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グローフェ:グランド・キャニオン組曲

○トスカニーニ指揮NBC交響楽団(RCA)1945/9/10・CD

ガーシュインの影武者として名をはせたグローフェの代表作で、西部の雰囲気をコープランドほど硬質じゃなく程よくライト・ミュージックふうにまとめてみせた、といった感じの描写音楽だ。この演奏では輪をかけて聴き易く、初曲「夜明け」よりアメリカ印象派の延長上にある作品といった感を強くする。いかにもドビュッシーを好んで振ったトスカニーニの選曲らしい。クセが無く安定した作曲技法を駆使した感じで、ちょっとグリフィスを思い浮かべたが、三曲めON THE TRAILのあたりからいかにもグランドキャニオンの谷へと降りる細い崖道を驢馬がてくてく歩く感じが描写されていて、ライト・ミュージックの香りたっぷりになってくる。トスカニーニがやるからクラシックとして鑑賞できるんだな、とも思った。昔聞いたときは余りの表層性に嫌気がさしたもんだ。こういう曲でもしっかり、情緒たっぷり、しかも響きはあくまで美しく演じ上げている。浅い曲というより爽やかな曲という印象が残った。フランス音楽、たとえばオネゲル「夏の牧歌」あたりの雰囲気が依然織り交ざるけれども、カポカポてくてく歩きはグローフェの発明だ。西部劇に繋がっていくのだ。録音のせいかクライマックスの盛り上げが今一つはじけない感もあるが、5曲め(終曲)最初の高弦の微妙な響きなどレスピーギの「松」3楽章を彷彿とさせるものがあり、やはりトスカニーニだなあ、と思う。嵐の場面は凝縮された激しさで決して派手になりすぎない程度に表現されている。ダイナミックではあるがそれほど派手ではない。このあたりの即物性はトスカニーニらしさだろう。根底にどこか楽天性があるから、最後の映画音楽的な盛り上がり(あれだけ弦に旋律歌わせといて最後はブラスが派手に〆る(弦はワグナー的なやたら大変な伴奏音形の繰り返し)というアメリカ的常套性は賛否あるだろう)はきっぱり終わる。とにかくこの演奏は時代の懐かしさ以上に清々しく美しいトスカニーニのラテン気質があらわれており、このような曲にも決して手を抜かず(いや、トスカニーニは振る以上決して手を抜かないが)己が個性を反映させ、共感をもって演奏しきったのだなあ、と思った。この曲はとてもアメリカ的で常に何かを歌っており、またやたら高い音が耳につく(高弦だけによる空疎な和音が目立つ)と感じていたが、こんなに情緒を込めることも可能なんだなあ、というところでした。○。思いのほか静かな優しい演奏であることも付け加えておく。こんなところにもハリウッドの源流(本流か)。戦争終わってこんな曲。
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tag : トスカニーニ

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