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フランツ・シュミット:交響曲第4番

○メスト指揮LPO(EMI)CD

若々しい演奏ぶりで楽しめる。暗い背景をもった曲だがいささか意識的な構成をとりすぎていて、その計算が情緒的な内容と相容れないように感じる。ウィーンのオケを想定して書かれているだけにその音色や表現に頼った部分もあって、マーラー的ないしブラームス的な美観は他のニュートラルなオケでは地味で引き立たないものに収束してしまうが、ここでは突き放したようにはつらつとして進むのがかえって、曲の出自を意識させずにただ音の流れを楽しませることに集中させてよい。オケの上手さにも指揮者の適性にもよるだろう。○。
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ルーセル:シンフォニエッタ

○エヴラール指揮パリ女性管弦楽団(malibran)1956放送・CD

時代なりの良好な音。女性による室内楽団ということで名をはせているが、現代においては珍しいことではないものの、当時は珍しかったことだろう。楽団としての求心力はまったくひけをとらず、編成の薄さからくる特有の音響のブレはあれど、客観的に整えられた音楽は聴きづらいものではない。2楽章がなかなかに聴かせる。○。

ブルックナー:交響曲第1番

○ブール指揮バーデンバーデン南西ドイツ放送交響楽団(sardana:CD-R)LIVE

偉大なるマンネリスト、ブルックナーの完成されたマンネリズムが発揮された、変といえば変な大交響曲だが、ブールのぎちっと引き締まった演奏ぶりにより更に古典的な趣をつよめている。ベートーベンのようだ。録音はいいが最強音がつねに抑えられる感じ。○。

ボロディン:交響曲第2番

○アッカーマン指揮ケルン放送交響楽団(RICHTHOFEN:CD-R)1954放送

確かに迫力ある復刻で、いちいち重厚な響が折り目正しく飛ばされてくる。ブラームスをやるような演奏ぶりだが悪い意味ではない。羽目を外さないかわりに癖や匂いのないまっとうに西欧的なボロディンを聴ける。ケルンSOのハデハデしい演奏ぶりには賛否あるかも。○。

ウォルトン:ヴィオラ協奏曲

○Matthias Maurer(Va)L.ヘーガー指揮ACO(放送)1986/2/6LIVE

ビニル盤音源をレストアしたものがweb配信された。改訂版だが重厚さを失わず、ライブ的な勢いのあるバランスいい演奏。協奏曲というより交響的な迫力を示し、ソリストは上手いがテンポはけして激することなく、中間楽章はやや遅い。この曲のしっかりした記録としては特徴的で面白かった。○。

ミヨー:ブラジルのソーダード(管弦楽編)

○チェリビダッケ指揮南ドイツ放送管弦楽団(DA:CD-R)1979/10/31live

正規盤が出ていたかもしれない。録音は最悪。しかしチェリビダッケが何故この曲を得意としていたかわかるくらいには楽しめる。ともすると旋律とリズムだけに単純化された形で猥雑に演奏されがちなミヨーを、精妙な響きの作曲家として意識的に構築している。ミヨーの真価が伝わる演奏スタイルは、ただでさえ単純化される録音音楽を、楽器個々の独立し統制されたさまを体感させる生演奏に近づける。まあ、録音のいいにこしたことはないけど。オケは表記のまま。シュツットガルトか。ペットの高音が出てないところが気になる。○。

モーラン:ヴァイオリン協奏曲

○サモンズ(Vn)ボールト指揮BBC交響楽団(PRISTINE)1946live

ディーリアスの影響がものすごく大きい曲だが、屈折したところがなくストレートにロマンティックで、長々しいマンネリズムに飽きてしまうところも否めない。録音が悪いと苦行である。ソリストもオケも緊張感があり、ストレートにロマンティックなのだが「手「が」余る」作品だな、という感じだ。耳新しいのはスケルツォ楽章だろうか、半音階的にうねる分厚いハーモニーというディーリアス風の作風がもっと近代中欧的な趣をかもしワルツ主題など面白い。○。

ミヨー:ヴィオラ協奏曲第1番

○ルモワーヌ(Va)ロザンタール指揮ORTF国立管弦楽団(FRENCH BROADCASTING PROGRAM/ina配信)

近代ヴィオラ協奏曲の隠れた名作と言われ新古典的な趣はストラヴィンスキーよりはやはり同曲の立役者ヒンデミットを思わせる。ただ先すぼみの感も否めず、牧歌的な1楽章においてもヴィオラの音域が浮き立ってこず音色の魅力も余り引き立たないように思った。30年代くらいのミヨーは可聴音域ギリギリの超高音で旋律を響かせその下でメカニカルな構造を面白く聞かせていく魅力的な方法をとっていただけに、更に音盤にあっては高い音が引き立たないとよくわからない音楽に聴こえてしまう。このソリストも力は感じるがそれほど魅力的ではない。ロザンタールが意外ときびきび動きを聴かせて来て、そこは魅力になっている。第二番のまだ作曲されていない50年代前半のモノラル放送用録音か※。

ina.frから配信されている音源と同じと思われる(未検証)。1968/5/2放送のライヴ録音で、オーリックやバローの3番と共に演奏された。

ドビュッシー:弦楽四重奏曲

○パレナン四重奏団(EINSATZ/PACIFIC)1950年代・CD

パレナン四重奏団モノラルLP期のPACIFIC録音だが、ドビュッシーに関しては師匠のカルヴェを想起させる感情的な動き、音色の暖かな揺らぎが感じられる。後年かなりクリアな演奏を志向しただけにこの若さや50年代的な力強さ、陶酔的な表現は意外でもあり、楽しくもある。時代のわりの音の悪さはかなりマイナスだが、参考盤としては十分か。○。

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

モリーニ(Vn)不明(ウォレンスタイン?)指揮不明(ロス・フィル?)(RICHTHOFEN:CD-R他)1950年代LIVE

計算し尽くされたソリストの表現力もさることながらバックオケの「こんな音があったのか、さすがグラズノフ!」という発見まで促す性能の高さ、双方丁々発止のスリリングなやり取りは実にレベルが高い。ドイツ的な構築性があるにもかかわらず野暮ったさが皆無で、軽快にさえ感じるその理由は演奏精度の高さにあるのだ。前半は客観性が見えテンションは低くはないが飽きる。しかし後半は清々しく楽しい。最後のフラジオがこんなに輝かしく捉えられた録音を私は知らない。で、なんで無印?瑕疵がないなら音が悪かろうが○にしたろう。R盤(版元によればアセテート原盤からそうらしいが)、拍手をフェードアウト・カットするさい、最終音まで切り落としてしまっているのだ。注記はどこにもない。拍手がカットされているとだけ書いている。これを意図的なものではなく、聞き逃したと好意的に解釈したとしても、販元の見識を疑う。同盤を扱っている店舗がいずれもグラズノフの協奏曲程度ですら「知らない」という事実に、クラシック音源業界の落日をはっきり感じた。

悔しい。

ボリス・チャイコフスキー:交響曲第2番

○コンドラシン指揮モスクワ・フィル(PROFIL,HANSSLER)1967/10/17初演・CD

ライブのような感じがしないというか、MELODIYA盤との違いが見えないくらい精度が高かったので初演とだけしておく。ショスタコ晩年の交響曲、新ウィーン楽派がかった響きが嫌いな向きにはすすめられないし、とにかく大作なのに単線的な流れ、ごつごつしたハーモニーの変化、模倣的フレーズを組み合わせ構成していく、すべてが巧緻とはいえ既聴感のある現代非前衛音楽。コンドラシンの鋭い切れ味なくして聴ける代物にはなりえないような曲かなと思う。むろん好きな人は好きだろう。モスクワ・フィルの管打ソリストはコンドラシンなくしてこの見せ所だらけの神経擦り減らすような譜面をアンサンブルに昇華できなかったろうな。二楽章の響きや音列の叙情性はベルクを思わせて好き。しかしいつ終わったんだかわからない三楽章はいまいち。○。併録自作自演のピアノ曲は耳優しくききもの。

ベートーヴェン:交響曲第1番

○ヒンデミット指揮スウェーデン放送交響楽団(ANDROMEDIA)1955ストックホルム・CD

オルフェオ(再CD化)のボーナストラックとしてCD化された放送音源。記念盤としてLP化はしていた気がする。やや音は悪い。篭っていて、オルフェオ同様エアチェックかもしれない。ヒンデミットの指揮は重く、とくに中間楽章は引きずるようにすら感じる。ロマン派として同曲をとらえているのだ。しかしロマンティックではない。きっちりかつ滑らかに職人的にさばいたふうで、奇をてらうことも派手に見せ付けるようなこともしない。抽象化の程あいがよく、とても聴きやすい1番だ。どうもクレンペラーあたりの伝説に起因する謗りが吹聴されることが多い指揮者ヒンデミットだが、ああいう曲が書ける才人が下手なわけがないのである。じじつ、ブラヴォが飛ぶ。○。

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲

○チェルニャフスキー(Vc)ビーチャム指揮シアトル交響楽団(PASC)1943/10/18Evening concert,Music Hall Theatre, Seattle

ビーチャム・シアトル発掘音源シリーズ第二弾、しかもドボコンのやっとリリースだが、一楽章最後の欠落が目立つのは残念。しかしそうとう苦労してレストアしたようでなんとか楽しめる。ドイツ的な折り目正しい、四角四面の演奏だが軽やかさと愉悦感はさすが。人工的なテンポ・ルバートはソリストのせいなのか極端で面白い。音量変化やバランスが録音のためまったく正確に捉えられず、レストア時に音量はいじったようだがかえって人工的ではある。オケはきっちり仕上げようとして奔放さがない。ソリストは時々音程がずれて聞こえる。

ドビュッシー:弦楽四重奏曲

○パレナン四重奏団(EINSATZ他)旧録・CD

モノラル録音のほうで、ドビュッシーとラヴェルというステレオと同じ組み合わせではあるが、よりはっきりとしたコントラストをつけた激しい目の演奏にはなっている。ラヴェルのほうが集中度が高くスピードもあるように感じるが、こちらドビュッシーでは重いテンポでねっとりした感すらある1楽章からやや生硬な2,3楽章、そして4楽章では録音こそふるわないものの輝かしい終結に向けてしっかり設計がなされ、それまでの楽章で感じられた縦を意識した堅い表現というものがロマンティックさを帯びてなかなかに美しい。個性的な解釈が随所にみられるが基本的にはフランスの楽団という印象、技術的にもその「色合い」が強い。○。

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