プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番

○ワイエンベルク(P)クーベリック指揮ORTF(FORGOTTEN RECORDS:CD-R)1957/3/28live

◎に限りなく近い○。終始つんのめり気味でオケにはクーベリックらしい熱にうかされたような雑味込みの表現があるから○にしたのだが、このカラフルで打楽器的な曲に、ワイエンベルクがピッタリなのである。まー弾く弾く、機関銃だ。まさにスポーティーである。スピードは作曲家が要求したという必須条件だが実際にこれは速い!と思わせる演奏は少ない。私はここまでインテンポで突っ走った演奏は知らないし、そこに乱れが一切無いのもライブではまったく信じられない。深みは余り無いが楽曲自体が、そしてオケがしっかり語っている。初っ端からオケとピアノが噛み合わずつんのめって始まるものの心配はない。とくにクーベリックの壮年期ライブを好む者は期待するものを得ることができよう。これはブラボーに値する。
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バーンスタイン:キャンディード序曲

○スヴェトラーノフ指揮フィルハーモニア管弦楽団(ica)1993/3/15live・CD

題名のない音楽会でお馴染み、バーンスタインの代表的なピースだが、スヴェトラーノフは華麗なブラスを背景にカラフルで軽い音楽を提示する。ライブなりの精度ではあるがアメリカ音楽を案外と演奏していたこの人らしい見識が伺える。ブラス以外にロシア的要素は感じない。バーンスタインが亡くなり、自分も手兵を離れて客演生活を送るうち病に倒れる、その合間のきらめきを、懐かしく聴こう。

ラフマニノフ:交響曲第2番

○スヴェトラーノフ指揮フィルハーモニア管弦楽団(ica)1993/3/15live・CD

スヴェトラーノフ円熟期の十八番で終楽章後半の盛り上がりに熱狂的なブラボーも定番といっていいだろう。一楽章など内声がごちゃっとしてしまったりオケに弱みが感じられるがスヴェトラーノフの演奏らしいアバウトさで乗り切っている。このころからやけに透明感ある響きを志向していたように感じるがこれはオケが元々そうであるがため良さそうなものの、やや無個性で重みがないのは気になった。何と言っても聴かせどころは三楽章であり、止揚するテンポにはスヴェトラーノフの真骨頂たる歌心が感じられる。尊敬していたというバンスタ(アンコールはキャンディード序曲)とは違った粘着力を持つ音楽は一聴の価値あり。

プロコフィエフ:「キージェ中尉」組曲

○コンドラシン指揮ブルガリア国営放送交響楽団(armada)CD

オケは二流。ペットが何回落ちるんだというところから始まり縦線はすぐ崩れて前のめりになっていくしまあとにかく事故が多いし精度も低い。しかし録音(決して万全ではない)がクリアで非常に明るく色彩的に捉えられており、このオケの特性込でもあるのだろうが意外なほど面白く聴ける。アンサンブルの妙を楽しむのがプロコの曲、なのだがそういう問題でもなく、とにかくカラフル。オケ(ソリスト)は派手に鳴らすべきところ中音域でくぐもってしまったりするのだがなお、何故か綺麗なのだ。コンドラシンの実演は美音だったとはよく言われるが、オケのレベルはともかく、相性は良さそうな演奏。曲自体は言わずもがなのプロコの代表作である。

プロコフィエフ:古典交響曲(交響曲第1番)

○ロジンスキ指揮RPO(westminster他)1956

古き良き、と言うとロマンティックで揺れ揺れの演奏を思い浮かべられるかもしれないが、そういうのではなく、トスカニーニの匂いを嗅いで、ストコフスキのゴージャスな響きを受け継いだような演奏、という意味での古き良きである。すなわち戦後アメリカというべきか。揺れずまっすぐ突き進むが分厚いオケのうねりが音楽の愉悦性を高め、2楽章のようなだれそうな楽章でも普通に聞きとおせる。むろんスタジオ録音ということもあるだろうがアンサンブルは丁々発止のやり取り、古いので明瞭に聞き取れるわけではないが不明瞭であっても流れは滞らず立体性も失われずに聴ける。ギリギリ引き締められすぎて窮屈になることもない。反面個性には欠けるかもしれないが、まあ、でも悪くは無いでしょう。ロイヤル・フィルの輝かしい響きは私の盤からは聞き取れなかった。○。

スクリアビン:ピアノ・ソナタ第5番

○ホロヴィッツ(P)(?)1974/11/17NYlive

METのライヴの一曲で、この頃の定番のレパートリーとして必ずコンサートの演目に入っていたようだ。正規録音化されておらず録音は悪いがwebで聴けるので、比較的安定した演奏として聴いてみてほしい。ノイズの中からも煌びやかなホロヴィッツの万華鏡が展開されるさまは壮観。但し、技術的問題もあることはたしかで、万華鏡がところどころ割れたり歪んでいるのが惜しいが・・・テンポが安定している反面一本調子かもしれない。

スクリアビン:ピアノ・ソナタ第5番

○ホロヴィッツ(P)(?)1976カリフォルニアlive

ホロヴィッツの数ある録音のうちのひとつで決して状態はよくない。客席録音のようだ。しかし聞き取れるのはホロヴィッツがかなりロマンティックに大きな起伏をつけ、没入型の演奏を提示していることで、よたるようにやや危うくなる部分も厭わず同曲のファンタジーを存分に引き出そうとしていることがわかる。凄まじいブラヴォが入る。ホロヴィッツには何故か70年代中期の録音が正規非正規問わず多く、もっと昔の録音、バリバリやっていた時期のものを聴いて見たかった。普通の人は正規録音一つ聴けば十分でしょう。

スクリアビン:ピアノ・ソナタ第5番

○リヒテル(P)(PRAGA他)1972/9/24プラハ・CD

好戦的な時代のリヒテルで清々しいほどに即物的。ペダルを使わず音を粒立てて音楽の煽情性は楽譜そのものから立ち上らせるやり方で非常にかっこいい。まだロマンティックで中期交響曲との関係性の濃い作品だが、この演奏からは乾いたロマンチシズムが感じられ、技術的な安定性をもってちっともほころびなく進む。野暮ったいロマンとは無縁である。強靭なタッチと細部をおろそかにしない完ぺきなピアニズム、リヒテル黄金期の記録だろう。私の手元の音源はモノラルなのだがステレオとのこと。

オネゲル:ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ

○ジェンドレ(Vn)ベックス(Vc)(BAM/forgottenrecords:CD-R)1960

ラヴェルのソナタとは違って尖鋭さは少なくオネゲルらしい新古典主義に立った作品である。一楽章は特に保守的で他のオネゲル作品にも似ており不協和音にもオネゲルらしさが感じられる。二楽章は「オネゲルは旋律が良いとホントに映えるな」と思わせる牧歌的な風情で六人組らしさとバッハに倣った構築性のバランスが良い。特筆すべきは終楽章の技巧性で、古典的な手法に立ちながらも構成に独自性が発揮され、ヴァイオリンのソリスティックなフレーズにはこれがとてもソナチネとは思えないところがある。ベックスはやや地味だがジェンドレは素晴らしく爽快に弾ききっている。モノラルで篭るのは惜しい。○。

ヒンデミット:交響曲変ホ長調

○バーンスタイン指揮NYP(vibrato:CD-R)1967/3/11live

録音がチープ過ぎる。三楽章などテープ撚れが酷い箇所がある。それでも終演後のブラヴォを聴くにこれは確かに魅力的な演奏であったらしい。どの演奏でもそうなのだが前半楽章は即物的で感情の入る隙がない。三楽章にきて暴力的な律動がヒンデミットの本質を揺り起こし、四楽章で解釈の評価が決まると言ったら言い過ぎだろうか。バンスタのこのライブも三楽章から耳を惹きはじめ四楽章では壮麗なフィナーレへ向けて激しいアンサンブルが繰り広げられる。らしさ、でいくとこの四楽章もどんづまりのロマンティックな盛り上がりだろう。何はともあれ、録音ひどすぎる。○にしておく。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第4番

○バルビローリ指揮BBC交響楽団(bs)1950・CD

かなり録音が辛いがよくレストアしている。演奏は冒頭と終楽章の強奏主題は粘着質で遅いテンポをとり、そのような演奏なのだろうと思いきや、重いながらもスピードは上がり好戦的な表現をみせてコントラストを出している。オケがいいせいもあって迫力もあり、バルビローリらしい客観的に整えられた遅さがたまに出るが、おおむねトスカニーニ的な演奏として楽しめる。

アイヴズ:ピアノ・ソナタ第2番「コンコード・ソナタ」

○アムラン(P)(NWR)CD

抽象度が高過ぎてわかりにくすぎる。引用旋律や通奏主題である「運命の主題」を力強くそれなりに卑近に表現して各々同士のコントラストをはっきりし、雑多に混交する中からたちのぼるアイヴズらしい世界を構築するのが通常のやり方で、そのためには余計な音は整理したり恣意的にいじったりして、そうやって楽しめるような音楽に仕立てるのが必要なのだが、、、余りに大人しく、透明に、完璧に演奏してしまっている。平坦でどこを聴けばいいのかわからない。そのやり方では終楽章ソローが唯一感傷的印象派的に感じ入ることができた。新録音ではもう少しこなれている。

マーラー:交響曲第4番

○マンダック(Sp)オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団(ETERNITIES:CD-R)1972live

馬力のあるオケで勢いのある演奏なのだが、スタジオ録音を聴いているようで、それなら録音のはるかにましなスタジオ録音で聴きたいところだ。アメリカの職人的指揮者のそつなさ、の典型のよう。さらっと聴くには向く。二楽章のソロバイオリンの音が汚すぎるがこれは仕方ないか。三楽章でひどい音飛びがあるのは私の盤だけか。とにかく、ステレオではあるが雑な録音がいただけない。

アルベニス:イベリア(アルボス管弦楽編)

○セバスティアン指揮コロンヌ管弦楽団(URANIA/NIXA)1953・LP

この曲で演奏の違いを説明するのは難しいのだが、カラッとした演奏で色彩も豊か、特長の強い演奏ではないが楽しめる。コロンヌ管の音だ。

スクリアビン:交響曲第3番「神聖な詩」

○キタエンコ指揮BPO(dirigent:CD-R)2010/5/29live

底から轟くような響きで展開されるスクリアビンで、客観性が感じられる点はハイティンクの全集盤にやや近い感じか。スクリアビンでも断トツのロマンチシズムが盛り込まれた法悦的な中間楽章が同曲の聴かせどころであるが、ロシアオケに比べ構築的なあまり跳ねず地味になるのがドイツオケ、この演奏も交響的で色彩はやや地味かもしれない。とまれ中低管の活躍する両端部はかっこがよく、キタエンコの円熟とあいまってほどよく楽しめる。雄大なフィナーレは聴きもので聴衆も盛り上がる。

マーラー:交響曲第5番

○ロスバウト指揮ケルン放送交響楽団(ica)1951/10/22・CD

擬似ステレオで左右が揺れるという録音状態はいただけないが、演奏は厳しく律されながらもねっとりしたフレージングがマーラーらしさをかもすところもあり、即物的では無い。オケが弱く弦などバラケが目立ち、それでもそれであるがゆえ、迫真味を感じさせる。カラヤンと比較されることもあったロスバウトだがバンスタに近いようにも感じたのはそういうところもあるのだろうか。重々しく引きずるような一楽章からどうなっていくんだろうと思ったら二楽章中盤で見事に切り替え、バラケが無くなり、アダージェットではポルタメントも感情的で再びねっとりするが、ブラスが強力に吼える終楽章は素晴らしく変化に富んだ内容。弦のアンサンブルに聴かせどころが集中しがちなところ、弦があまりに歌い過ぎるせいもあるのだが弦よりむしろ全オケの総力戦となって大団円を迎える。名演。録音マイナスで○。これはなぜかネット経由だとダウンロード販売しかなかったりするので、店舗注文か直販か、イギリスのサイトから買ってください。

シマノフスキ:交響曲第4番(協奏的交響曲)

○アムラン(P)エラス・カサド指揮BPO(DIRIGENT:CD-R)2011/10/20live

深く広い響き、ベルリン・フィルでこの曲が聴けるだけでも喜びだ。解釈どうこうではなくこの「楽器」が可能とした表現に、同曲の新しい側面を見た思いである。ローカルオケ、とくにポーランドのオケばかりがやっていて、ソリストもローカル、ルビンシュタインでさえ指がもつれるのも平気で録音した、そういうところの物足りなさを補うものがある。反面お国演奏、とくにルビンシュタインのような鬼気せまる舞曲の迫力はここにはない。アムランの醒めた表現が、悪い録音の中に鎮座している。録音がもっとよければ、客席のブラボーの理由がわかるだろうが、どうしてまあバランスが悪い、とにかく今まであった同曲のどの録音とも違う独特の深みある演奏なので、無価値とは言わない。リバイバルにはうってつけだ。

プロコフィエフ:古典交響曲(交響曲第1番)

○マルケヴィッチ指揮フィルハーモニア管弦楽団(HECTOR:CD-R/COLUMBIA)1952/9

全く危なげないこの曲の演奏というのは古い時期においては珍しかったもので、ここまで安心して聴いていられるのはマルケの厳しい統制に腕こきの録音オケという組み合わせならではだろう(バンスタならこうはいかない)。えんえんと後打ちのリズムとか旋律を乱す装飾音符とかトリッキーなアンサンブルとか、機械的な書法を機械的にならずに前進的に巧緻に仕上げている。三楽章最後のそっと置くようなニュアンス表現など素晴らしい。フィナーレ前が退屈な曲とは言わせない面白さ。モノラルなのは惜しいが、さすがはマルケ、ロシアングルーヴ炸裂。○。

ルーセル:バレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」組曲

○クリュイタンス指揮ORTF(SMC)1959/5/9モスクワ・CD

ソ連でクリュイタンスがこの演目をこのオケで。信じがたい面白い取り合わせだが、録音は悪い。茫洋として篭っている。クリュイタンスらしい要領良さが曲も後半になって活きてきて、リズミカルで、クリュイタンスのルーセルというものをもっと聴いてみたい気にさせる。ソ連録音の緊張感は感じ取れないが、珍しい録音としてマニアなら聴いてもいいだろう。

オネゲル:コンチェルティーノ

○ベラール(P)ツィピーヌ指揮ORTF(fr:cd-r/columbia)1957/2/14

まるでプーランクかフランセ風に軽く始まるが最後は構築的にシニカルな楽想で終わる小品。聴かせやすい、そしておそらく弾きやすい曲なのでもっと演目にあがってもよかろう。演奏の始まりは落ち着いたもので、やや気を削がれるが一旦そのテンポに慣れると小気味よく聞き流せる。○。
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