとヴァイオリンの絡みなど鋭いアンサンブルで、ぼわーっとしたオケの響きを引き締めている。重音がしっかりし過ぎて民族味が足りないのは仕方ないか。音色の似るウィルコミルスカとの違いはそのあたりにある。あと、左手はとても確かなのだが、ミスタッチ気味の箇所があって、あれ、と思った。テンポ設定が一直線で揺れないまま大団円。なかなかの終幕。○。

シマノフスキ:交響曲第4番「交響的協奏曲」

◯マツエフ(P)ゲルギエフ指揮LSO(LSO)2012/12live・CD

迫力のsacdでこの曲の高精度な演奏を楽しめるだけでも良い。ゲルギーの全集からの一曲であるが、ソリストが良い。強靭では無いのだが、二楽章の表現はこれまでによくあったような直線的なものではなく、解釈されたものであり、聴き応えがある。一楽章もいいが、三楽章はややテンポが停滞する感もある、これは他の盤でもみられる現象なのではあるが。ゲルギーはけして巧緻ではないのだが勢いと力があり、ロシアの伝統と現代のオールマイティ指揮者の融合というような、逆にいうとやや半端な部分もあり、圧倒的では無いが、それなりにリズムも強く、迫力はある。オケのせいもあるか。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○ウィルコミルスカ(Vn)ヴィット指揮カトヴィツェ・ポーランド国立放送交響楽団(放送)1991live

ウィウコミルスカの腕がまったく衰えず、ライヴなりの荒さ(音にならない激しい発音など)はあるが、なかなかの凄演。この曲の懐深さも感じさせる演奏で、スクリアビンやフランス印象派の影響下にありながらも前衛的で怜悧な響きにより「凍れる熱気」をバンバン放つ楽曲とあって、協奏曲と言うより協奏的交響曲のような壮麗なものに仕立てて秀逸だ。なかなか巧緻なオケである。○。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番


○ギンペル(Vn)ローター指揮ベルリン放送交響楽団(audite)1950s・CD

放送録音。ソリストの音がオケに埋没して聴こえないなど状態の悪さには閉口するが、作曲家と同時代ないし近い時代に活躍した著名ヴァイオリニストとしてはシェリングくらいしかこの曲をやっていないので、同じ「お国演奏家」としてもギンペルの演奏が残っているのは貴重である。シェリングの線の細い音で継ぎはぎ的につむがれる精緻な音楽とは遠くかけ離れ、細かい所は省略してでも音楽の連続した流れをひたすら保つ怒涛の演奏スタイルはウィルコミルスカのほうに近いかもしれない(技術的には劣るだろう)。特徴的なのは音をなかなか切らず息の長い旋律、ひいては違う旋律へ移るときでさえ休符で途切れさせることなく音楽をずーっと連続して聴かせていくスタイルで、その中で表現される起伏、ニュアンス表現はなかなかのもの。但し音色や厚みに幅が無く飽きてくるところも否めない。オケが乾燥している(ないし復刻が乾燥している)のも民族的情熱を煽る曲を冷ましてしまう要素である。総じて何度も聴く音源ではないが、同曲の演奏スタイルとしては独特の部分もありシマノフスキに興味があるなら聴いておいて損は無い。シェリングよりは好きだった。

シマノフスキ:交響曲第4番(協奏的交響曲)

○アムラン(P)エラス・カサド指揮BPO(DIRIGENT:CD-R)2011/10/20live

深く広い響き、ベルリン・フィルでこの曲が聴けるだけでも喜びだ。解釈どうこうではなくこの「楽器」が可能とした表現に、同曲の新しい側面を見た思いである。ローカルオケ、とくにポーランドのオケばかりがやっていて、ソリストもローカル、ルビンシュタインでさえ指がもつれるのも平気で録音した、そういうところの物足りなさを補うものがある。反面お国演奏、とくにルビンシュタインのような鬼気せまる舞曲の迫力はここにはない。アムランの醒めた表現が、悪い録音の中に鎮座している。録音がもっとよければ、客席のブラボーの理由がわかるだろうが、どうしてまあバランスが悪い、とにかく今まであった同曲のどの録音とも違う独特の深みある演奏なので、無価値とは言わない。リバイバルにはうってつけだ。

シマノフスキ:夜想曲とタランテラ

○コーガン(Vn)ミトニク(P)(brilliant)1953/5/23・CD

録音状態はよいが、それだけに聴こえてしまうものがある。それほど精度が高くないように感じた。怜悧なシマノフスキの響きがひたすら民族的な気を煽る強い表現によってただ熱いものにされ、緩急がいまいち。もちろんバリ弾きスタイルなので技術がどうこうという問題ではないのだと思う。民族的な、といっても民族臭をふんぷんと放つでもなく、うーん。

シマノフスキ:夜想曲とタランテラ

○メニューイン(Vn)ガゼッレ(P)(EMI)1935/12/21パリ・CD

シマノフスキが独自の印象主義音楽から新しい民族主義音楽に脱したことのわかる曲で、重音進行による舞踏主題が強く印象にのこり、前者の硬質な抒情を好む向きには日和ったと思われるかもしれないが、今の耳にはとても熱く扇情的に聞こえてこれはこれでよい。若きメニューヒンの軟らかい指がオールドスタイルのヴィヴラートを効かせた甘い音色とあいまって、後年ではありえない正確さで迫ってくる、確かにこれは余人を許さない腕前だ。たいしたものです。

シマノフスキ:交響曲第1番

○スティリア指揮ポーランド国立フィル(marcopolo)CD

今でもweb配信販売されている全集の一部。意外と有名な2番より「聴ける」内容かもしれない。基本的にはリヒャルト・シュトラウスの影響下にあるのだが、2番よりもロシア的なハッタリをかます部分もあって変化に富んだ印象がある。3番でスクリアビン後期の影響を示すシマノフスキだがここでは中期以前の管弦楽曲を彷彿とさせる。半音階的な進行は妖しさをかもす。おそらく意図的に構造を簡素にしているのは当時のたとえばマーラーのようないわゆる世紀末音楽の流れ上にあって、その中で旋律線にヴァイオリンソロを導入するところは2番でもそうだが「いかにもリヒャルト」でありながら、後年のアレトゥーザの泉や協奏曲などヴァイオリンへの独自のアプローチを予感させる。スティリアの演奏はよくできていて、オケ的に弱い部分もそれほど感じずに楽しむことができる。○。

シマノフスキ:交響曲第2番

○スティリア指揮ポーランド国立フィル(marcopolo)CD

今でもweb配信販売されている全集の一部。オケはそれなりといった感じで決して上手くない。雑味が多い。曲自体にも演奏が悪くなる理由はあると思う。とにかく前衛的なまでに半音階的な旋律は全て弦楽器を中心とする一部パートが担い構造的に振り分けられることは殆どなくグズグズ、初期シェーンベルクやツェムリンスキーあたりの影響が物凄く強いわりにブラームス的なかっちりした部分が少ない。構成や和声には工夫がありこの曲がウィーンで受けて出世作となったのもうなずけるところはあるが、短いので耐えられるけれども、当時の通常の交響曲並みの長さだったら途中で飽きてしまったろう。ただ新しい音でないと曲の工夫が聞こえないので、数少ない録音という希少性をかんがみて○。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○テツラフ(Vn)ブーレーズ指揮VPO(DIRIGENT:CD-R)2009/6/12live

ソリストが巧い。曲をよく分析し解釈し表現している。作ったようなところがなく、そういう意味でも隙が無い。人工的で硬質な楽曲をなめらかに全く無理なく、伸び伸びと演奏し、バックオケと相まって、ブーレーズに似つかわしくない生暖かく甘い・・・シマノフスキの本質でもあるのだが・・・聴き心地をあたえる。同時代者トーテンベルクらの民族的だがぎくしゃくした演奏の時代は去ったのだなあ、と思うジェネラルさ。同曲は譜面上ある意味単純なのだが音にすると晦渋、でも、最近はレパートリーにする人が多く誰もそれなりに個性的かつ聞きやすい演奏として提示してくる。同曲をレパートリーとした唯一のヴィルツオーソヴァイオリニスト、オイストラフくらいからの伝統でもあるのだろう。お勧めなのだが、クリアな音で楽しみたいところでもあり、海賊音質だと○以上にはならない。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

◎トーテンベルク(Vn)ヴィスロツキ指揮ポツナン交響楽団(VQR)CD

モノラルだがモントゥBSOとの素晴らしいライヴ録音で知られざる姿を見せ付けた名教師若き日の正規スタジオ録音になる。これもまた素晴らしいバックオケに支えられ、ウィウコミルスカを彷彿とさせるアグレッシブなスタイルにやや冷たい技巧派の音であるが、ああいったヒステリックな荒々しさが無く、中期シマノフスキの透明感ある繊細な動きとスクリアビン的な音線・響きの妖艶さの両立するこの曲の特殊性を巧緻に描き出す。とにかく「欠けたところがない」。押しが弱いかといえばそうではなく、トーテンベルグ個人だけでも同曲のエキスパートたるところを見せ付け強靭な流れを作っている。民族性を打ち出した演奏ではないので(この曲に民族性はいらないと思うが)ややロマンティックに傾いたようにも聴こえるが、オケも含めて音が東欧的な鋭い響きをほどよく帯び、決して中欧やロシアふうの重ったるい音楽にはならない。ロヴィツキとは雲泥のヴィスロツキの職人的な腕前にも感服するし、このオケの安定感や丁々発止のアンサンブル能力にも驚いた。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○シムチェフスカ(Vn)ペンデレツキ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア(DIRIGENT:CD-R)2008/8/26live

最近のエアチェックものは危ないので手を出していないのだがこの組み合わせ(ドボ8・・・)は仕方ないので手にした。いかにもな選曲だが、やっぱり生硬である。遅いテンポで響きをいちいち確かめるように進むから、シマノフスキの音響志向が意図通りしっかり聴こえてくるのはメリットとして、書法的な単調さや曲自体の求心力の弱さが露呈してしまっている。シマノフスキの真価を問ううえでこういう(ちょっと違う気もするが)客観的に整えた演奏は必要ではあるが、ライヴでこの面子だと、このくらいか、清潔だなという印象しか残らない。諸所に非常に感銘を受ける箇所はあり、意外と面白い曲だとは思ったが、やっぱり拡散的な曲だな、モントゥあたりにさばいてもらったほうが聴衆は楽しいだろうな、という感じ。いい意味でも悪い意味でも聴衆反応は大きい。○。

シマノフスキ:交響曲第2番

○フィテルベルク指揮ポーランド放送管弦楽団(POLSKIE RADIO)1951live・CD

別録音とは較べ物にならないほど生々しい音質で、そのぶん荒っぽさも引き立っている。もちろんこちらをお勧めするが、人によっては枝葉末節が気になって曲の全体構造に気がいかないかもしれない。マイクがより近く、冒頭のコンマスソロからして大きく捉えられすぎており、生臭い前時代的な半音階旋律と、ベルク的な清澄な大胆さを兼ね備えた音響的表現の融和した独特の表現が、強引でごり押しの指揮演奏によって繊細なバランスを失い、依然ロマン派交響曲ではあるものの、金属のぶつかり合うような軋みがそこここに聴こえる、寧ろ聴きづらさと捉えられる部分もある。いずれにせよこれはフィテルベルクの盟友の純交響曲における最高作のライヴ記録であること、それだけで価値はあろう。○。

Polish Conductors -Grzegorz Fitelberg / Grzegorz Fitelberg, Polish Radio National SO, Eugenia Uminska

シマノフスキ:交響曲第2番

○フィテルベルク指揮ポーランド国立交響楽団(LYS)1947/11/2・CD

時代なりとも言えないくらい茫洋とした音だが荒々しいこの指揮者の粗雑さが和らげられ「融合的な音響」が形作られており、調和して聴きやすく、より楽曲自体の本質と思われるものが見える録音となっている。これを聴いて思うのは必ずしもリヒャルト・シュトラウスではなく寧ろフランツ・シュミットの趣味に近似しているということである。もちろん実験性の方向(後者は楽曲形式的・和声的な実験にのみ向かっていたように見える)や嗜好性の違いはかなり大きいし、オーケストレーションにはおのおのの独特の部分がある・・・ピアニストであったシマノフスキのほうが細かく構造的密度が高くチェリストでもあったフランツは旋律とそれに寄り添う和音進行にのみ集中しているように聴こえる・・・が、ともに同じ空気を吸った、ロマン派の末期の水をとるような生暖かい雰囲気はなかなかである。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

◎トーテンベルク(Vn)モントゥ指揮ボストン交響楽団(WHRA)1955/1/28live・CD

DAと同じかどうかわからない(録音状態が違いすぎる)。十分聴くに耐えられる音でわりと迫力がある。この組み合わせはこの曲に向いているらしく、尖鋭で複雑な響きの交錯を精緻に割り出し再構築しながらも、一貫してロマン派の協奏曲であるという本質をしっかり意識した構成は聴き易い。モントゥにあっている曲だと思う。シマノフスキは難しそうでいて、同時代と比べればかなり簡潔な書法を駆使する職人的な作曲家だが、こういう演奏で聴くとそれが単純なのではなく「簡潔」なのだということがはっきりわかる。非常にいい演奏。◎。

シマノフスキ:交響曲第4番「協奏的交響曲」

◎パレチュニー(P)エルダー指揮BBC交響楽団(BBC,IMP)1983/2/16londonロイヤル・フェスティヴァルホールlive・CD

ポーランド受難の時代の記録であり、独特の緊張感ある演奏になっている。非力なBBC響もこの曲では怜悧な音色をメリットとして、ブラスも弦楽も頑張っている。シマノフスキに要求される鋭い金属質の音がまさに縦横に出ており、張り裂けそうなアンサンブルが繰り広げられ、これがイギリスにおける演奏というのを忘れさせるような激しさを感じさせる。この曲はけしてケレン味を必要としないが、ここぞというところで起伏が大きくつけられているのも自然。献呈者ルビンシュタインを彷彿とさせる技巧家パレチュニーはこの曲を得意としているだけあって、リズムに破綻の無い演奏ぶりでぐいぐい進める。協奏曲にしては音数は決して多くは無いのだが(ピアノはあくまでオケの一部ではある)特有のリズムと不協和音を絡めた単線的な音楽を流麗に弾きこなしてみせる。けっこう危ない演奏の多い同曲にあってこの安定感はライヴにしては異様ですらある(ルビンシュタインのライヴ記録でも危ない部分が散見されるくらいなのだ)。録音もよく、◎にしておく。ブラヴォが出ないのはちょっと不思議な盛り上がり方。終盤ちょっとデフォルメし過ぎたから?

シマノフスキ:バレエ音楽「ハルナシー」より四つの断章

フィテルベルク指揮ポーランド国立放送交響楽団(polskie radio)1952スタジオ・CD

こうやって聴くとシマノフスキの非凡な才能が再確認できるわけだが、フィテルベルクの、前時代的なポルタメントをもちい旋律を煽りながらもキレよく尖鋭な響きを整え複リズム的な流れをきちっと収めていく手際よさが感じられ、この指揮者をも再認識させる。余り後期の曲をやらなかったイメージがあるが、後期に寧ろ向いていると思う。晩年のシマノフスキはタトゥラ山地に封じられたようなマンネリズムの中にあったとも言え、この曲と交響曲第4番とヴァイオリン協奏曲第2番は旋律とリズムと構成にバリエーションを得ただけの殆ど三つ子のような様相を呈してはいるのだが、後者二作が余り評価されないのは、この「高地の首長たち」が既に全てを包含してしまっていたからかもしれない。多彩なリズムすら強烈なメロディの一部となり、ミラクル・マンダリンのような木琴からしてペトルーシュカを彷彿とさせて然るべきなのに、響きとリズム旋律の余りに特殊な民族性がそうはさせない。ここが要だなあと思う。フィテルベルクは切り裂くような音響表現が光り、オケすら破壊しそうな前進的なテンポで交響組曲のように仕立てて秀逸。録音は聴き易い。○。

tag : フィテルベルク

シマノフスキ:歌劇「ロジェ王」よりロクサーヌの歌(フィテルベルク管弦楽編)

フィテルベルク指揮ポーランド国立放送交響楽団(polskie radio)1952スタジオ・CD

スタジオ録音のほうがライヴより音が遠いのは何故。まあそれはいいとして、「ロクサーヌの歌」はコハンスキによるヴァイオリン編曲で有名、シマノフスキの代表作と言っていいだろう(後期では「珍しい」)。「メロディ音楽」である。これは盟友フィテルベルクによる管弦楽編曲で、ちょっとハリウッド映画音楽的なロマンチシズムの入った手馴れた編曲に違和感を感じるところもある。原曲そしてシマノフスキ晩年特有の響きが終盤にあらわれるが、もっと怜悧にやったほうが「らしい」感じがしなくもない。甘いメロディを燻らせるさまは聴感悪くはないし、細かい伴奏の動きにも神経の行き届いた演奏にはなっているが。

tag : フィテルベルク

シマノフスキ:タランテラop.28-2(フィテルベルク管弦楽編)

フィテルベルク指揮ポーランド国立放送交響楽団(polskie radio)1953live・CD

ヴァイオリンとピアノのための「夜想曲とタランテラ」より。曲的にはかなり露骨な民族主義があらわれたものだが指揮者である前に作曲家であったフィテルベルク、よくシマノフスキの芸風を知っていたことが確認できる透明な色彩感溢れるいい編曲。ちょっとリムスキーのシェヘラザードを彷彿とさせるところもある。テンポ感がもっさい部分もあるがウブい音も手伝って力強い舞踏を楽しめる。終演がかっこいいが拍手カット。

tag : フィテルベルク

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○ウミンスカ(P)フィテルベルク指揮ポーランド放送管弦楽団(MUZA/POLSKIE RADIO)1951スタジオ・CD

私、同じものと誤解していたのですがこちらが全集盤(2曲だけだけど)のほうの録音。フィルハーモニアよりも精度が高く音もより新しい感がある。ただどうもこの時代にしては、やっぱり気になる録音状態ではあるが。フィテルベルクの雑味もこのくらいなら許容範囲。ウミンスカは2番ほどではないにせよ(恐らく2番より1番に思い入れがあるのだ)高音の痩せ方や枯れたようなボウイングが気になる。ただ、十分この曲の正統の表現を提示できているようである。○。

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シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

○ウミンスカ(P)フィテルベルク指揮フィルハーモニア管弦楽団(LYS/monopol)1945/12/27スタジオ・CD

シマノフスキの十字軍的に活躍したソリストと指揮者が西欧に残したSP録音だが、録音こそそれほど悪くは無いものの冒頭からオケの乱れ方が尋常じゃなく、この指揮者の面目躍如なるところが見られる(?)。しかしアクの無い音作りで、拡散的演奏であるがゆえの煌く色彩感、美麗さはあり、リズムを強調し押し進めるところ含め、ストラヴィンスキーの硬質な音楽を思わせるものに仕上がっている。この曲は抽象的に演奏される傾向があるが、ここでは無難に演奏をこなしている女流ウミンスカの表現には起承転結がきっちりしたものを感じる。三部構成をしっかり意識しているので、比較的わかりやすいのだ。シマノフスキの前衛でも国民楽派でも無い微妙な立ち位置を示した曲だが、紹介盤としては十分に機能していたことだろう。フィテルベルクにも技術的問題も多いが○。フィテルベルクをポーランドのゴロワノフと呼ぶ人がいるみたいだけど、どこが・・・?強靭さのレベルが違う。ゴロワノフはこんなバラケ方はしない・・・

tag : フィテルベルク

シマノフスキ:交響曲第4番<協奏的交響曲>(1932)

ルービンシュタイン(p)ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィル 作風変遷著しい「若きポーランド」の一員シマノフスキ。晩年民謡採集という時代の流行を追うように、残り少ない命を託したのがバイオリン協奏曲第2番と同曲という民族的音楽。「アレトゥーザの泉」や「夜の歌」などの尖鋭なイメージとは余りにかけ離れているため、これら分かりやすい曲は余り人気が無いように思いますが、美麗で清潔な響きはまさしくシマノフスキです。逆にシマノフスキがわかりにくいと嫌っている方も、この曲なら許せるのでは。古い録音でもOKな方には、ぜひ献呈者ルービンシュタイン独奏のRCA録音をお勧めします。(ちなみにこの曲は殆どピアノ協奏曲)ウオレンシュタイン指揮LAフィルのバックも、弾けるようなリズムと胸のすくようなスピード感で迫り、この演奏に限っては独奏者とがっちり噛み合っています。シマノフスキの権威ロジンスキNYPとのライブも残っていますが、音が最悪なのでお勧めできません。もっと溯れば衰え著しいシマノフスキ独奏、盟友フィテルベルク指揮コペンハーゲン放送交響楽団のライブ断片が残っていますがマニア向き。新しい録音も最近は多いのですが、スピード感という点ではやや劣るような気がします。ロヴィツキの振っている盤が2枚ありますが(ピアニストは異なる)、少し雑な印象でした。マルコ・ポーロから出ているツムジンスキ独奏スティリア指揮ポーランド・フィルの演奏は雰囲気があり、私は好きです。,

シマノフスキ:交響曲第4番<協奏的交響曲>(1932)

◎ルービンシュタイン(p)ウォレンシュタイン指揮LAフィル(RCA) ロジンスキ伴奏盤評参照,

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番(1932-33)

シャンタル・ジュイユ(Vn)デュトワ指揮モントリオール管弦楽団 ジュイユはウィウコミルスカを凌ぐほど完璧な技巧をみせるが、音色の多彩さや表現の深みでは大きく水をあける。デュトワのバックはまずまず。N響とライヴをやっているが(指揮はワルベルクだった)オケがドイツ的な重さを伴いややこの透明感ある曲にそぐわなく感じた。,

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番(1932-33)

シェリング(Vn)クレンツ指揮アバンベルク放送交響楽団(PHILIPS)断然ロジンスキ盤をとる。線は細いが憧れに満ち且つ確信の篭った素晴らしい演奏だ。シェリング独自のロマンティックな解釈がウィウコミルスカ盤に比べて「弱さ」を感じさせるが、双璧をなすシマノフスキ弾きと言って過言ではあるまい。音は悪いが。ロジンスキは作曲家と親交があった。,
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