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グラズノフ:交響曲第5番

セレブリエル指揮ロイヤル・スコティッシュ・フィル(warner)2004/1/6-8・CD

臭みの無い音、ダイナミックな起伏の付け方、スケールの大きい演奏と優秀録音に拍手。繰り言を繰り出すように同じ主題を捏ね繰り回すグラズノフ、対位法を駆使し様々な方向から立体的な音楽を展開して、私は変奏曲が好きじゃないが、グラズノフについてはロシア国民楽派系作曲家の中で一番聴いていてストレスは無い、それでもフェドセーエフですら「臭み」が気になるのは楽団の性格と共にやはり楽曲の民族性に主眼を置いて楽想のままに演奏させてしまっているからで、セレブリエルはグラズノフがどこの国の作曲家なのか明らかにすらせず、ワグナーの管弦楽の流れを継いだ抽象的な交響曲としてやっているように聴こえる。同曲をいったん分解してモダンに再構築する、というよりグラズノフ自身がそれを望んでいたとも思うのだが、クーチカのムードに流されたようなローカリズムから脱し、ロシア音楽に通底する音要素が使い方によって汎世界的にも通用するものになるという意思を尊重し、響きの安定感を主張せず自然な拡がりを作り、極端ともとれるテンポ変化も含む解釈を施したところ、さらにイギリスの透明感ある楽団から技術的なメリットを引き出し、終楽章は激烈な前のめりのテンポで煽り、けして歌心に拘泥させることなくライヴ感のまま大団円させている様子にははっとさせられた。この曲の演奏様式はムラヴィンスキーやスヴェトラーノフからとうの昔に離れているのである。そう感じさせられた。
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グラズノフ:バレエ音楽「ライモンダ」抜粋

ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル(ORGANUM他)1962/2/10ブダペストlive

バルトーク、ブラームスのアンコールとして演奏された模様。ごくごく短い抜粋だがスマートに、ほのかな懐かしみを感じさせる演奏。

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

ギンペル(Vn)ハンス・ミュラー=クレイ指揮南ドイツ放送交響楽団(meloclassic)1956/10/2シュツットガルト放送スタジオ録音・CD

ギンペルらしく危なげない安定した技巧にスピード、明るく力強いスタイルが怠惰な一楽章を引き締める。基本まっすぐ突き進むがもちろん表現の綾はこのクラスのソリストには当たり前のようについている。グラズノフの西欧主義的側面を国民楽派の靄の中からきちんと取り出して曲の大きな分節ごとに少し異なる色をつけしっかり構成している。長いカデンツァでスピードが速すぎてとちるのは珍しいことだが(後半部も所々ライヴのような指の転びが入るものの)トランペットとの対話から始まる民族表現を尽くす祝祭的音楽への移行も速度、音色と技巧の安定感から唐突感がなく、近代ヴィルトゥオーゾ的表現もしっかり兼ね備えた立派な演奏となっている。オケが音色だけでなく反応も鈍重さを感じさせる部分がなくはないが、オケを聴く曲でもなしきちんとアンサンブルになっているのでマイナスにはならない。録音はこんなものか。

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

セーケイ(Vn)オッテルロー指揮ハーグ管弦楽団(decca/M&A)1947・CD

面白くない。グラコンを前時代的なロマン派協奏曲として扱い、それなりに普通にこなしたという感じで余りに引っかかりがなさすぎる。民族性も煽られず音色も変化に乏しく、しかしこれすべてノイズ塗れの悪録音のせいかもしれないから、これ以上は言わないが、個人的にこのソリストは好みではない。

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

カンデラ(Vn)デゾルミエール指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(columbia)SP

どんより暗いロマン性が横溢し、半音階的で息の長い主題をうねらせ続ける前半部から、カデンツを挟んで突如あけっぴろげに明るい民族音楽と化す後半部という構成の、グラズノフで最も著名な作品。民族主義的トリルの異常な多用っぷりは、カデンツでの重音トリルで特に奇怪な晦渋さを示す。トランペットが高らかに宣言し対話を始める後半部への切り替えは突拍子もないが、形式云々はともかくとにかく楽章間の雰囲気の対比を強く印象づけるというグラズノフ特有の思想にこれも依っている。後半部のさまざまな民族音楽的な奏法の陳列はまさにグラズノフといった感じで壮観。さて、このような「変化」を鮮やかに聴かせるために、最初はデロデロに重く、ファンファーレ後は華麗に技巧をひけらかすのが常套手段で、譜面をそのまんまやるだけでもそうなってしまうくらいなのだが、これがまたデゾルミエールである、冒頭からサラサラと爽やかに、まったく引っかかりなくサッサと流していく。明るい色調の即物的な表現は、ミゲル・カンデラのカラカラと笑うような無邪気に浅い音楽と融合し、「全く違う」グラズノフを聴かせていく。オールドスタイルの左手指使いは懐かしげな音も生んでいるが、それにはコッテリ甘ったるい重さが無く、あくまで軽やかな運指のうちにある。軽やか過ぎてメロメロになったり、音を外す箇所が頻繁に現れるのはいただけないものの、それも含めて特徴的だ。(カデンツ直前盤面返しのため音を短く切る乱暴な作りはさすがにいただけないが)部分部分にこだわることの全くないまま後半部に進んでいく。フランスオケの管楽器の音がまたプンプン漂う民族臭を灰汁抜きし、アバウトさも芸のうちと言わんばかりのカンデラのスピード感を失わないメトロノームテンポ的な解釈ともども気持ち良く聴ける。全般、デゾルミエールらしさの現れた、著名な「四季」録音の解釈に近似した颯爽としたアッサリ演奏として聴け、そこにカンデラならではの音色が加わったようなところに、一部マニアに受ける要素を感じ取った。個人的にはロシア音楽が嫌いな人ほど向く演奏だと思う。一方ペレアスなどの無解釈っぷりが嫌いな人には向かない。

グラズノフ:幻想曲「海」

セレブリエル指揮ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団(warner)2008/6/4-6・CD

グラズノフの交響詩は他の分野の作品に比べそれぞれが個性的で聴き応えがある。これは冒頭から明らかにワグナーの指輪を下地にしており(グラズノフは圧倒的な音楽体験の記憶を自らの作風に上手に取り込んでいったが、大抵はそれとわからないくらいこなれているので、このような露骨な書法の引用は珍しい)、そこに徐々に自らの旋律要素や構造への見識を取り込んでいくが、ラストに近づくまで余りその香りをさせない。それがスクリアビン的ですらあるというか、西欧的な印象を与える。これと比べれば西欧折衷派と呼ばれるモスクワ楽派すら臭すぎると思えるほどである。描写的表現、その方法と効果は前時代的な単純さを示すが、グラズノフの全盛期は19世紀である、その時代において~1890年代前後~これは必ずしも古臭くはない。ついで言えばこれはゴリゴリの民族音楽(スラヴ・カルテット)をも書いていた時期の作品なのである、この人の柔軟で多彩な才能がわかる。ここでセレブリエルの演奏、イギリスオケの中性的で透明感のある音、安定した技術のうえでこの曲はさらに灰汁抜きをされ、早いテンポをとることによりまるで喜びの島とかあのへんの次世代のフランス音楽家(グラズノフはのちにフランスで客死する、ロシア語以外ではフランス語のみ使った、ラヴェルと同じ新作発表会に曲を出していたくらいであった)のきらびやかな音詩のかもすものにきわめて近いイマジネーションを、ロシアの泥に足を取られること一切なく掻き立てられる。なかなかの名演。

グラズノフ:5つのノヴェレッテ~Ⅰ.スペイン風、Ⅱ.東洋風

ポルトロニエリ四重奏団(columbia)SP

しっとり聴かせる一曲目、イタリアの楽団らしい溌剌としたところをみせる二曲目、どちらも古い演奏にありがちなメロメロにはならず、音色はともかく、きちんとした現代的な演奏で、悪く言えばあまり個性的ではないが、良く言えば技術的に安心して聴けるものである。ボロディン風の二曲目にかんしていえば緩徐主題がいきなり南欧風の情緒をかもし世界を瞬間移動するような変な感覚が味わえた。ポルトロニエリは全曲録音していると思われるが、バラで四曲までしか確認できていない。

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番

グラズノフ四重奏団(noginsk)1937

細部まで解釈が施された特筆すべき演奏。楽章毎に出来にバラつきがある。一楽章はスピード感溢れる名演。二楽章は前記の単品録音の方が速度感がありいいかも。三楽章はしっとり聴かせる。四楽章はテンポが前に流れたり技術的な問題が目立ち、いきなりカットで終わるのは収録時間の問題とはいえ残念。1stヴァイオリンの美音◎。グラズノフの誇るポリフォニックな書法が楽しめる名曲で、暇があったら4楽章はぜひどうぞ。古典から国民楽派音楽までの音楽史を消化し、4本の楽器に集約した素晴らしい楽章。

グラズノフ:5つのノヴェレッテ~Ⅰ.スペイン風

グラズノフ四重奏団(Mus)1930

名前に恥じない演奏。グラズノフの特徴が詰まった曲を音程狂いも厭わぬくらいてんめんと。しかしテンポは揺らさないで突き進む。中間部少しダレるのは曲のせい。同曲集は軽いサロン音楽として、部分抜粋がしやすくアンコールピースとしても重宝される。長さ的に一面5分が限界のSPに向くせいか同時代録音が多く、シェフチク=ルホツキー弦楽四重奏団やポルトロニエリ四重奏団(四曲(Ⅰ.スペイン風、Ⅱ.東洋風、Ⅲ.古風な間奏曲、Ⅴ.ハンガリー風)録音している模様、うち2曲はイタリアの図書館書誌サイトで各30秒だけ聴ける)、ローマ四重奏団など録音がある。

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番~Ⅱ.スケルツォ

グラズノフ四重奏団(Mus)1930

びっくりしたと言ったら失礼か、上手い。水際立った表現、力のある演奏。グラズノフ四重奏団は戦前ソヴィエトの代表的弦楽四重奏団で、Ilya Lukashevsky、Alexsandr Pechnikov、Alexsandr Ryvkin、David Mogilevskyというメンバーからなる。ファーストがずば抜けているオールドスタイルの楽団ではあるが、今は聴けない縮緬ヴィブラート、即興的アンサンブルを楽しむことができる。

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

ラビンvミトロプーロス指揮NYP1954/5/2nicksonロシア国民楽派の後継者による独特の民族音楽奏法を取り入れた協奏曲。代表作。ラビンはまあまあという感じで特に凄いところはない。全体としてもまとまっている、くらい。録音悪い。

グラズノフ:5つのノヴェレッテ~Ⅲ

フロンザリー四重奏団(victor)SP

地味な楽章ゆえに大人しい演奏になっている。美質は聴き取れる。

グラズノフ:バレエ曲「ライモンダ」~間奏曲抜粋

○スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(放送)1970年代/4/6ブダペストlive

じつはこのベト7をメインとする演奏会で一番耳を惹いたのはこの曲で、リズムよしキレよしで楽曲は凡庸であるもののじつに爽快に聞けた。

グラズノフ:交響曲第5番~ⅡⅢ

○ボーアス指揮ハーグ管弦楽団?(私家盤)LP

地味な演奏で技術もそれなりといったところか。若い指揮者で誠実さは感じられ、アンダンテ楽章には心象的な情緒がたたえられており、ロシアの演奏にはない「引きの芸」がいい雰囲気を醸している。しかしながら、これはどうもアマチュアの演奏臭い。オケ名は正確にはわからない。○。

グラズノフ:ステンカ・ラージン

○ジャルディーノ指揮パリ音楽院管弦楽団(pathe)SP

要領がよくリズム感のよい指揮者だが、どこか垢抜けない。フランスよりはやはりロシア的。そういう曲だからそれでいいのだが、加えて現代的な無難さがある。色彩味はさすがこのオケといったところ。エイコーラーが美しい。録音年代は比較的新しいか。

グラズノフ:夢

○ジャン・デヴェミー(HRN)アルベール・ヴォルフ指揮ラムルー管弦楽団(POLYDOR)SP

何とも懐かしい音である。ホルンは木管楽器なのだなあ。。演奏は爽やかで色彩味がある。○。

グラズノフ:バレエの情景~Ⅲ.マズルカ

○エリアスベルク指揮レニングラード管弦楽団(USSR)SP

いかにも最盛期グラズノフのボロディン風味の曲で、エリヤスベルクは若々しくもりたてる。ただ録音のせいもあって貧弱な感も否めない。ロジェストなどを聴くとスケールの大きな楽曲にきこえるが、ここではやや小さい。

グラズノフ:謝肉祭序曲(冒頭欠落)

○チェリビダッケ指揮ベルリン放送交響楽団(audite)1945・CD

ボックス収録で恐らく初出。テンポが前に行かないものの愉悦感溢れるリズムとスピードで聴かせるチェリビダッケらしい国民楽派だ。緩徐旋律など透明感があり、ロシアの曲であることを忘れさせる。ドイツっぽくありながらそれにとどまらない表現が聞かれる。細かい動きがなかなか難しいグラズノフだが、オケは余程鍛えられたのか何とかやりきっている。フルヴェンぽい力感あるクライマックスあたりもいい。ただ、録音は悪い。○。

グラズノフ:幻想曲「森」

◯オルロフ指揮ソヴィエト国立放送管弦楽団(musiconline他)CD

ワンパターンなロシア節が横溢するがグラズノフには珍しい鳥の鳴き声の模倣や印象派のような絵画的表現が終盤を盛り立てる。オルロフはこのオケの方が合っているらしい。ワグナーやリムスキーのような壮大さは無いもののグラズノフそのものの魅力のみを上手く引き出している。

グラズノフ:バレエの情景~操り人形

◯オルロフ指揮ソヴィエト国立放送管弦楽団(musiconline他)CD

チャイコ風のバレエ小品といった趣だがフランス的な洒落た響きも楽しく、ここではオルロフもきらびやかにやってのけている。

グラズノフ:バレエ曲「お嬢さん女中」抜粋

オルロフ指揮ボリショイ劇場管弦楽団(musiconline他)CD

伝説的指揮者オルロフによるグラズノフの代表作から6曲抜粋だが、古い録音ゆえの脇の甘さや素朴さが耳につく。下手ではないが今の耳からすると褒められたものではない箇所も多い。おしなべて木管はよくできているが弦が雑然としている。ソリストすらとちる。曲の古臭さがひときわ際立つような解釈の無個性さも気になる。無印。つまんなかった。

グラズノフ:交響曲第7番「田園」

◯エリアスベルク指揮レニングラード交響楽団(?)1965/11/11live・LP

二軍オケが全般的に弱すぎてどうにもこうにもこの難曲を乗り切ってない(フィナーレ最後ブラスの印象的なフレーズがごっそり落ちてるのにはがっくり)。ただエリアスベルクの速めで余り揺れないテンポはそれはそれで面白く聴けるところがある。仕掛けの多い曲は変に揺らさないほうがいいのだ。まあ、そうじゃないと弾けないオケなのかもしれないが。集中力もあり、アーティキュレーション付けの面白い部分も3楽章など散見され、指揮者の個性も垣間見える。ライヴだからしょうがないか、という点も勘案して○はつけられるだろう。この指揮者はリズム感が良い。

グラズノフ:祝典序曲

◯エリアスベルク指揮レニングラード交響楽団(?)1965/11/11live・LP

音外しやテンポがもたつくところもあるが、リズム感はよく、歌いどころは過度にならない程度に歌い込み、オケの力不足か感情を揺り動かす音にはなっていないが、ちょっと鄙びた風情のグラズノフを聴くのも一興かと思う。グラズノフの作曲の腕が光る曲である一方難度もあるのでテンポが前に向かわないのか。悪くはないが。。◯。

グラズノフ:バレエ曲「ライモンダ」~間奏曲抜粋

◯エリアスベルク指揮レニングラード交響楽団(ペテルブルグ放送)1963?

いきなり思い入れたっぷりのフォルテから入り、この指揮者もやはりロシアの古い指揮者だったんだと実感させる。まるでワグナーの楽劇のような曲、演奏ぶりに、明らかにロシアの音でありながら西欧的な劇性も面白い。

グラズノフ:5つのノヴェレッテ~Ⅱ、Ⅲ

◯アンドルフィ四重奏団(disque a aiguille)SP

録音年代は古い模様だが、オリエンタレからは技巧派で、軽やかなアンサンブルをこうじる演奏スタイルがききとれる。現代的というか、フランス風というか、ロシアの演奏ではないことはたしかだ。間奏曲ではポルタメントも出てきてさすがに古臭さは否めないが、これがまた何とも言えない音色で、派手さはないが印象に残る。どこのパートが突出するでもなく、アンサンブルとしてよくできた団体だと思う。ボロディンふうの音響なのにドビュッシーふうに聴こえるのがいい。◯。

グラズノフ:コンサート・ワルツ第1番

○ヘルツ指揮サンフランシスコ交響楽団(victor/PRSC)1928/2/28

ヘルツ録音末期のものだが、言われるほど全然悪くない。ワルツになってない(揺れない)、というのは他の(とくにアメリカの)演奏ではいくらでもあるし、この前進力とこの時代にしては高い技術、緊張感、そして華やかに開放的な響きはpristineのレストアのせいもあるかもしれないが決して悪くない。前進力ありながらリズムが強く刻まれるのが心地いい。ロシア臭さのようなローカリズムから解放された音楽を楽しめた。

グラズノフ:5つのノヴェレッテ

○サンクトペテルブルク四重奏団(delos)CD

ここまでやり切ったノヴェレッテも無いだろう。強いて言えば余りに壮大激烈にやっているがゆえ別の曲に聞こえてしまうのが難点か。サンクトペテルブルクの弦楽の伝統的なフレージング、ヴィヴラートのかけ方、レガート気味にともするとスピッカートもベタ弾きしかねない、そういうところがもはや当然の前提として敢えてそのスタイルから外れ、抽象度を増しているところもあると思う。各曲の最後のダイナミックな収め方は民族音楽を通して保守的な弦楽四重奏曲という形式を壊すようなグラズノフのまだ意気軒昂としたところをよく押さえて出色だ。○。

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番

○リムスキー・コルサコフ四重奏団(ARS)CD

さらさら流れるような演奏で引っ掛かりは少ないが、内声部がよく聴こえる。この団体の中低弦の充実ぶりが伺え、グラズノフの書法の緻密さをじっくり味わえる。旋律主体の伸び縮みする演奏とは違う「アンサンブルの面白さ」が楽しめる演奏として特筆すべきだろう。2楽章のワルツなんかはグラズノフ四重奏団と同じような舞曲っぷりが何とも言えない香気を放ち、部分部分では特筆すべき解釈はある。終楽章はやや落ち着いているし恣意的過ぎる部分もあるものの、無難である。三楽章は余り印象に残らない。翻って長大な一楽章はとにかく速い。技術的に高いわけではないが技術的にバランスのとれた四人によって編み出された佳演と言えるだろう。ショスタコーヴィチ四重奏団よりもスタンダードと言っていいかも。

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番

◎サンクトペテルブルク四重奏団(delos)CD

ここまで解釈を尽くした演奏もあるまい。一楽章はいくらなんでもやり過ぎの感が否めないが三楽章はここまでやらなければ伝わらないのだ、という真理を聞かせてくれる。ファーストだけが異常に雄弁で音はやや硬くけして無茶苦茶上手い団体ではないのだが、これは交響曲として書かれたものであると喝破したかのような、まるで往年の巨匠系指揮者のやっていたようにダイナミック、細かく大きな起伏の付けられた表現をしている。偶数楽章はもっと直線的演奏の方が合っているかもしれない、異論があってもいいが、スタイルを固持し一貫している。もう一つ文句をつけるならワルツ主題がワルツになっていない、でもこれは抽象音楽の表現としては正しい。とにかく同曲の録音史上最もやり過ぎた演奏であり、やり込んだ演奏であり、これ以上曲を理解した演奏もなかろう。◎。

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番~Ⅱ.

○グラズノフ四重奏団(MUStrust)1930年代?・SP

速い。かつこの演奏精度は素晴らしい。テンポが前のめりだがそれがグラズノフの畳み掛けるような書法とピタリとあっていて正統な演奏であると感じさせる。ワルツ主題はそれにも増して速くびっくりするが、音の切り方、アーティキュレーションの付け方が巧緻でなかなかに聴かせる。ワルツ主題が優雅に展開する場面で初めてオールドスタイルの甘い音が耳を安らがせる。ここは理想的な歌い方だった。ショスタコーヴィチ四重奏団も歌いまくるがそれとは違う、優雅で西欧的な洗練すら感じさせる。その後テンポが激しくコントラストを付けて変わり、慌ただしくもあるが、冒頭主題が戻るとかなり落ち着く。その後はうまくまとめている。これほど達者で洗練された団体だとはあのボロディン2番からは想像できなかった。○。新グラズノフ四重奏団とは違う団体です。
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