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オネゲル:交響曲第3番

○クリュイタンス指揮トリノRAI交響楽団(ARTS)1962/5/4live・CD

クリュイタンスらしい透明で繊細な抒情が漂う演奏で、同曲の暴力的な面は強調されないが、2楽章や終楽章終盤の優しく感傷的な旋律表現がとてもすばらしく、心惹かれる。ミュンシュの「禁欲的な凶暴さ」とは違い、感情的で人間的だ(だが精度は高い)。この時期にしては驚異的に良いステレオライブ録音(復刻)という評判どおり、微妙な色彩の揺れや緻密な構造がよく聞き取れ、楽曲理解の意味でもメリットがある。弦楽器に強靭さが足りないと感じる向きもあるかもしれないが、コントロールを全般に行き届かせるうえで、各セクションを抑制しつつトータルでオネゲルの意図をよく伝えようという指向に沿ったものといえる。過剰なアゴーギグでアンサンブルに乱れ(もしくは聴く側の「誤認識」)をもたらすことがない。かといって結構テンポは揺れているのだが。とてもカラフルでオネゲルの六人組時代の作風を連想する部分も多い演奏。○。同日の「放蕩息子」とのカップリング。
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ヴォーン・ウィリアムズ:カンタータ「ドナ・ノビス・パセム」

○作曲家指揮BBC交響楽団、合唱団、フライン(Sp)ヘンダーソン(B)(SOMM他)1936/11放送・CD

よくレストアされノイズカットされた音源が流通している。初演直後の30年代の録音とは思えない迫力(やや音場は狭くなったが)の音楽を楽しめる。テキストはけして聖書だけではなく複数の文学的な要素を構成したもので、両大戦間の不安と希望が投影された代表作の一つと言っていいだろう。美しい宗教的旋律と中欧的に底深くもフランス的な精妙さを併せもった響き、不協和音と激しいリズムの未だ現れない頃の作品として、もちろんヤワな音楽が嫌いという人の中には「ただの美しい宗教曲」と感じる人もいるだろうが、よく構成された楽曲は交響曲的なまとまりと盛り上がりを作り上げ、5番交響曲を思わせる終曲の壮麗さと判りやすい神秘性は特筆すべきだろう。演奏は作曲家自身によるものだが、他の曲の録音同様、構築的で少々固い。オケも録音のせいもあるだろうがやや非力に感じる(本来大編成向けの曲なのでこの時代の録音用編成では実際薄すぎたのだろう)。一方直裁で突き進むような覇気に満ちた棒はこの作曲家の優しいイメージからは意外でもある。スタジオ録音のためミス等の心配はない。RVWが好きならお勧め。○。

ラヴェル:スペイン狂詩曲

○ベイヌム指揮ACO(放送)1950年代半live・着任25周年記念盤

オケが迫力で、そのうえ精度の落ちない集中力が素晴らしい。録音がそれなりでしかないので細部は不明だが、ミスはまったく聞き取れなかった。力強くリアルなベイヌムの指揮は中欧的ではあるがラヴェルから離れた音楽にはなっていない、ミュンシュほどの色彩感やケレン味は無いものの、直裁な表現によって同等の感興をもたらす。あっという間に聴けてしまう録音。○。

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ラヴェル:弦楽四重奏曲

○パレナン四重奏団(EINSATZ/PACIFIC)1950年代初頭・CD

パレナンにしては躍動的で前半楽章では感情的な昂りも感じさせるが、それは主として音色的なものでありテンポはそれほど揺れずアンサンブルはいたってしっかりした後年のスタイルに沿っている。もちろんそういった若々しさ力強さ(+雑味)が醸される理由の大部分は団体のまだ初期の録音だからというところに帰するだろうが、もう一つ、録音の残響がぜんぜん無く、デッドと言っていいくらいであることにも起因していることは間違いない。そのような状態でなお十分に「聴ける演奏」であることこそが一流の演奏家のあかしとも言えるのだが、リアルな肌触り、剥き出しの運動性はひとえにその録音環境(及び復刻)によって生み出されたもので、神経質な向きには薦められないが、慣れた向きには残響バリバリで補正かけまくりのデジタル録音には無い、狭い木造のスタジオで繰り広げられるライヴを現場で聞くような感覚で楽しめると思う。○。

ドビュッシー:交響組曲「春」

○ベイヌム指揮ACO(放送)1950年代半live・着任25周年記念盤

1942/7/8の録音がandante等でCD復刻されていたが、これはLPボックスで出ていた放送局音源(現在web配信されている)。モノラルではあるが音の状態は比較的良好で、ワグナーを聴くような迫力があり、リアルな肌触りの分厚いロマンチシズムが盛り込まれ初期ドビュッシーを雄弁で力強い音楽に仕立てている。オケの力量が存分に発揮された快演。ライヴでこういう音楽を聴けたら最高なのに。ただ、ドビュッシーをドビュッシーとして聴きたい向きには向くかどうか・・・○。

ミヨー:弦楽四重奏曲第1番

◎ペーターゼン四重奏団(capriccio)CD

これは快演。鋭い表現で同曲の叙情性よりも前衛性を抉り出し、高い技術をもって完璧に再現してみせている。メロディ重視を公言していたミヨーの魅力は叙情的な部分に尽きる、とは思うのだが、ここまでメカにてっしてスピード感溢れる音楽を演じてみせてくれると、こういう聴き方もできるのだなあ、と曲自体の評価も変わってくる。線的な書法で楽器同士の絡みが弱いミヨー初期カルテットではあるが、ここではそういう弱みもまったく気にならない、1番の演奏としては第一に推せる。

ラヴェル:弦楽四重奏曲

○ペーターゼン四重奏団(capriccio)CD

生気が無い。といったら悪いので手堅いとしておくか。いくらラヴェルだからといってインテンポ守りすぎ。表現に伸びやかさや多少の茶目っ気もあっていい旋律音楽だと思うのだが、長い音符でもきっちり型に収めようと制御しているような感じがした。技巧的問題があるのか?とはいえ、ちゃんと聴ける演奏にはなっている。○。

ミヨー:弦楽四重奏曲第1番

○アリアーガ四重奏団(DISCOVER)1994/11・CD

簡単に言えばRVW1番のような曲。ドビュッシー後の国民楽派室内楽の典型といったところか、民謡旋律を中心に手堅い書法でまとめている。しかしミヨー特有の表現、和声も確かに現れており、冗長な曲に新風を吹き込んで耳楽しい箇所もみられる。アリアーガ四重奏団はイギリスの楽団のよう。激しさはなく響きは穏健で美しい。○。

ミヨー:弦楽四重奏曲第2番

○アリアーガ四重奏団(DISCOVER,Koch Discover International他)CD

同曲はミヨーにしては疎な譜面で拡散的でだらだらする部分もあるけれども(5楽章制でアーチ構造を頑なに守っている)、各楽章で変容する南欧旋律の美しさ、簡素にまとめられた響きの透明感(ミヨーを取り付きづらくさせている複調性が分厚くならずほとんど気にならない・・・演奏する側としてはやはりやりづらさはあるのだけれども)は実に魅力的で、番号付きだけでも18曲ある、時に実験場と化しもした全ての弦楽四重奏曲の中で最も聴きやすく、コーフンする曲だと信じて疑わない。前記のとおり構造に執拗に囚われ音楽の流れが停滞する場面もあるにせよ、ノイジーな響きで耳を濁らせるよりはましというもので、とくに、ベートーヴェン的な弦楽四重奏が好きな向きには薦めたい。ミヨーらしさを残しながらも、前時代的な弦楽四重奏曲を踏襲している、この絶妙さはドビュッシーでもラヴェルでもない、ボロディンの気は少しあるけれどもロシア的ではまったく無い、まさにフランス近代のミヨーそのものである。アリアーガ四重奏団は落ち着いた演奏ぶりに円熟が感じられるが、多分ミヨーの書いた最もスポーティな楽章、ミュートされた四本によるスケルツォ3楽章が余りに落ち着きすぎていてがっくりした。しかし、冒頭よりヴィオラ以下がしっかり音を響かせ主張していて、ドイツ的な面もある同曲の勘所をよく理解した解釈だなあと思った。○。

ドビュッシー:ピアノと管弦楽のための幻想曲

○ジャッキノー(P)フィストゥラーリ指揮ウェストミンスター交響楽団(naxos他)1951・CD

一度CD化しているらしい。今はweb配信されている。この組み合わせで近現代協奏曲が集められているが(オケは異なる)、正直最も古くロマンチックなこの曲が一番しっくりくる。奏者もやりやすそうだ。起伏も大きくスピードもあり、みずみずしい曲をみずみずしく仕上げている。イギリスらしいというのか、木管や弦楽器の音色が軟らかく透明で、そこにピタリとマッチしたピアノもまた美しい。けして録音状態はよくないが、曲構造が非常に見え易く、理解にもよい。和声面の新味は強調されないが、この時期の曲ならべつに構わない。○。

ミヨー:ピアノ協奏曲第1番

○ジャッキノー(P)フィストゥラーリ指揮フィルハーモニア管弦楽団(naxos他)1953

テンポ取りなどややたどたどしさを感じる。ミヨーの特殊性を意識せず古典的な協奏曲をやるように正面から取り組んだ結果のようにも。モノラルというとどうしてもロンの演奏と比べてしまうが、細かいリリカルな表現にはオケもろとも惹かれるものの、何かプロヴァンスではない、北のどこかの協奏曲に聞こえる。アントルモンのようにやたら派手に一気呵成に攻めるのが良いとも言わないが、半分は篭りがちな録音のせいと思うが、勢いや説得力が足りない気もした。オケは上手い、美しい。ソリストも繊細で技巧に陰りはない。○。

オネゲル:ピアノ小協奏曲

○ジャッキノー(P)フィストゥラーリ指揮フィルハーモニア管弦楽団(naxos他)1953

現在はweb配信もされている音源。しっかりした足どりだがあくまで柔らかい表現で牧歌的な前半部から悪魔的な後半部までブレなく演じている。オケも控えめで若干客観性が勝っている気がしなくもない。この分裂気質の曲をわかりやすく入りやすくしてくれているという意味で、入門盤として○にしておく。録音はやや悪い。

ミヨー:弦楽四重奏曲第7番

○スタンフォード四重奏団(M&A)CD

哀しげな表情を湛えた牧歌的な小品だが、コントラストを強調せず密やかに優しげに表現する楽団には好感をおぼえる。譜面自体に力があるミヨーには、案外エキセントリックでない表現のほうがしっくりくる。技術的に弱いかというとそういうこともなく最高音の音程もしっかりしていて、曲が比較的大人しいせいかもしれないが、ミヨーの楽曲演奏には珍しい音楽的安定感が漂う。イギリス近代の弦四を聴くように楽しめる演奏。ブリッジ、フォーレとのカップリング。
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