ラフマニノフ:弦楽四重奏曲(未完)

○ギレー四重奏団(NAXOS他)CD

トスカニーニ下のNBC交響楽団のコンマスとして知られるギレーの楽団だが、ピッチが低過ぎて聴きづらく感じるところがある。しかし演奏は聴かせる。ロシア国民楽派とは一線おいた上での保守性を、うねるように半音階的な動きを交えながら表現するラフマニノフの、チャイコフスキーから一歩踏み出した新鮮な響きがちゃんと聞き取れる。スケルツォの二楽章はラフマニノフらしさは薄いが要領よくまとまってとくに内声部が面白い。この楽章で終わってしまうのは惜しい気がするが仕方ない。○。
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ルーセル:弦楽四重奏曲

○レーヴェングート四重奏団(VOX)CD

VOXBOXでCD化されていた新録だが現在はNMLなどweb配信で容易に聴ける。しょうじき音程感は甘いところもあるが曲の主軸を要領よく浮き彫りにしてゆき、美しい旋律と微妙な転調の、リズムよく動くさまが簡潔あきらかで聴き易い。とにかく響きが重くならないので、ドビュッシーから連なるフランス派の弦四として同曲を認識し直すことが可能。透明感はないが二楽章の感傷には心惹かれるものがある。○。

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ルーセル:バレエ「バッカスとアリアーヌ」第二組曲

○ミュンシュ指揮ORTF(ACCORD)1950年代・CD

ルーセルといえばこの曲、というくらいの象徴的な作品。バーバリズムもオリエンタリズムも丸められわかりやすい。バローのシンフォニーとのカップリングのせいかひときわ良い曲に聞こえる。ミュンシュはスタジオ録音のせいかちょっと大人しいがそのぶん緊密で力強さもある。モノラルとのことだがACCORD盤はステレオ効果が加えられている。音質はよい。○。

バロー:交響曲第3番

○ロザンタール指揮ORTF(FRENCH BROADCASTING SYSTEM)live・LP

モノラルではあるが拡がりのある音響の中で落ち着いたテンポにのって楽曲をうまく捌き分けている(いかにもロザンタールの芸風だ)。特殊楽器や奏法こそ殆ど聞きとれないものの、ライヴならではの勢いがあり、劇音楽ふうのドラマがちゃんと引き出されており、(聴きにくい曲ではあるが)それほど聴きにくくはない。○。

バロー:交響曲第3番

○ミュンシュ指揮ORTF(ACCORD)1961・CD

アンリ・バローはORTFの長きにわたる音楽監督として知られる。この作品はオネゲルやメシアンなど想起する折衷的な作風ではあるが、いかにも新ウィーン楽派的な前衛ふうの晦渋さが目立ち、好き嫌いをものすごく分けるだろう。ミュンシュは繊細な部分に拘泥せず速いスピードで求心的な表現をもってのみ曲の本質をえぐり出す。そのため色彩感がやや薄く、アメリカの凡庸な現代交響曲のような生気のない音の運動のみ聞こえるところもある。辛うじてステレオゆえ、グリッサンドの応酬など前衛的な面白さについては聴きとりやすいものではあるが、よほどこの時代か、ミュンシュに思い入れでもなければ聴く必要はないだろう。○にはしておく。この音源、現在CDは入手不能だが、itunesでダウンロード可能(amazonフランスからもダウンロード可能だが、周知のとおりamazonは日本サイト以外からのダウンロードができないのでmp3音源として取得は不可能)。

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ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ

ゴーティエ(Vn)レヴィ(Vc)(Le Chant du Monde)1961/5/27

これは余りに自由過ぎる。たどたどしさやアンサンブルの甘さにもましてとにかく各々勝手に伸縮するのが耳に気持ち悪い。特殊な演奏を好む向きには薦めてもいいが、少なくとも、下手くそだ。無印。webで配信されている。LP原盤の模様。

ルーセル:弦楽四重奏曲

○パスカル四重奏団(放送)1957

webで配信されている音源。モノラルだが録音バランスが悪く、とくに一楽章では内声が前に出過ぎて雑然としてしまっている。楽章が進むにつれバランスはよくなってくるが、曲自体の問題として旋律が埋もれがちなところ、やはり埋もれてしまってわかりづらくなってしまう点は否めない。全般渋い曲だけに、美しい旋律や響きはきちんと取り出して聴かせないと魅力が半減してしまう、そんなことを思わせた。○にはしておく。

ミヨー:バレエ音楽「世界の創造」

○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1953/7/26live

壊滅的な録音状態で酷いノイズが支配的だが、けたたましくも迫力のオケの表情がしっかり聞き取れそれなりに魅力がある。ミヨーが借りてきたようにジャズ表現を取り入れて、ガーシュインのシンフォニックジャズと共時的に制作したバレエ音楽だが、ここでは舞踏要素よりも、純粋に音楽的な魅力を刳り出し比較的透明度を保っているさまが新鮮だ。ミュンシュにはスタジオ録音もあったと思うのでこれを取り立てて聴く必要はないが、ライヴならではのひときわの集中力を味わうことはできる。○。

チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1961/9/29live

こってりしたフレージングで遅めに揺れるテンポ、バンスタもかくやというような異質な悲愴だが、盛り上がりどころでは聴かせてくれる。二楽章がかなり重厚な揺れ具合でやりすぎのようにも思う。確かめるようなテンポでありながらも力付くで盛り上げた三楽章後、やはり拍手が入ってしまうが構わずアタッカ気味で辛辣な四楽章へ。一楽章でもそうだったが結構演奏が荒くミスも散見される。個人的には余り惹かれなかったが好きな人は好きだろう、○。

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ヒンデミット:「気高き幻想」組曲

○オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団(naxos)1946-47

web配信されている音源。録音は悪いが、スケールの大きくゴージャスなオーマンディの芸を楽しむことができる。ヒンデミットは即物的な表現があう作曲家で、譜面が全てを語っているから、演奏家が殊更に何か付け加えると不格好なロマン派音楽みたいになってしまう(この作品のようにわかりやすい後期作品だと特に)。この演奏もその点は否定できないが、一回聴きなら大いにアリだろう。何度も聴くかは?

ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容

○セル指揮クリーヴランド管弦楽団(naxos/columbia)1947

web配信されている音源。セルの同曲旧録で、同曲の初録音という。naxosは板起こしのようで、モノラル音源に対しかなり作為的に音をいじっているのが聞きづらいといえば聞きづらい。まだ技術的に問題を残している田舎臭いオケをセルが非常に厳しく引き締めているといったふうで、ソリストのやや自主性の損なわれている感もある。生硬なのだ。迫力はそれなりにあるのだが、セルがステレオ再録したのもわかる出来ではある。○。

ドビュッシー:イベリア

○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1961/9/29live

どうもゆっくり粘るような方向にいきがちで、テンポの停滞を招いている。中間楽章だけでなく速いパセージも確かめるような、固いテンポになりがちで、スポーティなイベリアを求める向きには向かない。録音がステレオで比較的いいので○。

バーバー:ピアノ協奏曲

○ブラウニング(P)セル指揮クリーヴランド管弦楽団(DA:CD-R)1965/6/24live

中間楽章はラヴェルの両手やプロコフィエフを、両端楽章はジョリヴェを彷彿とさせるモダンな作品だが、緻密な書法とソリストに要求されるテクニックの高度さにかんしてはそれらを凌駕する部分がある。大して叙情的でもない中間楽章よりも、いきなりのソロからぐわんぐわんと拡がる一楽章、さまざまな楽想を取り込みながらけたたましく突っ走る三楽章に魅力がある(三楽章にはバーバーの好んだRVWの、ピーコンに類似した主題もある)。いずれテクニックがないと無理だ。初演者によるこの演奏は正規録音もある組み合わせだが、さすがのそつのなさで聞かせる。湿り気のなさが気にはなるがこの曲はそれでいいのかもしれない。オケはバックにてっしている。

プロコフィエフ:交響曲第1番(古典交響曲)

○セル指揮クリーヴランド管弦楽団?(DA:CD-R)1961/11/9live

素晴らしい技術を見せ付ける。冒頭からの勢いは衰えることを知らず、清清しく駆け抜けていく。録音状態にはやや難があるが、セルが無味乾燥の指揮者だと思ったら大違い、とても楽しい仕上がり。ペーターと狼のように聴こえてくるほどカラフルでチャーミング。○。

ヴォーン・ウィリアムズ:音楽へのセレナーデ

○ロット、ミルン他、ノリントン指揮LPO(DECCA)CD

コントラストははっきりしているが、響きが澄んで美しく、LPOの淡い色調がうまく載っている。歌唱も高らかに安定し、合唱人数が少ないにもかかわらず違和感はない。曲がいいだけによほど変なことをしない限り悪く聞こえることはないのだが、ノリントンらしくない感傷すら醸しており、おしなべていい演奏。○。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番

○カペル(P)ミュンシュ指揮ボストン交響楽団?(DA:CD-R)1953/3/21live

唖然とさせるような超絶なピアニズムを見せ付けるカペルの前にはミュンシュは鈍重とすら感じられる。もっとも緩徐部の情感にはやや欠けるように思った。ミュンシュはプロコフィエフですら厚ぼったいロマンチシズムを演出してくるのでその点真逆。でもミュンシュは下手ではない、旋律音楽であるこの曲でさえそのじつ縦をいかに響かせるかが肝要、メカニカルな構造をギリギリのところで守りきっている。曲をちゃんと見切っているのだ。フィナーレ最後はカペルもミュンシュも融合し盛大なブラブォを呼んでいる。録音最悪。よれすぎ。○。

ヴォーン・ウィリアムズ:タリスの主題による幻想曲

○ノリントン指揮LPO(DECCA)CD

さらさら流れるテンポで進む音楽だが、ノリントンらしさではあるのだが音符の切り方が独特で、珍妙な印象を与える。ヴォーン・ウィリアムズで楽譜をそこまで厳密に再現してどうする、というところがある。かえってぎくしゃくする面がある。ただ音は綺麗。純器楽的演奏として特徴的であり、○にはしておいていいだろう。

ヴォーン・ウィリアムズ:タリスの主題による幻想曲

○プレヴィン指揮ロイヤル・フィル(TELARC)CD

ゆったりしたテンポに繊細な音、この曲はオケ次第というところがあるけれどもまさにロイヤル・フィルらしさが活かされた演奏で、感情が高ぶりすぎることもなく明るく温かな世界が演出されている。耽溺しないところが逆にいいのだ。○。

ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容

○セル指揮クリーヴランド管弦楽団(DA:CD-R)1969/10/9live

ステレオということでクリーヴランドの明るい音を楽しめる。ボストンのテンション高い演奏に比べ技術面含めやや落ちる感もあるが、3楽章あたりは落ち着いた感傷的な雰囲気がある。○。

ベルク:ヴァイオリン協奏曲

ドルイアン(Vn)セル指揮クリーヴランド管弦楽団?(DA:CD-R)1966/10/30NYlive

色の無い演奏で、ベルクの濃厚さが無調的な無機質に昇華されている。のっぺりとしてなだらかだ。ステレオで音がいいかと思ったら終盤モノラルになったり混信したり。そんな盤。
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