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ラヴェル:ボレロ

デルヴォ指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(COMMAND/forgottenrecords)1961/5パリ

これが意外や意外?まっとうにボレロでイメージ通りのボレロ。オケの音が少し鄙びているなどあるかもしれないが私の耳には久しぶりの変化球でも即興でもない、ほんとのボレロが聴こえてきた。音量変化はわりと最初から大きめだが、終盤で想像以上にでかくなるので問題なし。リズムは重めというか少し落ち着いたテンポだが、むしろこれがボレロだろう。耳のお口直しにおすすめ。
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ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

デルヴォ指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(COMMAND,forgottenrecords)1961/5パリ

音が良いせいもあり、デルヴォーがそういう音作りをする指揮者ということもあり、リアルな肌触りの夜明けは、夜明け以外の何かの派手な幕開けに聴こえる。ただアクの強い表現も慣れてしまえば、デルヴォーのラヴェルってこうだったな、世俗的なダイナミズムをフランスの音で発する、そういったところで一曲目も中盤以降は、変な解釈も気にならなくなる(これは何もコマンド録音に限らないが)。緩急の緩に欠ける、という表現は大雑把過ぎるけど多用してしまうが、ここでは音色表現において緩急に欠ける、と書いておこうか。濃淡と言ったほうがいいのか、何かそれも違う。すでに迫力があり、だが求心的なミュンシュとは些かも似ず、拡散的であり、しかも豪速球というか、ロザンタールともまた違う。主情的なところがある。三楽章の盛り上がりには誰もケチを付けることはできないだろうが、他の人のラヴェルとは一風変わっている。個人的には構成的にカタルシスを得られなかった感じ。

ラヴェル:ボレロ

パレー指揮デトロイト交響楽団(SLS)1975/8/16liveミードウ・ブルック音楽祭

小気味いい!パレーの十八番、ラストはこれでカラッと突き進む。ポリトナルな響きの強調(これを違和感なく、しかししっかり聴かせられる人はそういない)気持ちよすぎるリズム、リズム、リズム!客席録音なのか冒頭から環境雑音が気になるものの、パレーのわりと毎回違う印象を与えるが毎回ワクワクさせること請け合いの「解釈」が、機能的で音にクセのないオケにより爽快に表現され、粋だ。素晴らしい終幕。大ブラヴォ。

ラヴェル:ラ・ヴァルス

デルヴォ指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(COMMAND/forgottenrecords)1961/5パリ

デルヴォーの変態性が全面に出た演奏で、とにかく派手派手で、ねちっこいフレージング、ポルタメント多用の下品な節回し、恣意的な操作の数々、聞いたことのない異常なテンポ変化の付け方はとてもウィンナーワルツではないし、ワルツですらない。スヴェトラーノフは変態ではなく大熊だが、デルヴォは間違いなく変態である。まあ、察してください。オケの音色、表現が見事にデルヴォーの意図を汲んでいる。

ラヴェル:道化師の朝の歌

デルヴォ指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(COMMAND/forgottenrecords)1961/5パリ

稀少LP盤で知られていたものの他録と同じという説もあるものをfrがCD-R復刻したもので、音は極めて良く、値段を厭わなければこちらだけを購入しておいても良いと思われるほど、まとまったラヴェル集となっている。嚆矢を飾るこの曲は派手なデルヴォーの響きはありながら、むしろ華々しさによってこそ曲のラテン風味が活きてくる。残響多なので誤魔化される部分もあるかもしれないが、艶のあるオケが良い。

ラヴェル:弦楽四重奏曲

パスカル四重奏団(forgottenrecords)1956/11/24live放送

エアチェックだろう、途中混信のような喋り声の入る音源。同じ盤のシベリウスも冒頭から混信が入る。しかしこのラヴェルはいい。パスカルは落ち着いたテンポであるがオールドスタイルのフレージングや解釈を施して、ラヴェルの感傷性をよく引き出して聴かせてくる。楽団のアンサンブルも安定して音色も表現も調和し、ライヴなのに乱れない。熱気が出ないのに感情的、なおかつ終楽章の五拍子リズムを非常に正確に取っているところに象徴されるように、情に流された演奏ではないところが凄い。低音が少し無個性で弱い部分もあるが、ファーストが音色の魅力で持っていってくれるのでそれを支える役目でいるところは違和感はない。これは録音の問題がなければ勧められた。

ラヴェル:マ・メール・ロア組曲

アンゲルブレシュト指揮ORTF(forgottenrecords)1961/7/4live

モノラルではあるがこれは素晴らしいライヴ。アンゲルブレシュトのちから強く確信に満ちた表現に心奪われる。七曲それぞれ夢幻溢れる美しく無邪気で、時に劇的に、最後には春の光差す庭園の緑の霞むが如く管弦楽版を感情的に…感傷的に描ききっている。アンゲルブレシュトは独自の編み方をしているが、ライヴ記録なりの迫力があり、オケも瑕疵なく一心同体となってラヴェルの世界を展開していく。拍手も盛大。

ラヴェル:マ・メール・ロア(ピアノ四手原曲)

ダルレ、フェヴリエ(p)(forgottenrecords)1958/6/17パリlive放送

放送エアチェックか、混信的なノイズが入る。この原曲の難しさがよく伝わってくる。ラヴェルのお気に入り(というか友人の子供という感じで可愛がった)フェヴリエは後年のような遅いテンポはとらず速いダルレにつけているが、いかんせんテンポ感や、こんな重音アリかというような響きの調和において、ズレを感じさせる。この不格好さはライヴだから仕方ないともいえるし、フェヴリエのタッチにクセが強いせいのようにも感じた。よたるというか、音圧のかけ方に偏りを感じる(Adesセッション録音集ではスピードを落としてもペルルミュテールなどにくらべ音色はともかく表現にクセは残っていたように思う、、、サイン入りLPが二束三文で出ていたなあ、CDあったから買わなかったけど)。雰囲気(音色)はギリギリというか、ラヴェルなので、繊細にするにも単純なのに工夫が強すぎて限界があり、録音状態のせいかもしれないが、強過ぎる寸前の感。妖精の園はそれでもゆったりとしているから、終わりの方はリズムも交錯しないし無茶な重音もないので、鐘の音の下で木琴のグリッサンドのように残響のないタラララをやって、拍手は普通。

ラヴェル:スペイン狂詩曲

フレイタス・ブランコ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(forgottenrecords)1959/04/17ジュネーヴlive放送

放送エアチェックレベルのノイズや撚れが気になるモノラル録音。中プロとして演奏された、得意のラヴェルである。色彩的で力感もかなりのまっとうな演奏であり、音色は透明でアンセルメ的だが表現はフランスの指揮者である。細かい音符まで明確に聴かせる指示もこのオケにとっては当時お手の物だったろう。ロザンタール的なテンポの落ち着きはあるが、打楽器の重い音による派手っぷりは少し違う。技巧的にも問題ない(すこうし反応が遅いか)。壮絶な終曲にブラヴォ終演。

ラヴェル:ラ・ヴァルス

ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCA)CD

何といっても正規セッション録音を先ずは聴くべきだろう、戦後ミュンシュのラヴェルは。この曲はたくさんライヴ録音がのこっているがすくなくともBSOとのセッションは必ずコンサートで披露してからの周到なもので、妙な破天荒さを求めなければ、そのライヴより劣っていることはけっしてない。この演奏もボストン交響楽団のパワー、あけっぴろげに轟かせる響きを存分に聴かせるよう録音されており、こんな音を出すオケなんだという見本で、ラストへ向かっての畳み掛けもミュンシュはテンポを揺らさず真っ直ぐに圧をかけていく、オケはそれを忠実に、明確にはっきり打ち出してくる。軋みも生じようものだがセッションではギリギリの線でぶつけてくる。ワルツの愉しみなどといった生温いものはない。破滅へと向かうデモーニッシュな舞踏を、ミュンシュのもとに叩きつけてくる。これを軸に興味があれば、いろいろ聴いていくと幅は広がって行くだろう。

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCA)1952/10/27・CD

モノラル。ホルンをはじめとして管楽器の音色表現は柔らかくも味がないが、弦楽器の震えるようなヴィヴラート、フレージングは感動的。もっとも音色が均質すぎてそこの綾はあまり味わえない。

ラヴェル:ラ・ヴァルス

ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(BSO,IMG)1962/2/2放送 live・CD

放送日との表記があったので演奏日としなかったが詳細不明。荒いステレオ。なまなましく明晰だがノイジー。演奏は前半落ち着き気味で、壮年から晩年への過渡的な感じもする。録音がそういう状態なのでボストンの音だと少しやかましく、ブラス、打楽器系がとくに耳障りなのはけして演奏のせいではない。派手な響きにテンポがあってきて速い流れができるも、緩やかになるとアンサンブルも緩やかになるというか、雑味があり、バレエ音楽として重要なリズム感も失われがちになる(元よりバレエ音楽として同曲を演奏したことはないだろうが)。浮き立つ気分はリズムに裏打ちされるもので、難曲なところをスピードと力で押し通すミュンシュとしては、力は十分だがスピード変化に楽団の表現がしっくり合ってこず、リズムのキレというか、その流れ、まとまりがない感も否めない。最後の方も、録音バランスのせいかもしれないものの弦楽器にもっと張って欲しい。物凄いアッチェランドで強引なブラヴォ誘導。

ラヴェル:3つのヘブライの歌

グレイ(Msp)作曲家?(P)(polydor/cascavelle他)1932/6パリ・CD

ほとんどの復刻が二曲抜粋なものの(作曲時期が1910年と14年に別れるせいか)、いずれも短いので一曲欠けるくらい些細なことと考えれば自作自演として普通に聴かれてきた録音。だが、cascavelleが三集にわたって大成したラヴェル集およびマドレーヌ・グレイ集としてCD一枚にまとめた音源のデータには従来と異なる記載がある。グレイ夫人の伴奏として自演と言われていたが、無名のピアニストへの指示だけで自分では弾いていない(ラヴェルが自作自演したものはピアノロールしかない)可能性が強いとのこと。録音技術への不審があった、などどういう根拠なのかわからないが、「マダガスカル島民の歌」より小規模でぐっと単純なので誰が弾いても伴奏の範疇でしかなかろう。明瞭で曇りのないタッチ。グレイ夫人の歌唱は癖があって嫌われたそうだが若い頃は正確で音域幅があり、同時代の作曲家に好かれた。それはカントルーブより捧げられたオーベルニュの歌(録音は抜粋、cascavelle等のグレイ集にも収録)からも、復刻の少ない戦前戦中SP録音からも窺い知れる。ここでは単純な歌を恐らくわざと崩して歌っていて民族性を出している。ヘブライ音律が支配的なマジェスケはピアノもろともさほど個性を必要としていない。2分弱の同曲のあと、ラヴェルにはしばしばあることだが不格好に長いカディッシュが入る。3分半あまり、繊細ではあるがピアノは少しも難しくない軽いタッチの歌である。民族的にやるべきところだろうが、この演奏はわりと真面目で面白くない。1分に満たない終曲「永遠の謎」こそこの曲集の要とも思うが、よくレストアされているとはいえ音数の少ない曲の神秘的な叙情を醸すには分が悪い。

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

ミュンシュ指揮フィラデルフィア管弦楽団(PO)1963/3/7live放送・CD

フィラデルフィア管弦楽団自主制作ボックス所収の音源はいずれも音質に問題がある。立派な箱に装丁なのだが私のボックスには不良盤すらあった。この音源も最初は篭っていて木管が聴き取れず同曲の始まりとしては首を傾げざるを得ないバランスの悪さで、ラスト近くでもノイジーになる。いずれ音像が古ぼけてフィラデルフィア管ならではの色は感じ難い。ただ、一、二楽章の陶酔的なテンポは一聴に値する。ミュンシュの千両役者ぶりが発揮され、音楽は流れのままに極端に伸縮し自己陶酔の極みである。そこを綺麗にやってのけているのはこのオケの技量を窺い知れるところだろう。録音状態が良くないので音色の魅力には言及しづらいが後半は木管の太く明確なフィンガリングが聴き取れ、音楽を盛り立てている。肝心の弦はどうもやっぱり明確に立ってこない、これも録音のせいか。大ブラヴォの終演で、テンポと音量変化だけでも確かにミュンシュの良いところが出まくっているのはわかるので、聴かず遠ざけるには惜しい音源ではある。

ラヴェル:ラ・ヴァルス

マルケヴィッチ指揮フィルハーモニア管弦楽団(COLUMBIA/HECTOR他)1952/9

狂乱のワルツ。冒頭から荒れまくるロシア節とバレエ指揮者としての見事なリズムで煽る煽る。オケが良く指揮者にぴたりとつけていく。技巧的にすぐれたオケでなければコウハかないし、多少羽目を外した揺らしやハスキーな発音も下品に聴こえない。統制はマルケだから厳しく、しかし崩壊に向かう終盤では音符の横の長さをしっかり取って響きをより壮大にぶちまけて、大見得切って終了。これは録音のふるさをおいておけば素晴らしい。

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(DECCA)

冒頭ホルンソロから塩。音色も表現もさらさらして引っかかりがない。ただ全体の響き等の調和はきわめて繊細にとられており、中間部になると管と対話する弦の表現の振幅が大きく響きも重く、依然神経質なほど細かく制御されているのだが、対比ははっきりしていて、計算的にやっていたことがわかる。ふたたび主旋律に戻ると小川の流れるようなさらさらしたテンポに戻り、そっと終わる。小洒落た人は好むだろう。冷たく感じた。

ラヴェル:スペイン狂詩曲

コンドラシン指揮ACO(eternities)1971/1/14live

荒い。録音も荒いが演奏も粗があり、もはやロシア流とも言いきれない個性が確立されているのだとは思うが、やはり管楽器の発音がいちいち強く、録音バランスが悪いのもあって抑揚の抑の方が聴こえなくて、吹けていないように聴こえたり、ちょっと推せない。ただ終楽章は凄まじい。ミュンシュの迫力に似ているのだがもっと北方的な脂のない筋肉という感じもする。とにかく指揮者もオケもフランス物において音色で売る感じではないので、ミュンシュとは比べられないが、しかし最後のド迫力と盛大なブラヴォ拍手は、この曲をレパートリーとして録音も多く残るコンドラシンの面目躍如といったところだろう。

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

モントゥ指揮イスラエル・フィル(helicorn,IPO)1964/3・CD

同じレーベルから出ている1964/3/7録音と同じようだが印象が違った。分厚く重くてねっとりした、まるでコンセルトヘボウ管の如きオケ相手にモントゥーが懸命にドライヴをかけているような演奏。噎せ返るような響きはいいのだがそれが足枷になり、また肝心の木管が上手くなく、フィラデルフィア管の華々しく開放的な音とも違い、録音が悪いせいもあるのだがとにかく、ラヴェル向きではない。そのぶん「いつものモントゥーとは違う」悪戦苦闘ぶりと、闘争の結果として生まれた何とも言えない独特の音楽はスキモノは面白く聴けるだろう。録音がクリアならもっと面白かったかもしれないがいかんせん、篭ってモノトーンなのは痛い。80周年を迎えるイスラエル・フィルのまだまだ垢抜けない時期の演奏ぶりを楽しめる。この音はマーラーには向くんですよね。

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲

ドラティ指揮ミネアポリス交響楽団、セント・ポール・マカレスター大学合唱団(mercury)1954/12/4

ちょっと驚くほど良い演奏でびっくりした。心持ち短く寸詰まりの発音をさせ、小股の切れ上がった演奏を仕立てていく。設計も上手く、いわゆる第二組曲にあたる「朝」の冒頭があまり盛り上がらないかと思うとそれは最終的に合唱を伴い最強音にいたるまでの大きなクレッシェンドなのである。楽団もかなり鍛えられており木管、フルートあたりはややどうかという吹けなさだがモノラルなので最後の方を除けばあまり気にならない。モノラルなので合唱の押しが弱く残念だがスピーカーでいじりまくった音で聴いていただきたい。セッション録音を聴くと、録音状態の問題はかなり大きいなと思う。一気に聴ける。

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

プレートル指揮シュツットガルト南西ドイツ放送交響楽団(hanssler)1997/10・CD

冒頭から木管の音が硬く表情も強張り、鈍重な響きはドイツオケの悪いところが出ている。夜明けの感じがしない。ただゆったりとしたテンポで、柔和な交錯、法悦的な表情付けを連ねてから、やがて過度に人工的に表情が付加され(最弱音でやり取りされるソロ楽器への緩徐部の繊細な操作は耳を澄ませないとわからないほど細かいがとてもソリスティックでいながら予定調和的なまとまりを見せる)、良録音なりの内部の細かな動きまで聴き取れるのも含めて、チェリビダッケよりこなれていないものの、やはりその遅くじっくりとやる点において同傾向の構築的で壮大な演奏となった。さてしかし「全員の踊り」となると無骨で野蛮な面が出てきてピッコロが吹けていなくても関心なしに突き進むプレートルらしさが表立ってくる。整えたようなアンサンブルはまだ残るが、雑味を抑えまとめることにより迫力に昇華されていく。音符間に空気の通るようなデジタルな響きは現代的だが、破壊的に切れ落ちる終幕はきっぱりしていて清々しい。

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA)1962live

いささか乱暴な録音だが(全曲からの切り出し?)まとまっていてミュンシュのものとしては聴きやすい。外しがなく、不格好なデフォルメもない。なかなか聴き応えがある。ラスト近くできついノイズが入るのは痛いが、物凄いスピードにもものともせずやりきったオケにブラヴォが飛ぶ。

ラヴェル:マ・メール・ロワ組曲

ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCA)1958/2/19・CD

得意としたラヴェルであり、情感たっぷり、分厚い響きで盛り上げる。少し硬い音で、緩急の緩に柔和さ(響き含む)が欲しい向きもいるかもしれないが、ミュンシュのラヴェルの、これが標準であり、ライヴは派生するものとしてまずこれを聴くのが良いだろうと思う。

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ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ

マルティノン指揮パリ管弦楽団(EMI他)CD

少し重いがステレオ優秀録音の情報量の多さゆえそう感じるのかもしれない。内声部の緻密な動き、弱音部の繊細な響きがしっかりとらえられており、開放的で華やかな響きは録音マジックとは思えど、マルティノンの一歩引くもしっかりした音楽作りの成果として、曲を良く知る人にむしろ向く演奏かもしれない。

ラヴェル:ラ・ヴァルス

モントゥ指揮ボストン交響楽団(whra)1958/7/25live・CD

この人のラ・ヴァルスはミュンシュのように揺らさず煽らない直線タイプだが、リズム感の良さが際立ち(かといってズラしてウィンナーワルツ風にするとかいったものではなく自然と舞踏的なのである)、派手で色彩感あふれる響きを全て統制して首尾よくまとめる。フランスの伝統的な各楽器演奏上の流儀を、アバウトな部分も込みなこともあるが、このオケに持ち込み、そしてこの晩年に至っても忠実に守っているといった、保守的ではないのだがやはりそれを感じさせずにおれない。何分聴かないとわからない、解釈に仕掛けを入れるタイプではないから、最後大ブラヴォーで終わると書いておけば、ミュンシュに較べればねえ、なんていう聴かず憶測も払拭できるだろうか。録音は弱い。モントゥーの真価たる迫力を収録しきれていない可能性がある。

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲

プレートル指揮ベルリン・ドイツ交響楽団他(WEITBLICK)2006/3/4live・CD

夜明けのしばらく柔らかい音だと思ったら合唱付きで録音都合の音の遠さということらしい。組曲での合唱付きは珍しい。陶酔的な表現、止揚するテンポにのって合唱が雰囲気を高め、音の少ない部分ではなかなかリリカルなラヴェルらしい音を出させる正攻法のところもあり、それは一つにはRIASを源とするこのドイツオケが元来得意とする低い音域へのこだわりを放棄させ、醒めたくらいの音の上、フルートなど木管にとことん明るく歌わせるところ、さらにプレートルらしくもなくと言っては失礼だがまさにフランス伝統の同曲の演奏、ミュンシュふうに意思的でももっと香り立つ美麗な表現で突き通している、とくに二楽章はオールドスタイルと言えるくらいに夢幻性を煽りまくってくる。頭の揃わないような野暮ったい合奏のトゥッティはともかく三楽章突入すると気を煽るスタイルに切り替えていく(ドイツオケらしく縦を強く意識して前進的ではないが)。ちょっとオケのバランスが悪いというか木管と弦が遠く感じるところもあるものの、太鼓が近く派手に響いて、卑びた雰囲気の、プレートルらしい雑味を孕む独特の縦ノリオケに合唱が大きな幕のように被さってきて、変に空疎な変に盛り上がる、フィナーレ感の薄い独特の破裂でブラヴォが散発。いや、合唱付きなのでそれだけで価値はあります。

ラヴェル:ボレロ

プレートル指揮ベルリン・ドイツ交響楽団(WEITBLICK)2001/10/15live・CD

音を短く切ってリズムを強調すると思いきや旋律各部後半の長い音符をほんとにポリリズム的に引き伸ばし、旋律の合間の休符で辻褄を合わせるという南欧の指揮者がやりそうな(音は全く南欧的ではないが)独特の、いつ時代なんだというトンデモ演奏(トンデモという汎用語は使いたくないのだが)。ほんとに聴けばトンデモとしか言いようのない旋律表現、それを合奏部分まで八割方(十割ではない!)徹底しているからソロ楽器の洒落た歌い回しのためにやったとかいう範疇ではない。クレッシェンドもなんだかいびつで大きな松葉がきちんとした右開きの三角直線で構成されていない、これは録音のせいか?ブラヴォが出るのはライヴでなければあり得ない、その場の空気を呑み込んだ表現だったからだろう。冷静に音盤で聴くと(同時期の映像もあったのではないか)プレートルの悪いところが出ている個性的演奏。

ラヴェル:ボレロ

パレー指揮ORTF(DA/vibrato:CD-R/ina配信)1972live(1972/6/5放送)

vibratoは当時DA盤のコピーを何倍もの値段で出していたので、聴いてはいないがほぼ同じ演奏時間で同じ組み合わせの中にあるこれも、同じものだろう。音質は珍しくクリアなステレオで良好(パレーの放送音源はina.frに大量にある(ウンザリするほどある)。1972/4/12のシャンゼリゼライヴ説が濃厚で、ベルリオーズ「海賊」も演奏されたことからすると、それを含む全演目が1972/6/5放送として提供されており、同一と思われる)。高速軽量級、しかし数珠繋ぎの管楽器にはいささかのミスも手抜きもなく、緊張感と力感に娯楽性が同居したまさにフランスのトップオケによる胸のすくようなボレロ。軍楽隊の如きスネアと開放的な高音ブラス、不断のテンポはどこまでもクレッシェンドしていく音楽に弛緩の隙を与えない。SP時代を思わせる13分弱のボレロだが時計で整えたあちらとは質は全く違う。耳を離す気にならない、みんな同じであってもこの人の大量に残されているであろう(ina.frは目下6/5放送のひとつだけしか確認できない)ボレロ。全部聴きたくもなるものだ。いつも通り大ブラヴォ。DA盤は大拍手をアナウンサーが無残に断ち切りメニューインのベトコンに突入する。粘らないベトコンも良い(さすがにガチガチのベートーヴェンになると細部の音色や音程など気になる)。

ラヴェル:ピアノ協奏曲

ニコレ・アンリオ・シュヴァイツァー(P)ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCA)1957/11/25・CD

旧録だがステレオ。これが妙に、と言っては何だか魅力のある演奏で、もちろんスタジオ録音だからミスは無いのだが時折瞬間立ち止まるような堅さは、ペルルミュテール/ホーレンシュタイン盤を彷彿とさせるのだ。音はもっと硬質で色が無く無理して強く打鍵しているような荒さがあり詩情を比べるのもおかしいのだけれど、それでもこの演奏は魅力がある。マルグリート・ロンからヴラド・ペルルミュテールに至る同曲演奏の一つの流れの上にいる。私の悪い耳から言えば「ハッキリしている」からわかりやすいのだろう。柔らかさがないのが同曲には向いているのだ。それでも二楽章~誰がやっても詩情漂うのだが~はこの人にしては、結構感傷的というか、よく起伏がつき印象深い。ミュンシュはぴたりとつけ、これもロンやペルルミュテールのバック同様何かを付加することはない(ホーレンシュタインはマイナスしている感もあるが)。この演奏は推せます。ニコレ・アンリオについては別記したが自分で検索する上で引っかかりやすくするのと、同じ人であることを強調し統一感を持たせるため、わざわざ結婚前後で名前表記を変えず、シュヴァイツァーまで記載しています。本ブログ(まとめブログ)ではこのようにわざと表記をいじったり、検索用に文中で名前表記を幾つも使ったり(モントゥー、モントゥのように)してます。

ラヴェル:ツィガーヌ

D.オイストラフ(Vn)ブール指揮ORTF(ina)1959/6/1(1959/6/21放送)live

ina配信でもAmazonデジタル配信でも聴ける。直前のプロコフィエフより音が明晰。別録か。冒頭から軽く、技術的にも独特なところがあり民族性が薄い。粗さが目立つというか、この曲特有の繊細で特殊な表現に豪快で野太いヴァイオリニズムがマッチしてないと感じた。オケが入り(相変わらず見通しよく適切だが音色が少し鄙びている)安定はするものの、合っているのにどこか違う、こういうのは東欧のヴァイオリニストやグリュミオーあたりが得意とするものでヴィルトーゾには向かない。ブラヴォは飛ぶ。独特だからかも。

ラヴェル:ラ・ヴァルス

スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(lanne)1982/11/26live

録音の悪さもさることながらぱっとしない。テンポも緩くこの人にしては(ラストを除き)揺れが無く、オケの音色にもオケ特有のものがあまり聴かれない。いかにもワルツっぽい浮き立ったリズム感がないのはこの人なので仕方ないが、過度に期待すると裏切られる。ブラヴォが飛ぶので実演と録音の差か。
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