ピエルネ:バレエ音楽「シダリーズと牧羊神」第一組曲

マルティノン指揮ORTF(erato/warner,icon)1970・CD

全曲だととんでもない時間がかかる曲なのでだいたいこのくらいがレコード化の限界らしい。たしかに「掴みはOK」系で途中から擬古典的なチェンバロを交えるなどした曲や前時代的な新味の薄いロマンティックな盛り上がりを作る曲など目立ち、その折衷的な技で台本通りの音楽を組んでいく職人性にああ、ピエルネってこういう曲書いてた人なんだよなあ、個性面で減衰するから、聴き流し系の耳優しいフランス音楽としても一級品とはいいがたいところがある。マルティノンは録音がマイクに近いせいもあって冒頭より表出力が強すぎる感じがする。客観的に整える芸風はここでは使われず、素直に効果的な演奏をなしている。曲の前時代性に脚光を浴びせたような、ボロディンの交響曲などやっていたのと同じような感じで流れよくリズムよくダイナミックに、推進力と演出力で聴かせていく。響きはフランスオケの軽くて木管など特徴的な明るさがあるが、マルティノンはその特質も機能性を上げるほうを重視したのか目立って際立たせることはせず「お国もの」ではない音楽として仕立てようとしているふうでもある。しかしまあ、この仕上がりを聴くと、曲は違っても最近よく聴くプレートルより数段上の格を持っているように思うし、あのような時に癖のある解釈はハマるときとハマらないときがあるが、マルティノンは標準以上は必ず持ってくる指揮者なんだな、と思った次第。
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ピエルネ: オラトリオ 音楽的伝説「少年十字軍」~抜粋

ジルー(SP)パレー指揮ORTF、レジオン・ドヌール教育会館少年合唱団(DA/vibrato:CD-R/ina配信)1972live(1972/6/5放送)

vibratoは当時DA盤のコピーを何倍もの値段で出していたので、聴いてはいないがほぼ同じ演奏時間の同じ演目からなるこれも、同じものだろう。音質は珍しくクリアなステレオで良好だが冒頭いささか乱暴な始まり方をしている。いきなり頭切れ気味に強い独唱から。フランス放送音源にはよくあることで、元々そういう状態の可能性が高い。ちなみにボレロ、メニューインのベトコンとナレーションを交えて続く(順番はvibrato盤では逆転している。パレーの放送音源はina.frに大量にある(ウンザリするほどある)。1972/4/12のシャンゼリゼライヴ説が濃厚で、ベルリオーズ「海賊」も演奏された。その組み合わせとするとina配信でトラック別に全演目が6/5放送として提供されており、同一と思われる)。もともとが小オラトリオだが、さらに8分半に纏められ、有名な少年十字軍の悲劇(マルセル・シュウォッブによる)をほぼソプラノ独唱の支配する「歌曲」~とそれに応える子供の合唱~として速やかに爽やかに仕上げている。パレーのスピード、音響感覚はピエルネには合っている。鮮やかな手腕で仕上げられたじつに軽やかな明るい曲で、まだ20世紀に入って間もない時期、そのハープに彩られた典雅な響きはドビュッシー初期、あるいはカプレのような新鮮さを示すが、常套的に盛り上げる後半部はともかく、前半部と末尾は後の新古典主義の時代、もしくはソクラートを思わせるくらい簡潔であり、独唱と答唱がただ音量を落とし同じやり取りを繰り返したあとコンマスソロによって〆られる。本来の話のボリュームに比して短すぎて、拍手もあっという間に聴き終えられ、清澄な気分の余韻に浸る暇もなく次の曲へのナレーションに入ってしまう。とはいえ、わずかでも同時代を生きた指揮者のピエルネ作品の録音自体が貴重。続くボレロはいつものパレーの高速軽騎兵だから、同じような響きの感覚にあるとはいえ、少し趣は変わる(ボレロは最後に演奏された可能性もあるという)。

ピエルネ:バレエ音楽「シダリーズと牧羊神」第一組曲~Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ

デルヴォ指揮ORTF(ina)1955/4/4

朝にはぴったり。デジタルアルバム(Amazon等)でもina配信でも聴けるコンサート中の一曲(ルフェーブルのシューマン協奏曲をふくむ)。通常演奏される第一組曲冒頭の無邪気な四曲が選ばれている。内容はいかにもドロドロらしいのだが、このあたりでは学校を舞台にした爽やかで印象派的な響きの音楽であり、特に一曲目「小牧神の入場」は古くからお馴染みの鮮やかな色彩の映える小品である。ちなみに「牧羊神の学校(小牧神の入場)」「パンの笛のレッスン」「ニンフの生徒たちの行進」「ダンスのレッスン(ヒポリディア旋法に基づく)」以上になる。この演奏だとコンサート中盤であるせいかオケが乗っていて、ちょっと気が強すぎる感じもする。派手なリズムでダンスの気を煽るデルヴォーの指揮のせいもあるかもしれないが、これはこれで、よく耳に届く音楽になっている。もともと決してリリカルな内容ではないので、リリカルな場面だけ取り出したとはいえ正しいのかもしれない。劇場張りにやってくれるデルヴォーの同曲録音は貴重だ。

ピエルネ:バレエ音楽「シダリーズと牧羊神」~6つの抜粋

作曲家指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(odeon/malibran)1928-34・CD

ピエルネの代表作だがいかんせん大曲のようで、マルティノンが一枚におさめたのも組曲である。なんてことのない子供の遊びのようなテーマであるせいか、ピエルネの前時代的なロマン派志向が影を潜め(せいぜいシャブリエくらいまでしか遡らない)、蜘蛛の饗宴時代のルーセルや、耳馴染みの良い音楽を書いていた頃のラヴェルに非常に近い、純粋に耳を楽しませることのできるドビュッシー後のフランス音楽の世界を、じつに簡潔に、バレエ音楽向きに仕上げており、これを聴いて気を悪くする人はいないのではないか。灰汁抜きされたペトルーシュカ、洗練されたリムスキー、と言うと悪意がある。ピエルネの指揮はわりと幅があり、自作自演はさすがに巧い。個々のソロ楽器、とくに木管が剥き出しでライトモチーフを持ち回り活躍する曲だが、弾けるような、いかにも「演りやすい」バレエといった流れを崩さず、モイーズも吹いているのだろうか、弦はやや弱いものの音はしっかり出ている。この曲を大味と言って更に演奏も大味と言うと語弊があるので言わないが、小牧神の入場にかんしては近衛盤の方が格好が良い。開放的なカラフルな音響が求心力を損なっているようなところもあるが、それはピエルネのオデオン録音全部そうなので、言わない約束。

ピエルネ:バレエ音楽「シダリーズと牧羊神」〜小牧神の入場(近衛秀麿編曲)

近衛秀麿指揮新交響楽団(columbia)1936/1

SPだがCDでもまとめられていたか。webで聴ける。二分弱の行進曲ふう小品で、ここではスネアにのってペットが一寸シニカルな旋律を吹き、フルートが五音音階による合いの手を入れてくる。銀河鉄道の夜的なピエルネにしては耳に新しい雰囲気ある曲。ドビュッシーより旋律的だがデュカス以前には戻らない、ラヴェルと同等か少し遡る、といった感じか。ストラヴィンスキーにも近い。同時期に有名なスーザなどブラスバンド曲も録れているが、それらと並べていることからも同曲の人気のあったことが伺えるし、何より、上手い。ハキハキと、リズミカルで、いかにも「小」牧神という軽やかさすら感じさせる。この人の指揮は今でも人気があるようだ。

ピエルネ:牧歌風の主題によるディヴェルティスマン

テノール不明、ビゴー指揮ORTFフィル(STEF)

ピエルネというと過去にも未来にも行かず折衷的作風の振れ幅が戸惑わせる。コロンヌの後任として指揮者になったせいもあり自作自演が多いが、このような歌曲録音は貴重。雄弁で古風でもピアノが清新。

ピエルネ:ヴァイオリン・ソナタ 二短調

○ジェラール・プーレ(Vn)ノエル・リー(P)(ARION)CD

フォーレふうの古風なソナタであり、メロディで聴く音楽。ラヴェルとドビュッシーに挟まれて盤の中では異彩を放っている。しかしスタイルを曲に合わせた達者な演奏と言える。盛り上がる。音は美しい。

ピエルネ:鉛の兵隊の行進曲

○ヴォルフ指揮ラムルー管弦楽団(POLYDOR)SP

ドビュッシーらの前には古臭く地味なピエルネだが、清らかな流れとあい響きあう音色の美しさはやはりこの時代の新しい世代ということを認識させる。ピチカートとハープで収束していくさまはチャイコのような派手派手しい律動とはっきり違うものを提示する。ヴォルフ最盛期の演奏のさまも音色感に重点を置き軽やかさを売りにしている。○。

ピエルネ:小牧神の入場

○W.ダムロッシュ指揮NYP(COLUMBIA)SP

マ・メール・ロア組曲とのカップリング。ラヴェルに比してかなり速いテンポでリズミカルな音楽を作り上げている。水際立った表現はやはりNYP(S)の力量を推し量るに十分であるが、音盤録音初期における配慮のアバウトさというか(一発録りになったりは仕方ないことだったのだが)、ミスなどあるのが難点でもあろうが、まあここまで聞ける演奏になっていれば全然OKでしょう。ロシア風の元気な行進曲です。
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