ラファエル:合唱交響曲「大いなる知恵に」Op.81

ツヴェトゥカ・アーリン(alt)ライムント・グルムバッハ(b)ギーレン指揮バイエルン放送交響楽団&合唱団(cpo)1965/12/22ミュンヘン・ヘルクレスザール・CD

驚くべきことにモノラル録音なのである(しかもそれほどクリアではない)。構造こそ伴奏と合唱(独唱)という対比で進む単純な曲ではあるが、壮麗な音楽を楽しむのにマイナスであると言わざるを得ない。老子をテクストに使っているとは言え音楽は硬質のヨーロッパ現代のものでツェムリンスキーやマーラーの香りは全くといっていいほどしない(前者の突き放したような客観性、後者の木管の用法は似るか)。といって現代曲というほどではなく、前衛とは一線を置いている。しずかな響きの教会音楽的要素もあり、陰鬱な天気の日に流しっぱなしにするといい(とにかく同じような調性で長いのだ)。気分を害することはない、暗い雰囲気の変化のない大曲。変な政治的主張やささくれだった心情の深層の反映されない(一部楽章はダイナミックだが)、ストレートに重く、ある意味無害でもある。歌唱が楽曲的に主軸となるので刻んだり合いの手を入れたりするだけのオケ部とは違って、楽しめる人は楽しめるだろう。ギーレンは引き締まった音楽を作りとても若い頃の録音とは思えない。もっとも歌がメインとなるので管弦楽は二の次だろう。こういう単調な曲だから別に合唱指揮を立てている可能性は低いか。アメリカやフランスの20世紀前中期無名交響曲よりはよほどしっかり簡潔で耳に馴染む。立てたり貶したり面倒だ(長いのである)。
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ラファエル:交響曲第3番

フォレムニー指揮中央ドイツ放送交響楽団(cpo)2003/4/28-5/2・CD

なんというか、暗いメルヘンで迷子になったような作風で、演奏も魅力を伝えきれていないように思われる。どこを聴けばいいのか、中核はどこにあるのか?体臭の薄い作品に演奏。三楽章の鈴もマーラー的であるのに何かよそよそしい。一番聴きやすい人を食ったような楽章ではあるが。新古典的な楽章はヒンデミットの足元にもおよばない。無印。

ラファエル:交響曲第5番

○イッセルシュテット指揮ハンブルク北ドイツ放送交響楽団(cpo他)1960/11/1-4・CD

曲が前作と違い現代指向になっており、抒情旋律はあらわれるもののおおむねロマンティックな要素とは無縁の曲になっている。演奏は思ったより荒い。いちおう○にはしておく。

ラファエル:交響曲第4番

○チェリビダッケ指揮BPO(cpo他)1950/12/7ティタニア・パラストlive・CD

liveとのことだが拍手や環境雑音はカットされている。auditeより一日違いの録音がボックスで出たが収録時間より同じものの可能性が高いものと思われる。曲はこの人の最も良い部分があらわれている。重厚な響きと明るい輝き、動きこそまったく異なるものの色調はヒンデミットのわかりやすい方の作品を彷彿とさせる。引き締まった三楽章制であるのがまたよい。演奏は音程やリズムなどに細かい事故は聴かれるがおおむね聴けるレベル。○。

ラファエル:交響曲第2番

◯アルトシュタット指揮中部ドイツ放送交響楽団(CPO)2007/3/19-22・CD

ワグナーが始まったか!と思うとマーラーの復活冒頭に似た音形が繰り返され、しかし何か浅薄で構造的な面白みがない。かなりのっぺりした、しかし耳馴染みは良い音楽が展開されてゆき、次第に飽きてくるが、適度に現代的でマーラーとは違う。ベルリオーズの幻想のような所もあるが、おおむねはラファエル特有の「聞きやすさ」で占められているがゆえの、つまらなさがあり、これをやりきったオケに喝采。ちょっとヴォーン・ウィリアムズの牧歌的音楽を彷彿とさせるところもある。

ラファエル:ヤボナー

◯ストコフスキ指揮北西ドイツ放送交響楽団(SCC:CD-R)1952/7/7

余りの曲の良さに思わずcpoの交響曲集を買ってしまったのだが、このポスト・マーラーと目されたうちの一人であるギュンター・ラファエルはナチの迫害を受けたものの、多数の作品を巨匠や若き名手に演奏されていた人気作曲家でもあり、派手で人好きするわりに深みには欠けるかもしれないが、今の耳からするとけして人気が無くなる理由はわからない。確かに節操のない作風の幅で雑多な作品を量産し、演奏困難なほど長大な作品を作るなど、現代作曲家としてどうなのか、というところもあるが、職人気質を好む人には受ける要素が依然あると思う。この曲は東洋趣味があらわれコダーイなども想起する組曲だが、ストコフスキーの派手な音響がじつに曲の魅力を引き出している。オケはほんとに上手い。作品番号66ということで円熟期のものということもあるか、生硬なところはかけらもないので、安心して聴けます。
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