ツェムリンスキー:抒情交響曲

○ユリア・ヴァラディ(sp)フィッシャー=ディースカウ(b)ツァグロセク指揮オーストリア放送交響楽団(orfeo)1984/8/11live・CD

マーラーの大地の歌との関連性云々が言われるが作曲時期が離れており、直接的表現が避けられ、無調なども取り入れて客観的ですらある「多様式主義風な」交響曲である。マーラーとの近似性は交響曲概念の極度の拡張、原詩の東洋性(但し内容も音楽も全く違う)、一部表現の援用、一部楽器の表現法、そのくらいだけに感じられる。演奏時間もマーラーほどには長くは無く、歌はタゴールの愛に関する詩から男女が交互に歌い離別していくさまを「冷静に」表現している。といってもシェーンベルクの師匠なわけで古い世代、旋律のロマン性からは離れられず、ウィーン世紀末から世紀初頭の響きからは離れられず、そのあたりが逆に魅力として演奏機会を増やしたゆえんだろう。この演奏は評判をとったものだが二人の歌唱が圧倒的で、オケはウィーン的な音はともかく技術や押し出しの強さはやや緩く感じられる。全盛期とはいえないであろうディースカウだが若さに任せてがなりたてるようなものではなく、しなやかに曲に沿った表現をおこなっている。この時期にしては録音はあまりよくないか。○。1982年というデータも見られるが誤り。
スポンサーサイト

ツェムリンスキー:抒情交響曲(1923)

マゼール指揮ウィーン・フィル(ディースカウほか)(DG),

ツェムリンスキー:抒情交響曲(1923)

シノーポリ指揮VPO LIVE,

ツェムリンスキー:抒情交響曲(1923)

サロネン指揮フィンランド放送交響楽団,

ツェムリンスキー:抒情交響曲(1923)

ギーレン指揮,

ツェムリンスキー:抒情交響曲

○ギーレン指揮南西ドイツ放送交響楽団、ジョンソン(B)、オーサニック(SP)(ARTE NOVA/BMG他)1994・CD

マーラーよりはずっと客観的で単純な思考にもとづく曲で、大地の歌を参照したのは言うまでもなかろうが内容的には抽象度が高い。天国的な楽観性が支配的で、此岸のリアルな苦難と救済は全くあらわれない。だから熱狂的にのめりこむ要素というのは余りなく近代好きに今ひとつ人気がないのもわかる(現代好きには人気がある)。シェーンベルクの師匠というか少し年長の友人、シェーンベルクが時期的にブラームスからウェーベルンを包蔵した広大でやや生臭さも残る世界観を持ったとすれば、ツェムリンスキーは初期リヒャルトやマーラーの狭い世界の中で書法の純化をすすめていこうとしていた感もある。この作品に一貫する響きの透明性と音響的な怜悧さはギーレンの手によって更にその印象を強くさせるように仕上がっている。ブラスの盛大な響きでロマンティックに盛り上げることはせず(「春に酔えるもの」のような表現は無いと言うことだ)計算された管弦楽配置によって効果的に聞かせようとする方法論は現代指揮者向きである。生臭い音楽が嫌いな人にマーラー的なものを聞かせたいとき、唯一旋律にマーラーの影響の強いものが伺えるこの曲はうってつけだろう。このオケらしい清潔さがまた余りにすんなり曲に受け容れられているため、どこで終わったのかわからないくらい自然に終わってしまうようなところもあり、歌唱自体もこれはデジタル録音のためか余りに綺麗に捉えられすぎてライヴ的感興を多少残すことすらもしないため、大地の歌の延長戦を要望していた向きにはやや物足りなさを感じさせるかもしれないが、魅力的な旋律だけは評価してほしい。タゴール詩の世界との違和感は唐詩とベトゲ訳とマーラーの間の乖離に似て非なる、といったところか。マーラーはとにかく主観の存在が強い。目下薦められる演奏の上位にあることは確かだが、非常に純化され綺麗ではあるものの、交響曲としてのまとまりの演出と、押しの強さが無いのが難点か。○。
プロフィール

岡林リョウ

Author:岡林リョウ
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム
リンク
カテゴリ
TAG

ストコフスキ 四重奏団 フィテルベルク ミュンシュ トスカニーニ コンドラシン バルビローリ 作曲家 モントゥ アンセルメ 作曲家演奏 ブール エネスコ ガウク ミトロプーロス ロスバウト サージェント オイストラフ フランセ ワイエンベルク ORTF アンゲルブレシュト サモスード デゾルミエール イワーノフ ゴロワノフ ムラヴィンスキー ピエロ・コッポラ モイセイヴィチ ベーム セル クーベリック カルミレッリ シュヒター バーンスタイン ビーチャム パシャーエフ ツィピーヌ アルベール・ヴォルフ パレー ウォレンスタイン アラール オーマンディ サモンズ 山田一雄 ロストロポーヴィチ シェルヘン モートン・グールド ギレー モイーズ 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード