フィンジ:連作歌曲集「花束を運ばせてほしい」

ジャネット・ベイカー(Alt)パーソンズ(P)(bbc)1983/7/4チェルトナム・タウンホールlive・CD

最もイギリス的な作曲家として人気の出ているフィンジ。プロフェッショナルな作曲家の道を歩んできた人ではなく比較的短命であったことから作品数は少ない。むしろ英国の文芸や「園芸」の研究に並ならず力を注ぎ、それが作曲の志向と深く結びついていることは注目すべき点である。そして移民の血筋でユダヤ系であることなど全く問題にされず、英国の20世紀における作曲家の代表的存在として存命中から現代に至るまで認識されていることは、ロンドン生まれで海外経験もない人生だったこと以上にRVWらの構築した現代フランスの語法を取り入れた新しい民族主義音楽からの影響について、あくまで自己に忠実な部分のみに留め、必要なだけ「純化」し、まったく作品群の要である英詩にもとづく歌曲において、明快な音律との完全に融合した表現に結実させたところにあると思う。この作品もシェークスピアに依るが深い悲しみから軽快な歓びにいたるまで、実に素直であり、第二次大戦下完成された作品とは思えない陰りの無さである。歌詞に沿った伴奏はリズム面でまったく詞と違うことなく最初から最後までユニゾン的な動き方しかしない。歌詞から入らなければ、凡庸な音楽に聴こえるだろうし、このベイカーのように雄弁な歌いぶりをされると、ああそうですね、と入り込めずにただ感想を口にするしかないだろう。でもおそらく、私は英国人ではないので推測でしかないが、一定の階層の英国人であればここに紛れもないイギリス音楽の伝統を見出し、懐かしく、馴染んだ調子で聴くことができるのではないか。けして若書きではないが(20年代より書き始められたようである)、同じ盤に収録されているヴォーン・ウィリアムズの著名作「リンデン・リー」(乱暴に言えば20年後の山田耕筰「この道はいつか来た道」と同じような歌である)と雰囲気においては似たところがあり、それよりも後退したようなピアノの書法がむしろ、フィンジを特徴づけるものとなっている(リンデン・リーはRVWがラヴェルに学ぶ前の作品である)。初演は1942年ヴォーン・ウィリアムズ70歳の誕生日に行われ、献呈された。弦楽四重奏による伴奏版も作られており、英国的な演奏を求めるのであればむしろピアノ版より良いかもしれない。また原曲はバリトンのための作品である。
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フィンジ:管弦楽のための「落葉」

○エルダー指揮ハレ管弦楽団(ho)2002/11/3・CD

力無い下降音が三つ。この出だしからして余りに落葉である。そのままいくと思いきや、古風な民謡世界に流れていき、バックスの交響詩に近い、でももっと単純で生硬とすら感じさせる音楽が展開される。遅れてきたイギリス国民楽派、フィンジの地味な時期の地味な一曲だが、こういうのが好きな人もいるだろう。ディーリアスを期待したら裏切られる、歌曲で評価された作曲家だけあって、あくまで旋律音楽。エルダーはこのハレ管弦楽団自主制作の英国音楽集の中でも曲によってムラがあるというか、オケの力の入り方が違うというか、この曲では大人しすぎる感じがする。ま、大人しい曲なのだが。。
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