ファリャ:スペインの庭の夜

カーゾン(P)ホルダ指揮ナショナル交響楽団(decca/dutton)1945/9/26・CD

ダットンは痩せてデジダル臭い音に整形されているがリバーブかけると情報量十分。ホルダの色彩的な演奏を楽しめる。作風は古くドビュッシーふうの印象主義的な音楽であり、楽想は多くはないが時に打楽器的なピアノのメロディを通していくぶんはフォルムを整えていくものの、それほど明確な描写音楽ではもともとなくドビュッシーのスペイン語翻案みたいな、新味のない作品だから近代フランスの響きと民族的なリズムのダイレクトな融合っぷりに好き嫌いが別れると思う(私も苦手なほう)。カーゾンのピアノはナチュラルで適度に感情をこめ、ふんぷんとする南欧のメロディーに拘泥することなく、曲をことさらにはピアノ協奏曲のようにしていない。終わり方がブチっと切れるような感じなのは元の録音がそうなのか。構成感のない曲ではである。
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ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」~火祭りの踊り(ピアノソロ版)

ブルショルリ(P)(meloclassic)1965/11/19live私的録音・CD

これはちょっとやり過ぎかな。最初の主題ではテンポがよたり、第二パートでは表情を作り過ぎ。もっとも、面白い。この曲に私がルビンシュタイン的な勢いと力強さしか求めないのはかつてロシアの先生の実演で物凄くカッコの良い豪快な弾きっぷりを観たからで、こういう起伏を付けるソロピアノ演奏を聴いたのは初めてだった。録音は悪いが一応内容は聴き取れる。それほど音が細かく絡み合う曲ではない。生誕100年記念盤より。

ファリャ:はかなき人生~スペイン舞曲第1番(クライスラー編)

エルリ(Vn)ビュロー(P)(meloclassic)1952/12/15パリ フランス放送live・CD

エルリはスロースターターなのか、この曲でも発火が遅い。演奏効果のためそうしているのかもしれないが、やはりスペイン情緒が強く出てくるのは最期の方である。ピアノがもっと出てほしいというのは贅沢な物言いか。

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」

ブリス(SP)マルティノン指揮ORTF(ina,parlophone/icon,warner)1972/1/3パリ・シャンゼリゼ劇場live・CD

全曲版。ファリャの管弦楽の色彩、ソプラノを入れることも含め独特な創意のみられる曲(ただ全体としてはそれほど先進的には感じないのだが、、、)。落ち着き払った出だしに「いつものマルティノン節か、30分もつのか?」と思うが、モノラル期より録音してきた曲だけあって、テンポこそ前のめりにならないものの心地よいリズム感、透明感ある色彩により構築された音楽は、組曲に採り入れられた部分で耳が切り替わってしまう戸惑いはあるものの、まさに「BGM」にふさわしい心地よさ。終盤になってちょっとライヴ的な雑味がある気はするが、マルティノンは「律する心」が強く乱れることを許さない。派手にぶちまけるような表現もそれほど粘りはなく軽い突進でそのまま終わり。乱暴なブラヴォが散発、といった感じで感興を呼ぶような雰囲気はない。

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ファリャ:スペインの庭の夜

アンゲルブレシュト指揮ORTF(ina)1960/5/24live

三曲からなる標題協奏曲で、内容的には三角帽子の素材をフランスの山人の歌による交響曲に放り込んだようなもの。わりと単純でとりとめもない曲だが一楽章の神秘的な響きは素晴らしい。ファリャ自体民族臭をうまく昇華させて同時代のフランス音楽と歩調をあわせ時に先んじたようなものを書いているが、アンゲルブレシュトはとりわけ脱臭効果の高い明晰な音で曲を組み上げる。この夜の演奏会の中では比較的熱が感じられるが、それでもこう均質な音で純粋に音楽的に構築されていくと、曲の魅力の薄い部分もはっきり聴こえてしまうし、ソリストもオケと融和的で先導して激しく煽るようなことはしないから、何か技術だけに優れた現代の演奏を聴いているような(悪い意味だけでもない)感覚に陥ってしまう。見通しよく構築的であろうとするあまりスカスカな、、、放送録音としては明晰過ぎるステレオ録音のせいもあるか。放送録音なりのノイズあり。

ファリャ:「恋は魔術師」~火祭りの踊り

ボールト指揮LPO(EMI/warner)CD

ゴージャスな大編成による演奏で、案外といける。ブラームスやエルガーのイメージのあるボールトだが、現代のお国ものをライフワークとしており、30年代頃にはサージェント張りの颯爽とした演奏を繰り広げていた。それはあの時代の録音であるにもかかわらず色彩感があり、高音打楽器を強調するなどコントラストのついたスタイルで、それからするとこのファリャも、とっぴな選曲でもない。意外と良いです。

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」~三つの舞曲

フィードラー指揮東京交響楽団(TBS)1961/11/20live・CD

オケ(弦)の非力さ、パート間の技術的なバランス悪さは仕方のないところか。一曲目はあまりに生硬でいただけない。二曲目はクラリネットの音色など特筆できる聴きどころがある。三曲目もリズムは重いが色彩的なひびきがよく引き出されており、いささか人工的ではあるけれども、リズムは確かで、比較的楽しい音楽が展開されている。録音はモノラルで悪い。

ファリャ:スペインの庭の夜~抜粋

ハルフテル指揮ORTF(ina配信)1934/5/1

ソリスト不詳。アンゲルブレシュトの時代なのでアンゲルブレシュトが振ってアルフテルがピアノを弾いたと考えたいものだが、記載データは違う。ORTFの60年、という三回シリーズのラジオ放送のなかで流されたもので、正直この時代にしてはノイズ混じりながら音が良いけれど、曲の魅力が浮き立つほど音色感はない。ファリャっぽさが出ない。終楽章の一部だけでは全体像も見えない。

ファリャ:4つの讃歌

ミトロプーロス指揮NYP1954/4/11nicksonアルボス、ドビュッシー(有名)、デュカスらに捧げた別々の曲をまとめて管弦楽化したもので、ナクソス含めいくつか録音がある。ファリャは苦手。古風というかローカルな味に馴染めない。これ録音悪い。駄目。

ファリャ:バレエ組曲「恋は魔術師」

◯ストコフスキ指揮北西ドイツ放送交響楽団(SCC:CD-R)1952/7/7

熱気ある曲に即興的で拡散傾向の指揮者、そこへきて冷たく精緻なドイツオケというところが面白い。精緻さが滑稽なまでに曲の熱気を克明に「再現」しているところが面白い。ストコフスキーの勢い任せの指揮がやや違和感を覚えさせるが、オケがうますぎて崩壊なぞしないものだから迫力に押し切られて、これでいいのだ、と思わせてしまう。筋肉質で圧倒的なオケ。録音も案外良い。◯。

ファリャ:恋は魔術師~間奏曲と舞曲

◯ガストン・プーレ指揮LSO(ODEON)LP

やはりトゥッティが柔らかいというか甘いというか、しかし歌心は感じられ、しかもスッキリした響きと落ち着いた雰囲気がどことなくフランス的でもある。ヴァイオリンの合奏はやはりヴァイオリニスト指揮者だなあという表情付けがあり、やや生々しくはあるが楽しい。舞曲は色彩感ゆたかでガストン・プーレらしさが表れる。重重しさは依然残るが、これは抜粋として単曲でやられているから敢えてそういう表現をとっているのか。同盤ではA面のアルベニスのイベリアが圧倒的に聴きものではあるが、裏面ではこれとトゥリーナもいい。

ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」

○ストコフスキ指揮レニングラード・フィル、アルヒポーワ(msp)(venezia)live・CD

なかなかの凄演。ストコのロシア公演は外しが無いが、レニフィルの技術と迫力が存分に引き出され、またストコ特有の拡散的な響きがここでは目立たず、求心的で聴きごたえのある音楽に仕上がっている。歌唱も迫力があり、チェロソロもよいが、ヴァイオリンソロは少し音程があやふや。これもまたロシアか。録音が悪いので○。

ファリャ:「三角帽子」第二組曲

○マルケヴィッチ指揮ORTF(eternities:CD-R/ina配信他)1958/9/25モントルー音楽祭live

オケのせいもあってやや壮麗すぎた感もあるがマルケ的な三角帽子。音色に艶がすくなくラテンの雰囲気は余り無いが、ORTFがその技術力を発揮して(じつはいらないのかもしれないけれど)精度のある演奏を繰り広げる。私は余り惹かれなかったが、○はつけていいだろう。

(後補)Amazonデジタルミュージックより2016年10月1日この日の演目(悲愴など)全曲mp3配信開始。ina配信ではトラック分け無し。

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第二組曲

○マルケヴィッチ指揮聖チェチリア音楽院交響楽団(eternities:CD-R)1952/5/29live

冒頭からいきなりなし崩しのバラバラでがっくりするが、音の雰囲気はよくイタリアオケのいい部分が次第に出てくる。主題が再現されるころにはしっかりアンサンブルになっている。それほどテンポは上がらないが二楽章のリズムの切れもいいかんじだ。ねっとりした三楽章も壮麗な広がりを見せていて、高弦や管楽ソロにはやや稚拙さを感じさせるところもあるが、後半は派手な盛り上がりが出来る。モノラルだがカラフルで、トスカニーニを思わせる勢いが楽しい。とにかく技術的にはかなり問題はあるが、楽しめてしまったので○。客席反応はいい。

ファリャ:ハープシコード協奏曲

○ラルフ・カークパトリック(hrps)アレクサンダー・シュナイダー(Vn)ミッチ・ミラー(o)H.フリーマン(cl)B.グリーンハウス(Vc)(mercury)SP

おそらく40年代末から50年代の録音だろう。当時気鋭の奏者による演奏である。カークパトリックが力強く先導していく形で進み、はつらつとした音楽が展開されてゆくが、アンサンブルはややぎごちない。ザッツが甘いようなところがあり、思い直すようなリズム取りによってテンポを保っているように感じた。しかし悪くは無く、おのおのの技量にも音にも瑕疵はない。ブダペストQのシュナイダー、言わずと知れたミラー、後後まで活躍したグリーンハウス、それにハープシコードの第一人者カークパトリックという取り合わせが決して悪かろうことはない。SP録音ということで音は少しノイジーだが、LPで出直していたかもしれない。○。

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第二組曲

○ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団(SCC:CD-R)1967/11/19live

俊敏な演奏で、南欧派の音楽に余り適性がなかったと思われるストコフスキにしては素晴らしく駆け抜けるような爽快な演奏。色彩感がゴージャス過ぎるところまでいかず聴きやすい。

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第二組曲

○マルケヴィッチ指揮RIAS交響楽団(audite)1952-53・CD

やや録音が悪い。いかにも中欧的なしゃっちょこばった表現が聴かれ、音がいずれも四角く整形され、計算的な面白さや一歩引いた熱気といった部分で聴けるものはあるのだが、特徴的な演奏でもあるのだが、何かしら違和感がある。ただ最後だけ異様に伸ばしているのが印象的だった。聴けるので、○にはしておく。

ファリャ:讃歌

ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(nickson)1954/4/11live・CD 1938年の作でブエノスアイレスで初演された。4つの楽章はいずれも個人的な賛美を込めて標題がつけられている。1楽章はアルボス(三角帽子第二組曲の項参照)の70歳の誕生日を祝ってその名をメロディに置き換えたファンファーレとなっているが、ちょっと晦渋な感じがする。この録音が極端に悪いせいかもしれないが、ファンファーレらしくなく派手さに欠ける。33年に吹奏楽用にかかれたものが原曲。2楽章はドビュッシーに捧げられている。20年のギター曲の編曲である。あまり印象に残らない。3楽章はデュカス讃歌だがこれも35年のピアノ曲の編曲。最終楽章は師匠のペドレルの思い出を「ペドレリアーナ」という題名にたくしている。ちょっと心にひびくものがある。でもこういう曲は新しく鮮やかな演奏で聞くべき。ミトプーは録音ともども小さくまとまりすぎている。無印。,

ファリャ:交響的印象「スペインの庭の夜」

カサドシュ(P)アンセルメ指揮ベルリン・フィル(DISCLOSURE:CD-R)1957/3/25LIVE,

ファリャ:交響的印象「スペインの庭の夜」

○カペル(P)ストコフスキ指揮ニューヨーク・フィル(PRIVATE他)1949/11/13LIVE・CD この曲は散漫な感じがしてずっと敬遠してきた。とはいえ盤のほうはそれなりに集まってきているのでもったいない。ためしにこの盤を聴いてみた。1990年のプライヴェート盤だが今は恐らく正規で出ているだろう。カペルのリリシズムがそそられる演奏で、ぱらぱらという弾き方は美しく硝子の破片を振り撒くようにきらきらと輝く。そこにはまったく不足が無い。素晴らしい技術と感性。ストコフスキは決して大袈裟になることなく懐かしい音色を放つオケと夢のようなスペインの夜の情景を紡ぐ。ファリャは民族性を強く押し出すことがありそういう曲は私は苦手なのだが、この曲は割合と初期ドビュッシーのようで親しみやすい。三角帽子に似た痙攣的なフレーズの応酬は聞き物だが、この盤は表現に無理が無く俊敏に立ち回る音楽となっており、印象派風の不協和音のバランスもよく聴き易い。もっと民族性を強く出すほうが好きというかたもいるかもしれないが、一般的な聴衆にとってはとても解かり易いと思う。音が鄙びているのでそれを補うことのできるようなちゃんとしたステレオセットで聴いてもらいたいものです。・・・といいつつヘッドフォンで聞いてる私。なかなか湿った情緒も漂わせた佳曲、佳演です。最後の低い打音まできちっと仕上げている。○。,

ファリャ:交響的印象「スペインの庭の夜」

○カサドシュ(P)ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(COLUMBIA)カサドシュが巧い。まったく不安の無い、いつものあの難しくともさらっと弾いてのける技が発揮されている。ミトプーともじつに緻密に組み合い、緊密な演奏が繰り広げられる。ソリスト、オケ共色彩的にもじつに鮮やかだ。決して暑苦しくならず適度に冷静な演奏とも言える。ミトプーを聴くというよりカサドシュを聴く演奏だが、不可分なほどしっかり組み合っているので、コンチェルトと言うより総合的に交響詩として聴くべき曲、演奏であると言えよう。録音は古いがこの曲が好きなかたは聴いて損はないと思う。○。,

ファリャ:歌劇「ペドロ親方の人形芝居」

フレイタス・ブランコ指揮マドリード・コンサート管弦楽団他(ERATO)LP じつはファリャの新古典転向後の作品は苦手だ。新古典というより擬古典、この曲もいかにも中世の音楽を意識したような「借り物のような」曲であり、ファリャの特質である熱気だとか色彩だとかいうところが抜けてしまっているように感じる。ひょっとして演奏が悪いのか?・・・うーん、私はいつもこの曲を聞き始めると寝てしまいます。無印。,

ファリャ:歌劇「はかない人生」~間奏曲とダンス

○ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(COLUMBIA)LP 若きファリャの佳作からのごく短い抜粋。マドリード芸術院コンクール入選作とのこと。個人的にはあまり印象に残らなかったが、民族主義的立場に立ちながらも20世紀初頭らしい新しいひびきも持った作品。演奏はふつう。 ,

ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」~火祭りの踊り

○ロジンスキ指揮ロイヤル・フィル(EMI,PATHE)ファリャの代表作だけれども1914、5年という作曲年代からすると結構古い曲なのだ。ドビュッシー、ディーリアスの後、ラヴェルの横、六人組の前くらいか。「火祭り」は余程聴き映えがするのか様々な楽器によって編曲演奏されている。私はヴァイオリンとチェロとピアノでそれぞれ聞いたが一番しっくりいったのはピアノでした(別記のヴィニェスの盤が見本)。このとき弾いたのはモスクワ音楽院の教授だったか、着席するなりいきなり機関銃のように鍵盤を叩き始め、めまぐるしく異様な迫力の演奏を繰り広げた挙げ句最後の和音を鳴らすか鳴らさないかのうちかに立ち上がった。それが無茶苦茶かっこいいので感動してしまったわけである。単楽器編曲版と比べると原曲のオケではいくぶんアタックの強さやアンサンブルの緊密さが損なわれるように感じる。その反面スケールアップしてずいぶんと広大な広がりを感じさせる。ロジンスキは若干大人しめだがそつなくやってのけている。色彩感があるが、やや淡彩にすぎるか。もっと狂おしいほどの勢いが欲しいと思ったが、オケではこれだけできていれば○でしょう。強くは推さないが、上出来ではある。,

ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」(ピアノ編曲(組曲)版)

○リッカルド・ヴィニェス(P)(THE CLASSICAL COLLECTOR,AUVIDIS)1929/11/13・CD ヴィニェスのピアニズムの末裔は聴くことができてもヴィニェス自身の演奏というのはほとんど聴くことができない。これは8分以上というこの人にしては長い録音で、貴重な記録である。打鍵の強さはあまり感じられないし(録音のせいかもしれないが)むしろ柔らかいのだが、非常にリズムがいいというか、テンポ感が絶妙で、聞かせるものを持っている。名人芸というか、細部は精度が低いにしても、この民族的音楽の本質を的確にとらえ、抉り出して見せている(それでも重く暑苦しくはならない)。とにかく聴いていると楽しい。「火祭りの踊り」を始め聞かせどころが多い。このピアノ編曲、単純に音が少ないせいかもしれないが、ラヴェル初期の平易な作品を思わせるひびきがあり、いささか常套的ではあるけれども、印象的ではある。録音が悪いので○しかつけられないが、もっと長生きして同時代音楽をいろいろ録音しておいてくれてたらなあ、と思った。,

ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」

○フレイタス・ブランコ指揮マドリード交響楽団他(LONDON)LPファリャの音楽は、フランス近代音楽に親しんだよそ者にとってはいわば「種明かし」のようなものを感じさせる。かれはラヴェルやドビュッシーの南欧へのあこがれが生んだ作品の数々を、南欧の立場からあっさり切り返してみせた。さらには極寒のストラヴィンスキーの音楽すらも取り込んで、より「スペインスペイン」した音楽を造り上げている。あっさりとしていて、単純な旋律重視の構造も、色彩的なオーケストレーションによって飽きがくることを避けている(この「飽きる」という感覚、私は南欧のとくにオペラなんかによく感じる。イタリアオペラ大苦手ということもあるのだが、その影響下のチャイコフスキーは好きだったりと、いささか論理性に欠けてはいる)。とくに弦の刻みや旋律に変化をもたらす変拍子等の非常にメカニカルな効果が目立つ。ストラヴィンスキーを思わせるところだが、いくぶんドビュッシーふうのやわらかな情緒も感じさせる楽曲であり、盛年期のブランコの、けっしてリズミカルでも前のめりでもないのだけれども、音の輪郭がしっかりしていて、体臭を感じさせる演奏が気分を盛り立ててくれる。派手でクリアな音響が持ち味で、後年の母国ポルトガルでのライヴ録音集における精彩を欠く指揮ぶりとはまったく異なる(いや、特徴は共通しているが、後年のものには長所が抜け短所だけが残ったような気すらする)瑞々しい音楽を楽しもう。体臭、と言ったが、けっして国民楽派ふうの民族音楽の延長上の音楽を演ずるのではない、20世紀の南欧音楽を演じるのだ、と自覚したようなあっけらかんとしたところがあり、透明感すら感じる。ファリャの、ラヴェルをして嫉妬せしめた機敏な感性が、民族音楽を20世紀音楽に見事に昇華させたように。まあ・・・私はじつはファリャは前述した理由で苦手ではあるのだが、歌の入らない部分は、アンゲルブレシュトのように客観性を感じながらもつねにどこか人間的で心地よい感興を呼ぶ絶妙の技を味わった。録音は古く、何度も聞く演奏ではないかもしれないが、この曲が好きな向きならぜひ。ちなみに最初シャンゼリゼかと思ったほど洗練された音を紡ぎだしたオケにも乾杯。,

ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」

○アルヴィッド・ヤンソンス指揮モスクワ放送交響楽団他(MELODIYA)LPヤンソンス父の指揮ぶりはシャープで洗練されたものだ。ガウクにゴロワノフにスヴェトラーノフなどなど怪物指揮者の中にあって唯一職人的で整った演奏を行った。この人に比べればムラヴィンスキーすらロシア臭く感じてしまう。実際この演奏でもまるでロシアの響きのしない、寧ろ南欧的な響きになっているのが凄い。曲が曲なので耳だけで聞いていても飽きてしまうが、清々しく引き締まった演奏ぶりは特筆できる。常に一定の水準を守っていて無理が無い。客観的で落ち着いていて、奇矯なところが無いのが仇ではあるが、ロシアでこのような演奏を行っていた事こそ特筆すべきだろう。ステレオ録音とのフレコミだが非常にバランスが悪く、人造ステレオの疑い大。希少性を鑑みて○。,

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」~第二組曲

アルボス指揮マドリード交響楽団(THE CLASSICAL COLLECTOR,AUVIDIS)1928/4/18録音は悪い。それは時代柄仕方ない。確かに演奏のパワーは感じられる。この時代のこの楽団にしては体臭をほどよく感じさせつつも結構精度の高い演奏を行う事に成功しているといえるだろう。ただ、あまりにうるさい。音量にメリハリが無い。だからどこでどう盛り上がるのか、これこれこういう経緯をへて最後に大団円が来る、という設計が見えない。始終がしゃがしゃやっている感じで、今一つノれない。もうちょっと情緒的な揺れがほしいし、同時代性を生かした+αがほしい。総じてイマイチ。無印。,

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」~第二組曲

◎ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(COLUMBIA)LP この力感!ミトプーらしい重量感ある音に加え鋭く俊敏な表現が耳を惹く。ミトロプーロスとは思えぬラテン気質の発露(まあミトロプーロスはギリシャ系だからラテンと言われてもおかしくはないけど)、オケの充実ぶりと同時にこの魅力的な曲の長所を最大限に引き出すのに足る素晴らしい演奏だ。三角帽子の中でもとりわけ有名な三曲からなる短い録音だが、雑味がほとんど無く、浮き立つリズム感、流麗なテンポなどにはミトプー従来の力で押し切る芸風とは一線を画した隙の無い解釈とその完璧な実現が見られる。私は今まで聞いたこの曲の演奏の中では一番感銘を受けた。◎。ミトプーらしさ+αの演奏。,

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」~第二組曲

○フレイタス・ブランコ指揮ポルトガル国立交響楽団(STRAUSS)1960/7/28LIVE この曲はこう演奏しなさい!という創意に満ちた演奏。器用に伸縮するも決して下品にはならず、明るく色彩的。民族色豊かではあるが、まとまりがよく嫌味が無い。とにかく派手にぶっ放してくれるので、雑味が多いとかばらけるとかそんなことどうでもよくなる。気合だ!3曲のどれもテンション高いがやはり終曲の堂に入った解釈が聞き物。客席も大喝采。録音悪し。何度も聞くと慣れてしまう類の演奏なので○に留めておく。スケール感があるともっとよかった。,
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