オルウィン:交響曲第1番

作曲家指揮ロンドン・フィル(lyrita)CD非常に美しい音楽を描く人。イギリス20世紀に咲いた密やかな花。シベリウスやウォルトンなどを彷彿とさせるこの曲において、アルウィンは映画音楽的な耳馴染みが良い音楽を展開している。ロマンティックな性向は保守的なイギリスらしい。管弦楽の扱いが手慣れたもので、個性は薄いが技術的には高度だ。勇壮でオケがよく鳴る曲だけれども、旋律は決して明瞭でなく、ただ 響きの美しさに浸るのがよい。この演奏はロンドン・フィルの好演が光る。アルウィンの指揮も慣れたもの。同曲はバルビローリに献呈・初演された。 ,
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オルウィン:交響曲第1番

○バルビローリ指揮BBC交響楽団(DUTTON,cedar)1952/6/11・CD

何に似ていると言ったらいいのだろう?ジョン・ウィリアムズの映画音楽だ。心なしか楽団のボストンにも似た技術の高さと硬質な音、ダイナミズムを派手に表現する能力もあいまって、個性はよくわからない正直、しかし面白い。壮年期バルビも音楽を舳先で先導し娯楽性を高める。なかなか復刻状態もよくステレオにすら聞こえる。ただちょっと遠い音。○。

オルウィン:交響曲第2番

○作曲家指揮LPO(LYRITA)CD

さすが作曲家と言う前に、器用さが出た佳演である。録音が良好なステレオということもあるが、立体的な書法を緻密に彩る各楽器の繊細な動きが明瞭に描き出され、自身の美学がよく聞き取れる。叙事詩的な側面を感じさせる曲で(つまりは映画音楽的)、音だけではわけのわからない盛り上がりと凪の繰り返しで気まぐれに出来ているようにも捉えられるが、ピアニッシモまでしっかり聞き取れるので手抜きの無く有機的に繋がる楽曲の広がりに浸るだけでも飽きない。リズム感においてやっぱり専門指揮者に比べると生硬さがあるが、整えられた正確なテンポに対して響きへの感覚は非常に確かで、「鳴らしどころと鳴らし方」を知っている。晩年のウォルトンより上手い。だからインパクトを意図したブラスの派手さにとっぴさとか空虚さは感じられないし、弦楽器が前面に出る場面では旋律だけが浮き立った演歌にもならない(第二部クライマックスで、ここだやっときたとばかりにシベリウス1番終楽章緩徐主題のような旋律を歌うLPOの弦楽陣には拍手・・・最初から歌うのではなくここで初めてヴィブラートを尽くすのが巧い)。なかなか。○。

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Alwyn: Symphonies 2, 3 & 5

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オルウィン:交響曲第2番

バルビローリ指揮ハレ管弦楽団(DUTTON,CEDAR他)1953/10/25・CD

私の記憶ではEMI原盤。バルビローリ委属作品で初演直後のスタジオ録音になる。バルビの芸風が独特であることを改めて認識させられる。オルウィンは基本ウォルトンである。だから派手で硬質で近代フランス+新ウィーン楽派的な透明感のある響きを織り交ぜて、細かいトリッキーな装飾音形を駆使し、精緻なアンサンブルを後期シベリウスの影響下に繰り広げていく。これはRVW後のイギリス音楽の一つの大きな流れとなっているものだが、バルビはロマン派の指揮者であり、響きの透明感は重視せず、起伏も常にレガーティッシモで滑らか、非常に有機的な横の流れを作る。弦楽器の指揮者だからと言ったほうがいいか、こけおどし的なブラスをガンガンに鳴らしてのダイナミズムやデジタルな変化付け、オケの機能性を見せ付けるようなギチギチ締め付けられたアンサンブルを好まないのだ。更に管楽器に弱いという点も現代的な管弦楽法の曲で持ち味を発揮できない原因となっている。ウォルトンに向かないのはそのせいで、じじつ演奏は殆ど無い。

更に指揮者が起伏を意図的にしっかりつけていかないとのんべんだらりとしてしまう類の書法の楽曲では、本当にわけのわからない音楽を作ってしまう弱点がある・・・特に晩年の芸風では。構築性が希薄で、全体設計を作ってしっかりまとめるより刹那的な感傷表現をより重視するきらいがある。シェーンベルク初期の楽曲においては名録音があるが、あれもどちらかといえばのんべんだらりの上にうねるような「バルビ節」を聞かせる好悪分かつものである。マーラー5,6番のスタジオ録音が一番象徴的だ。とにかく悠久の大河のようになめらか過ぎる。

この曲は二部構成という特殊な形態をとっており構成上・書法上の後期シベリウスの影響はあきらかである。シベリウスは後期においてはダイナミズムを狙わない作曲家だったが非常に周到にスコアを練り上げたため、4番のような起伏の無い交響曲においても「のんべんだらり」にはなりにくい。だがオルウィンはその点甘い。というか一般聴衆受けする音楽というものを熟知していたがために、意匠・構成上は新しいのに常套的表現を長々と連ねてしまった、いわば「サービス」しすぎた作品とも言えよう。バルビの録音はモノラルで遠く、オルウィンの細かい仕掛けを織り交ぜた作品を表現するには(とくにこの曲には)悪すぎる、ということもあるのだが、それとは別に世紀末ロマン派音楽、例えば無調以前のシェーンベルクまでの中欧音楽の流れをしっかり土台に据えているこの曲において、常套的な部分こそ本質だとばかりに強く意識して、特に弦楽をうねらせ歌わせバルビ節に持っていってしまった、そこが違和感を感じさせるのだ。

試しに新しい録音やオルウィン晩年の自作自演を聞いてみてほしい。余りの印象の違いに驚くのではないか。この演奏は(確かに他曲と比べても中欧ロマン派的な匂いが強いことは確かなのだが)旧ロマン派であり、新録は新ロマン派的と捉えられる。オルウィンはバルビに絶大な信頼を寄せていたが、自作自演を聴く限りあくまで敬意に近かったのではないかとも思った。うーん、やっぱりでも、録音が悪いな。無印。

この曲、2部構成にしてしまったために各部やはり長たらしく、オルウィンではとっつきづらいかもしれない。ただでさえ気まぐれな連続性の上で結局退嬰的に滅んでいく、わけわからなさがオルウィンの構成法なのだから、形式を半端にとっぱらってしまうと聴きづらい。

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William Alwyn: Symphonies Nos. 1 & 2

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オルウィン:交響曲第1番

○作曲家指揮ロンドン・フィル(lyrita)CD

非常に美しい音楽を描く人。イギリス20世紀に咲いた密やかな花。シベリウスやウォルトンなどを彷彿とさせるこの曲において、オルウィンは映画音楽的な耳馴染みが良い音楽を展開している。ロマンティックな性向は保守的なイギリスらしい。管弦楽の扱いが手慣れたもので、個性は薄いが技術的には高度だ。勇壮でオケがよく鳴る曲だけれども、旋律は決して明瞭でなく、ただ響きの美しさに浸るのがよい。この演奏はロンドン・フィルの好演が光る。オルウィンの指揮も慣れたもの。同曲はバルビローリに献呈・初演された。1949年作品と遅まきのシンフォニー。 (1993記)

LP時代のLYRITAに全集録音を残しているが、CDでは長らく廃盤となっていた。しかし最近復刻されている。これは1,4の組み合わせ。
Alwyn conducts Alwyn

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オルウィン(アルウィン)交響曲第3番他まとめ

自作自演はまだまだ復刻されている。
Alwyn: Symphonies 2, 3 & 5

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Alwyn Conducts Alwyn

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Concerto Grosso 2
Alwyn,Lpo
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オルウィン:交響曲第3番

○ビーチャム指揮BBC交響楽団(DA:CD-R/SOMM)1956/10/10ロンドン・ロイヤル・フェスティヴァル・ホール初演live・CD

シャープでダイナミック、しかし中欧伝統の管弦楽のしっかりした土台を踏まえたうえでネオ・ロマンチシズム的な平易さを打ち出すオルウィンの代表作のひとつ。映画音楽家らしい一般へのアピール力のある曲で、管弦楽効果も素晴らしく、構成的にも無駄がない(ウォルトンの1番に似るが凝縮度では真逆)。焦燥感に満ちた雰囲気が終始維持されるが、ルーセルやホルストのようなわかりやすい音楽でカタルシスもきちんと与えてくれる。1、3楽章は中欧的なダイナミズム(音響的にはホルストに近い)、静謐な2楽章はフランス的な繊細さが特に目立ち、また終幕近くの静謐さなどRVWを思わせる思索性がある(書法的にRVWを思わせる部分は他にもあるが表現が違うので気が付かない)。最後はいきなりジャンジャンでややあっさりしすぎているが。オルウィンは終幕に向かい凪ぐ曲を書くのも特徴である。前衛手法をさりげなく取り入れるのが持ち味だが、ここではインド音楽が導入されている。

この演奏はビーチャムの手際よさがひときわで、求心力のある凝縮された表現が、派手な音響によって拡散的になりかねない音楽をしっかり取りまとめ、また中欧やイタリアの指揮者には無いまさにイギリス的な柔らかな叙情をフランス的な理知的な譜面に加えて充実した聴感を与えてくれる。ビーチャムでなければこんな曲感にはならなかったかもしれない。DAは雑音まみれ。荒いがゆえにダイナミズムのみはしっかり聞き取れる。○。SOMMは2008年4月発売。

SOMM-BEECHAM 23 The Beecham Collection

Beecham in Concert
Mozart,Grieg,BBC So,Rpo,Beecham
Somm

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オルウィンの交響曲>オルウィンは音楽にとどまらない多芸多才の人で、作曲家としても未だに非常に人気があるが(秘曲好きは皆知っている)、「邪魔者は殺せ」など映画音楽を多く手がけたのち戦後本格的に純クラシック音楽を作曲し始め、前衛的手法も意欲的に取り入れているが殆ど気にならない。腕であろう。同時代の前衛過ぎない作曲家から多くインスパイアされており、マーラーやプロコなどなど20世紀のそのての音楽が好きな向きは「元ネタ」探しも興の一つ。バルビローリと親交が篤く交響曲は殆ど初演を任せているが、3番のみ急病の代役でビーチャムに任された。現在バルビローリ協会が(レーベルとしてもう機能して無いようだが)DUTTONから数年前に出したCDに収録された1,2番やオルウィン自身の出自を物語るフルート曲(ルーセルのフルーティストたちを英国初演したのはLSO主席時代のオルウィンである)をまずは聴くべきだろうか。LYRITAには自作自演も残されている。一時期レーベルとして消えかかったが、CD-R時代をへて最近何とかCD再発を始めている。
Alwyn: Symphonies 2, 3 & 5

Lyrita

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5番はバルビの死後発表されたものだが、これも人気があるようだ。副題もUrn Burial or Hydriotaphiaというマニアックな「葬送」に関する考察書から。いかにもイギリスのシニシズムだが、音楽はダイナミック。
William Alwyn: Symphonies Nos. 1 & 2

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交響曲集成ではこれ。シンフォニエッタも有名。
Alwyn: Complete Symphonies; Sinfonietta for Strings

Chandos

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