フランク:交響曲

○アルベール・ヴォルフ指揮ラムルー管弦楽団(POLIDOR)SP

ヴォルフには晩年のデンマークライブがあるが一般的にはかつての手兵ラムルー管との膨大なセッションに含まれるこれが知られた音源だろう。超一流とは言えないしオケの特質も解釈の特徴もはっきりしないものの、唐突で押し付けがましい曲が苦手な私でもこれは素直に最後まで聴けた。音の明るさ軽さ、精度にぎちぎちにこだわることなく音楽的であろうとするようなところがいいのだろう。円熟味、迫力は無いがSPにしては音がよいのもいい。○。
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ヒンデミット:交響曲変ホ調

◎バーンスタイン指揮NYP(sony)1967/3/7・CD

日和ったヒンデミットの抽象作品の代表作ということになるだろうが、ウェバ変や世界の調和SYMあたりが好きな向きにはお勧めの律動的快楽作品であり、利点も弱点もそれら作品に通じるものがある。それらを長大に交響曲形式にまとめただけと言ってもいいだろう。緩徐楽章はぱっとしないが終楽章はウェバ変終楽章と同じ軍隊調の行進曲で終始ハイテンション(起伏が無い)、ここではバンスタの面目躍如でドンチャン終わる。バンスタNYPの組み合わせならではの硬質な娯楽的演奏で欧州オケとのタッグのように変なケレン味が無い。◎。

オネゲル:夏の牧歌

○マルティノン指揮ORTF(EMI,TOWER RECORDS/warner,icon)1971・CD

マルティノンは磨き上げたオネゲルを提示する。フランスオケ特有のソリスト級個人技や特徴的な音色に依存した柔らかい表現より、きちんと律せられ硬質とすら感じられる音を正確に緻密に組み合わせ、じつにオネゲル的な立体構造物を作り上げる。夏の牧歌が他の交響的運動作品と地続きの曲であると気づかされるのである。作曲家指揮者ならではというところだが、この曲には別の情緒的な、ふわふわした、緩い雰囲気が欲しい気も否めない。美しく曲の美質を正しく忠実に取り出した演奏ではあるが、簡単に全肯定もできないかな。なんか、古い演奏録音とくらべ時代もあるのだろうが、オケが窮屈で、ニュートラルだ。

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ルーセル:交響詩「エヴォカシオン(喚起)」抜粋

○ビゴー指揮ORTFフィル(FRENCH BROADCASTING PROGRAM)LP

FRENCH BROADCAST PROGRAMの放送音源シリーズ収録になるスタジオ録音で復刻不明。録音はやや悪いモノラル。エヴォカシオンはメジャー系ではプラッソン盤くらいしかないと思うが、ルーセルが印象主義からオリエンタリズムを取り入れた独自のバーバリズムに移行する時期の作品(本来は声楽を伴う大曲)。野蛮といっても蜘蛛の饗宴に近似した前時代のバレエ音楽的な表現にとどまり基本美しい。ビゴーは実直というか職人的というか、はっきりした輪郭を作りながらも響きに繊細な配慮が行き届いたバランスよい演奏に仕立てている。しかしこの抜粋では15分しかないからダフニスでいえば夜明けしかないようなものでもやもやが残るなあ。○。

ラヴェル:ボレロ

○ベイヌム指揮ACO(DECCA)CD

ベイヌムが得意とした分野の一曲だが、しょうじき「スタンダード」であり、それ以上でもそれ以下でもない。録音ほどよく明晰だからファーストチョイスにも向くが「それなり感」が否めず、カラーも迫力も「それなり」なボレロに意味はあるのか?と言われるとびみょうだ。ACOは中欧オケにしてはフランスものにも強かったが、この演奏でもソロ楽器は「それなりに」巧みで音色も「それなりに」繊細。○にするに躊躇はないが、破壊的ボレロを期待すると裏切られる。節度派向けですな。

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シベリウス:交響曲第2番

○パレー指揮デトロイト交響楽団(mercury,warner/tower records)1960/2・CD

シベリウスでもだんとつの旋律美としっかりした構成感を誇る交響曲だが、パレーの芸風だと少なくとも「美」は機械的なアンサンブル能力の披露と明るく明瞭な響きの維持にすぎない。そこに特有の剛速球、高速度が加わるとデトロイトの弦ですらついていけない箇所が散見されるようになり、このようなスタジオ録音でさえばらけたままにされている部分がある(パレーは何度も録り直しするような人ではなかろうが)。緊密な演奏を指向する指揮者にもかかわらずやはり、「楽器」の機能性の限界を超えるような解釈についていかせるほど暇がなかったようだ。

だが迫力は凄い。1楽章から既に力む声が入っている。3,4楽章にいたっては、シベ2の正規録音でもトップクラスの出来といえよう。スコア指示すら単純化解釈し緩急に欠けるところはもうスピードと力で押し切る。でもこれはそういう曲なのだ。そのやり方だと、2楽章はきつい。スコアを即物的に音に換えるパレーの方法論はこの楽章にはきかない。ただ音が鳴っているだけだ。南風の吹くフィンランド、といった音色(しかもいつもどおり単調)も好悪あるとは思うが、セカンドチョイスにはいいかも。○。

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

○ロジンスキ指揮フィレンツェ五月祭管弦楽団(AULIDE:CD-R)1953/3/1live

冒頭から激しく踊りだしそのままつっ走るような硬直した音量変化の無い演奏(録音)なのだが、いちおう臨時編成オケでありながらもここまで鍛えられるか、といったまとまりのよさ、ミスの無さに感動すらおぼえる。オケの個性も程よく残され、迫力はあっても派手過ぎず、パノラマ的感興よりも実直な表現により真摯さを保ち、技巧ひけらかしにもならず、最後まで同じ調子で引き込まれて聴ける。ロジンスキという人には確かにアメリカで活躍すべくして活躍したような(問題もあったけど)時代性と職人性がある、でもミトプー同様欧州オケで腕を振るった場合、欧州の鼻を高くして坐ます「巨匠指揮者」と肩を並べるような演奏をものすることもできた。この人の録音は音は悪いが演目にも特徴があり、もっと注目されてもいい人である。

ディーリアス:イルメリン前奏曲

○フェリックス・スラットキン指揮コンサート・アーツ管弦楽団(CAPITOL/PRISTINE)1952/9/8,11

特徴に乏しい解釈ではあるがディーリアスのスコアをしっかり表現した演奏としては特徴的ではある。ディーリアスのスコアはひょっとして下手なのかな。みんな手を入れてるのかな。室内楽もビーチャムとか手を入れているし。だが、ヴァイオリン曲はけっこういいのに。○。

ディーリアス:チェロと管弦楽のためのカプリスとエレジー

○フェリックス・スラットキン指揮コンサート・アーツ管弦楽団、エレノア・アレア(Vc)(CAPITOL/PRISTINE)1952/9/8,11

やはりバックオケの分厚さが気になる。バランスが悪い。小編成で繊細に描くべき曲を多く書いたディーリアス、この指揮者が何故こういう録音をしたのか・・・比較的珍しい曲だが聴きやすいので、その点紹介盤にはなる。○。

ディーリアス:歌劇「ハッサン」~間奏曲とセレナーデ

○フェリックス・スラットキン指揮コンサート・アーツ管弦楽団、ポール・シュア(Vn)エレノア・アレア(Vc)(CAPITOL/PRISTINE)1952/9/8,11

バックオケが強すぎるな、編成が大きいのか奏法を揃え音量を出させ過ぎているのか、でも、旋律がはっきりしている曲においては、このコンビでも違和感は薄い。どうもPRISTINEの原盤が状態がそれほどよくないようで、靄のかかったような音がちょっと気になる。○。

ディーリアス:夏の夜川の上で

○フェリックス・スラットキン指揮コンサート・アーツ管弦楽団、ポール・シュア(Vn)(CAPITOL/PRISTINE)1952/9/8,11

この曲のほうがしっくりくる。地味なので、表現的に派手な楽団の個性が巧く抑えられているのだろう。薄明の音楽としてはやはり、不適当と言わざるを得ないお日さまのような演奏ではある。○。

ディーリアス:春初めての郭公を聞きながら

○フェリックス・スラットキン指揮コンサート・アーツ管弦楽団(CAPITOL/PRISTINE)1952/9/8,11

父スラトキンらしい強い表現で、室内楽団らしい輪郭のはっきりした(し過ぎた)アンサンブル重視の演奏。しょうじき、淡いディーリアス世界にこの即物性は違和感がある。そしてディーリアスのこのての作品はこうもあからさまに白日のもとに晒されると、よくわからない変な作品になってしまうのだ、という感慨も受ける。そう、演奏家を選ぶ。それに「室内楽団様式」では辛い。録音のせいもある。CAPITOLの太い音がLP特有のアナログな曖昧さと混ざって若干雑味を呼び込んでしまっており、それなのに芸風が上記のようだから、聴感がしっくりこないのだ。だからといって演奏技術は時代なりにではあるが研ぎ澄まされているし、情景描写的にはきついが、純音楽的に愉しむこともある程度は可能。室内楽団にしては大規模編成された楽団の上手さは他の演奏でも証明されている。○にはしておく。郭公の声がリアル。

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ルーセル:バレエ音楽「くもの饗宴」

○ブランカール指揮ORTF?(FRENCH BROADCASTING PROGRAM)LP

オケは推定。指揮者は比較的新しい人と思われるが詳細不明。表現も整え方も生硬さが否めず、オケの美質がオケ各部の演奏するままいびつに出ているだけのような、ちょっとアメリカ二流オケ指揮者的なものになっている。録音はまあまあ新しいし○にはしておく。じつは指揮者すら曖昧なのだが併記されているヴォルフではないようだ。解釈的に。

ルーセル:バレエ音楽「くもの饗宴」

○ロザンタール指揮ORTF(FRENCH BROADCASTING PROGRAM)LP

ORTFという表記は微妙にややこしい。ORCHESTRE NATIONALもややこしい。この放送録音ナレーションではORTF NATIONAL ORCHESTRAと言っているが、実体は時期にもよりけりで、この盤にデータ詳細がない以上わからないわけで、そのままORTFとしておく。やや録音が悪いが、冒頭よりロザンタールらしいかなり遅いテンポで、仔細な響きを整えていくさまは好き嫌いあるかもしれない。ただ躍動味溢れるルーセル中期特有の愉悦的場面になってくるとバレエ指揮者らしい俊敏さもみせる。他曲の新しい正規録音がいずれも前進力に欠け(そのぶん構造の見えやすいものになっ)ていることを考えると、時期的にそれらより古いだけに若々しさが発露しているとも思われる。また、ロザンタールのしっかりした統制下、黄金期の木管陣の醸すリリシズムには他に替えがたい魅力がある。なかなかいい演奏であり、弦も悪くはない。機会があればどうぞ。○。

モーラン:交響曲第1番

○ヘイワード指揮ハレ管弦楽団(PRISTINE,DIVINE ART他)1942・CD

様々な同時代音楽を吸収したまとまりない叙事詩的な大作で、とくにRVWの民謡編曲や交響曲作曲手法を基軸にし、オネゲルの立体的書法の影響、ウォルトンやアメリカ、さらにソ連の若手作家と同調したような刺々しい躍動に暗い調子が混沌としており、モランの苦心が伺える。イギリス楽壇の民族主義に従いノーフォークなどの民謡を利用して部分的には美しく楽しく、でも名作とは言えない。初演のヘイワードは立派にやってのけ、曇り無い表現がびしびし決まる。録音も復刻も古さを感じさせない。うーん。○。

モーラン:ヴァイオリン協奏曲

○カンポーリ(Vn)ボールト指揮BBC交響楽団(PRISTINE,DIVINE ART)1954LIVE・CD

ディーリアスが作家性に固執しなければこういう美しく華々しい協奏曲を描いたであろうという曲で、折衷的なこの作者にしてもひときわわかりやすく聴きやすい佳作である。やや変則的な構成の中で技巧的な見せ場は後のほうに一気に来るが、かつての手兵を繰って組み付いてくるボールトもさることながらフランチェスカッティを彷彿とさせる美音でなお完璧に弾き熟してみせるカンポーリが素晴らしい。やや民族的な特殊なパセージにも揺らぎもせず音楽的構成感を損なわない。後年のフランチェスカッティのような浅いマンネリズムにはけして近づかず、曲の要求を150パーセント音にしている。凄い。モノラルだがPRISTINEのリマスターは素晴らしい。DIVINEはPRISTINEのCD化サービス(ネット配信と同額だと思う)レーベルとなったようだ。ジャケットはカラーコピーだが裏青ではなくちゃんとしたCD。

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

○バルビローリ指揮ニュー・フィル(TESTAMENT)BBC放送、ロイヤルアルバートホール1967/8/16LIVE・CD

バルビライブとしてはすこぶる調子がいい。演奏上の瑕疵は皆無で、スタジオでは絶対ありえない荒れ狂う50年代的芸風で押し進めていく。反面個性は薄まっている。緩急起伏が余りあおられず、職人的でもある。しかしそれら引っくるめて録音の悪さが痛い。エアチェックではないか。音場は狭い。マイク起因であろう特殊打楽器の変に高い音の近さ、安定しない音像。ノイズがひどいところはまるでHUNT盤のようだ。とくに一楽章と四楽章クライマックスというかんじんな箇所が聴いてられないくらい。音量幅のなく立体感のないのも録音のせいかもしれない。ステレオエアチェックの悪いところが出て、位相が狂ってきこえたり。二から四中盤までは悪いなりに安定して聴き易いのだが。しかしじっさい特徴に欠ける部分もあったのだろう、聴衆反応も穏やか。○。

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ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲

○グランジャニー(hrp)F.スラットキン指揮コンサートアーツ弦楽合奏団(capital/EMI)LP

同じ音盤を何度書くんだって話だが、こんかいは再生機器によって印象がこうも変わるかという話。グランジャーニのギタリスティックで男らしい演奏と書いていたけれども、わりと自然な環境で聴くと気にならない。音色が比較的モノトーンではあるのだが音楽が音楽だけに、それそのものの色は明らかに聴こえてくるし、野太さというのはマイクセッティングの問題のようだ、聴取環境によって不自然さは十分吸収できた。ラスキーヌらのような女性ハーピストならではの軽やかな幻想は無い。しかし、律動と緊密さの中に香気が程よく漂う細やかさで、アングロサクソン的なアンサンブルの中にあるからか、英国の演奏を聴いているような、穏やかで、サロン的過ぎない純音楽的感興をおぼえる。技巧的には完璧。○。

ラヴェル:序奏とアレグロ

○コンサート・アーツ弦楽合奏団、グランジャニー(hrp)他(capitol/EMI)LP

グランジャーニ(グランジャニー)は女性ハーピストという記述を最近読んだのだが、そうするとこのジャケットに写っているロマンスグレーは別人なのだろうか。悪名高かったandanteでCD化した演奏とは一応データ上違っている、結構有名な、そして案外中古が出回っている演奏である。以前、男らしい演奏、と書いた覚えがあるが、時間をあけて改めて聴くとそこまで野太い演奏でもない。ラスキーヌほど繊細で完璧なリリシズムは醸されず、相対的には幻想性も薄いが、それでもリアルな触感の演奏としては強すぎず弱すぎず、アンサンブルの調和のとれたこなれた演奏に聴こえる。アメリカの演奏らしくニュアンスは程ほどで、強いインパクトも深層心理に訴えかけるものも無いが、ラヴェルにしては書法がこなれていない機械的な、楽想も変化も乏しい(楽想に乏しいのはラヴェルの後年までの特徴だが)序アレが余り得意ではない私でもさらっと聴ける。楽団の実体はフェリックス・スラットキン系だろう。○。

ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲

○ジースリン(Vn)フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団(melodiya)live

ライヴならではの瑕疵が独奏者・オケともども相当にあるものの、しかしそれを力技で押し切ったような演奏。技量に沿わない高速で、「良く言えば」若々しさを前面に出し切ったような力感、結果指が回らなかったりとちったり何弾いてるんだかわからない部分が散見されたりと、コンクール的視点からだと「悪い意味で」やばい。だが何かしら、英国やその他「綺麗に弾こうとする」国々の演奏家と違った、「これでいいのだ」の魅力がある。フェドもフェドで褒められたバックアップではないが、独奏者とマッチしてはいる。技巧的にめろめろと言ってもいい演奏だが、ウォルトンのバイコンと言われて真っ先に思い浮かぶのは、この演奏だったりするのだ。○。前は細部まで聴くスタンスじゃなかったのでベタ褒めしてしまっていましたねえ。
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