タネーエフ:交響曲第3番

エリアスベルク指揮ソヴィエト国立交響楽団(melodiya?)1950年代・LP

冒頭からの暗いやりとりなど依然チャイコフスキーふうのところは残るがすっかりその個性的な書法からの影響を抜き、聴きやすく仕立てている。タネーエフなりの個性がつつましくあらわれ、過去作品より多彩だが耳新しくはない。チャイコフスキーより整理されておりわかりやすく洗練されており、古典志向(ないしロマン派前期志向)が強いが、構造的な方向には向かわず簡潔な動きと常套的な響きプラス前からあるリズミカルな要素の強調(エリアスベルクのメリットがあるとすればこのリズム感のよさだろう)が、無個性なこの作曲家のしいて言えば個性になっている。管弦楽の扱いはプロフェッショナルでとりとめもない流れをカバーしている。
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タネーエフ:交響曲第1番

エリアスベルク指揮ソヴィエト国立交響楽団(melodiya?)1950年代・LP

西欧折衷派のかなり、古典的にまとめてきた作品で手堅さが勝るが、小さく仕立てるエリアスベルクのやり方により拡散傾向のあるこのオケが室内楽的に引き締まって、さらに西欧的な前時代の音楽に聴かせてきているのは面白い。ベートーヴェン的に構成された交響曲として無害に聴けるが、トゥッティの音のいちいち強いアタックはタネーエフなりの民族的表現で(オケのせいだろうヒステリックなところもある)、チャイコフスキーより古臭い感すらあるが(四楽章はチャイコフスキーが国民楽派に接近した頃の作風に近づいている)、ライヴではグダグダな演奏もやったこの指揮者には、とくに複雑なところもなくやりやすかったようで、聴きやすい。モノラルの古い録音で篭っており、細部が明らかでなく、おそらく良い録音だったら印象はかなり現代風の明晰な演奏といったものになっていた可能性がある。

タネーエフ:交響曲第4番(1896-7)

○ガウク指揮ソヴィエト国立放送大交響楽団(MELODIYA)1951/3 録音は悪いがとても引き締まったいい演奏。ガウクの盤の中でも集中力が途切れずよくできた方だと思う。曲も非常に耳馴染み良い。タネーエフはルビンシュタインやチャイコフスキーに習ったモスクワ音楽院派の人だが、冒頭のショスタコ「レニングラード」かというような力強く土臭い主題の提示からしてむしろペテルスブルグ音楽院派のバラキレフあたりに通じるものがある。伝統的なロシア国民楽派の轍を踏んでいると言えよう。ただ、より洗練されまた古典に倣ったような明快さ、ドイツあたりのロマン派交響曲の形式的な影響も強く現われており、聴いていて安心感がある。師チャイコフスキーの影響はそのドラマ性に現われているがさほど大きくはないように思う。それよりも構成や楽想は時代は下るがペテルスブルク派きっての折衷派グラズノフに似ている。ただ、情報量や個性という点ではやや落ちるかもしれない。4曲の交響曲中でもっとも有名な作品、ロシア音楽好きなら押さえておくべし。とくに1楽章のテーマがどれも素晴らしい。 ,

タネーエフ:交響曲第4番

○ガウク指揮ソヴィエト国立放送管弦楽団(MELODIYA/LMC,A440records)

タネーエフ作品としては近年4曲の交響曲が数えられているが、1,2番は習作として作品番号すら振られておらず、3番についても演奏譜が出版されなかったことから、かつてはこの4番が「1番」とされた(但し「2番」以降は無い)。参考までにハンス・モルダーの解説抄訳

~この曲は1898年に作曲されモスクワにてジロティの指揮で初演された。出版は1902年、交響曲第1番作品12としてグラズノフに献呈された。実際にはタネーエフの四番目の交響曲である。1番~ホ短調~は音楽院卒業試験のために作曲された。2番は1878年に書き始められたものの放置され再び筆をとるのは音楽院の仕事を引き受けたのちのことであった。交響曲第3番ニ短調はアレンスキーに献呈された素晴らしい作品であるが、1884年に書かれ後年インペリアル・ミュージック・ソサエティによって初演された。しかし1947年まで出版されることはなかった。

ハ短調交響曲は大規模オーケストラのために作曲されているが、ベートーヴェンの古典的なオーケストラ編成が未だ根本にある。古典的な交響曲の基本である4つの楽章により編まれている。第一楽章(アレグロ・モルト、3/4)はヴァイオリンと木管による主題提示から始まり、他の弦楽器とブラスが主題の第二パートに入ってクライマックスに持っていく。著しいコントラストを示す第二主題のワルツはその後すぐに低弦からモルト・エスプレッシーヴォで提示される。

第二楽章はヴァイオリンの美しい旋律から始まる(アダージオ、2/4)。中間部(ピュー・モッソ)はチェロとベースから律動的で唸るような音形が現れ、オーボエの短くなだめるような旋律によって応えられる。

第三楽章スケルツォ(ヴィバーチェ、6/8)は軽く淡い。オーボエ・ソロの主題から始まる。中間部~三部形式で書かれてはいないが~は6/8から2/4に変わり、リズムのみならず遅いテンポへの変化で印象が変わる。この「トリオ」はアダージオ主題の三~四小節目に基づいており、ヴァイオリンによって再現される。

最終楽章、フィナーレ(アレグロ・エネルジコ、アラ・ブレヴ)でタネーエフは主題の素材を再び第一楽章ならびに第二楽章に求めている。この楽章はまず第一楽章の最初の主題のリズムを変容させた行進曲的なムードから始まる。第二並びに第三主題は第二楽章の中間部からとられている。前者は小さなオーボエの旋律がヴァイオリンに用いられている。後者は唸るような音形の最初からなる。ヴァイオリンとチェロのために編まれているが、暗いムードを保つためにG線で演奏される。解決としてそれら主題を違うスピードで同時に用いているが、まさにタネーエフの対位法的技術の熟練を示している。クライマックスとしてタネーエフは第一楽章のワルツ主題に還り、フルオーケストラによるハ長調・モルト・マエストーソに至る。

~訳してどうこういうこともないし譜例が載せられない以上余り意味が無い気もするが、まあ、こういう曲ということはわかると思う。非常に西欧的な曲であり、メンデルスゾーンやら(作曲技術の練達さが髣髴とさせる)フランクやら(両端楽章の循環的な構造や主題のムードが似ている)、とりわけブラームスやらといったロマン派先行交響曲をかなり意識した作風である。構造的なところは特筆すべきでグラズノフ以上のものがあり、メロディも鮮やかでチャイコフスキーのようによくできている。ガウクはやや弱体なオケを煽りに煽り荒れ狂って、かなりテンポの起伏もつけ、アタックも激しくつけて盛り上げてくる。グラズノフ風スケルツォである三楽章など舞踏リズム処理の巧いガウクの真骨頂だが、一方ゆったりとした表現では音色が痩せがちで、終楽章のワルツ主題回帰など効果的にやろうと思ったらいくらでもできそうなものだが、テンポが急くように速く仰々しさがないから盛り上げ方が足り無い。もっと潤いが欲しい。全般トスカニーニ的で力強いが、同曲の魅力を拡げるものではなく、○にとどめておく。好み的には◎だが。

タネーエフ:カンタータ「ダマスカスのヨハネ」

○ゴロワノフ指揮ソヴィエト国立放送管弦楽団・合唱団(MELODIYA)1947

エイコーラーの主題の変化形のような旋律からはじまり、悲劇的な音楽から崇高な宗教的世界に昇華されてゆくドラマ的音楽。オーパス1番。オペラティックで鈍重だが合唱が重厚にうねりだすとゴロワノフならではの劇性がうまいこと働いてきてしっくりくるようになる、ただ極端に音が悪い。

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