ヒナステラ:クリオールのファウスト序曲

ミトロプーロス指揮NYP(SLS)1958/8/8live

取っ付きづらい重い和音のぶっ放しから始まり、リズムにラテン要素はあるもののミヨーよりも中欧志向が強いのかヒンデミットを思わせる新古典主義的構造が織り交ざり、こけおどしのような大太鼓と低音ブラスが晦渋さをかえって煽る形で不穏に終わる。さあこれから始まるぞ的な祝祭っぽい序曲感が無い現代アメリカ音楽の系譜といった感じの、個性が板についてない作品。ミトロプーロスがまた無駄に力感があり表出力のあるのが仇にも思った。録音は新発掘音源レベルのノイズ多め。
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ヒナステラ:バレエ音楽「エスタンシア」~マランボ

フィードラー指揮東京交響楽団(TBS)1961/11/20live・CD

素晴らしい。曲が面白いのだが。オスティナートオスティナート、飽きずにダレずにひたすら色彩感にあふれるリズム音楽を演じきっている。下品にも生硬にもならず、吹奏楽ないし軽音楽的な曲の魅力をしっかり描き出している。

ヒナステラ:パムピアナ第3番(田園交響曲)

○セル指揮クリーヴランド管弦楽団(TCO)1956/11/8live・CD

どこが田園かと聞かれてもヒナステラじゃないんで困るんだが、全部で20分にわたる3楽章制でストラヴィンスキーふうの野蛮主義を挟むものの最初はアダージョ最後はラールゴという尻すぼみな構成もちょっと時代性な暗い気持ちを抱かせる部分がある。しかし抽象化された民族主義はバルトークのようなオソロしげなものもなく、セルの技術がオケを厳しく律して過不足なき表現に至っている。○。

ヒナステラ:協奏的変奏曲(リハーサル風景)

○ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団(DA:CD-R)1963/2/23カーネギーホールlive

がちっと細かく組み上げられたアンサンブルがスリリングな難曲だが、ストコの指示はびしっとして無駄がなく、相変わらず迫力のオケはリズムも切れている。リハなりのアバウトなザッツのブレもなくもないが。この曲の娯楽性はバルトークやビラロボよりウォルトンに近く感じる。つまり後期ヒンデミット的ということだ。曲がただでさえとても扇情的で南米のローカリズムに収まらない魅力に満ちているため、加えてストコがシェフなら別に何もいじる必要は無いように思える。

tag : ストコフスキ

ヒナステラ:弦楽四重奏曲第1番

○パガニーニ四重奏団(DECCA)LP

テミヤンカ、ロッセールス、フォイダート、ラポルテのメンバー。同じく現代ものも得意としたハリウッド四重奏団に似ているもののもっと表現に潤いを持たせたような触感が面白い楽団だが、メンバーが安定しないせいか技術的に意外と乱れることもある。この曲はバーバリズムの範疇にあるわりと常套的な前衛で、聴きやすいが凡庸ととる向きもあるかもしれない。繊細な音響的表現において楽団の技量は素晴らしくピッタリはまって美しい。バンバン弾くような表現でも荒々しさが乱れにならずまとまっている。わりとハマるとハマってしまう、嫌になると最初から聴く気をなくすたぐいの野趣のある曲だが、諸所に美感を引き出した、旧いけどいい演奏。○。

ヒナステラ:オランタイ

○ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団(DA:CD-R)1968/11/17live

打楽器主義な殆どジョリヴェな曲だがストコで聴くととても派手でいい。リズム系の音楽が好きな人は好むだろうし、好きじゃない人はみんなおんなじに聞こえるかも。膝録かもしれない。

ヒナステラ:パナンビ

グーセンス指揮ロンドン交響楽団(EVEREST)

この時代くらいの作曲家でストラヴィンスキーの原始主義の影響を受けていない作曲家を探すほうが難しいくらいだがこの曲も多分に漏れずストラヴィンスキーである。硬派というか、いかにも若者の書きそうな難しい顔を覗かせつつの作品であり、マジメな近現代ファンにはこの曲のほうがエスタンシアよりウケるかもしれない。私はなんともいえません。ヒナステラの出世作であり作品番号1。パナンビはちょうちょの意味。21才の作品。

ヒナステラ:バレエ組曲「エスタンシア」

○グーセンス指揮ロンドン交響楽団(EVEREST)

吹奏楽編曲が有名ですよね。ヒナステラは大正生まれで86年に亡くなっているアルゼンチンの現代作曲家。とびきり楽しくて美しい曲に派手な音響を加えて体を揺らす南米のリズム。EL&Pのメンツが編曲権交渉のためわざわざ自宅までヒナステラを訪ねたさいおおいに歓迎され、編曲も演奏も絶賛された話は有名だが(あ、ここはクラシックのページか)むしろジョン・ウィリアムズあたりの映画音楽が好きな向きはぜひ聞いてみてください。難しいこと言いっこなし!ガウチョ丸出しな民族音楽に印象派的センスを加えた初期ヒナステラ(当人の言う「客観的民族主義期」ようは単純な民族音楽期)の代表作。グーセンスの色彩的な処理が冴えまくる逸品です。4曲からなり、農園で巻き起こる色恋騒動を描いたファリャ的な内容。一曲め:農園の労働者たち、2曲め:小麦の踊り、3曲め:大牧場の牛追い、4曲め:マランボ。ちなみにEL&Pが編曲したのはピアノ協奏曲第1番第4楽章。音楽一家に生まれバルトークを弾いて育ったキース・エマーソンの面目躍如な演奏です。ロックファンには言わずと知れた「トッカータ」がその作品。クレオールの踊りがここまでハードに昇華されたというのは凄い。キースのパフォーマンスをバカにした坂本龍一が世界一のキーボーディストなんて分かる人に言ったらバカにされますよ。
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