ヴォーン・ウィリアムズ:グリーンスリーヴス幻想曲

○ストコフスキ指揮NYP(columbia/sony)CD

手堅い。あえてモノラルで聴く意味は余り無いし、ソリストにも特筆すべきところは無い。僅かなポルタメントにSP時代のNYP弦楽の演奏スタイルが覗える。そんなところか。6番とのカップリング。
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ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番(1944-47)

○ストコフスキ指揮NYP(CALA/columbia/sony)1949/2/21初録音・CD

とてもわかりやすい。ささくれだった曲を、叙情的な旋律と扇情的な律動を強調することにより、またこの強力なオケの、とくに弦楽の力感溢れるアンサンブルによって他の曲同様の感興を与えることに成功している。4楽章だけはさすがに叙情的というのは無理があるが、感情に訴えかける暗い幻想を提示して秀逸だ。分かりやすさを求めるがゆえいじっているような箇所も見受けられるが、ストコフスキー特有の拡散的でだらしない響きとかそういったものは微塵もなく、楽団の求心力の強さがストコの芸風を補い、多少バラけつつも佳演に仕上げているようにかんじた。グリーンスリーブス幻想曲とのカップリングでSP初出。

シュタルケル死去

この人は伝説的なチェリストのイメージがあって、コダーイと強く結びついたイメージがあって、私の守備範囲からは外れていたのだが、このニュースの写真で背景に写り込んでいるのがこれも今や亡きロストロ先生であり、ロストロ先生が生ける伝説であったことを思うと、時代は確実に移り変わっている。

http://indianapublicmedia.org/news/world-renowned-cellist-janos-starker-dies-88-48050/

グラズノフ:5つのノヴェレッテ

○サンクトペテルブルク四重奏団(delos)CD

ここまでやり切ったノヴェレッテも無いだろう。強いて言えば余りに壮大激烈にやっているがゆえ別の曲に聞こえてしまうのが難点か。サンクトペテルブルクの弦楽の伝統的なフレージング、ヴィヴラートのかけ方、レガート気味にともするとスピッカートもベタ弾きしかねない、そういうところがもはや当然の前提として敢えてそのスタイルから外れ、抽象度を増しているところもあると思う。各曲の最後のダイナミックな収め方は民族音楽を通して保守的な弦楽四重奏曲という形式を壊すようなグラズノフのまだ意気軒昂としたところをよく押さえて出色だ。○。

ボロディン:弦楽四重奏曲第2番

○リムスキー・コルサコフ四重奏団(ARS)CD

一楽章はこんなものかなという無難さ(けして激烈上手くはない)があったが二楽章は素晴らしかった。ジャズでも使われる魅力的なワルツ主題の表現が夢見心地、サンクトペテルブルグの弦楽の伝統を感じさせる細かいヴィブラートが耳を打つ。ちょっと硬い音ではあるが録音が余りよくないせいもあろう。三楽章もその流れで美しいが無難といえば無難。四楽章はそのまま盛り上がる。○。

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番

○リムスキー・コルサコフ四重奏団(ARS)CD

さらさら流れるような演奏で引っ掛かりは少ないが、内声部がよく聴こえる。この団体の中低弦の充実ぶりが伺え、グラズノフの書法の緻密さをじっくり味わえる。旋律主体の伸び縮みする演奏とは違う「アンサンブルの面白さ」が楽しめる演奏として特筆すべきだろう。2楽章のワルツなんかはグラズノフ四重奏団と同じような舞曲っぷりが何とも言えない香気を放ち、部分部分では特筆すべき解釈はある。終楽章はやや落ち着いているし恣意的過ぎる部分もあるものの、無難である。三楽章は余り印象に残らない。翻って長大な一楽章はとにかく速い。技術的に高いわけではないが技術的にバランスのとれた四人によって編み出された佳演と言えるだろう。ショスタコーヴィチ四重奏団よりもスタンダードと言っていいかも。

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番

◎サンクトペテルブルク四重奏団(delos)CD

ここまで解釈を尽くした演奏もあるまい。一楽章はいくらなんでもやり過ぎの感が否めないが三楽章はここまでやらなければ伝わらないのだ、という真理を聞かせてくれる。ファーストだけが異常に雄弁で音はやや硬くけして無茶苦茶上手い団体ではないのだが、これは交響曲として書かれたものであると喝破したかのような、まるで往年の巨匠系指揮者のやっていたようにダイナミック、細かく大きな起伏の付けられた表現をしている。偶数楽章はもっと直線的演奏の方が合っているかもしれない、異論があってもいいが、スタイルを固持し一貫している。もう一つ文句をつけるならワルツ主題がワルツになっていない、でもこれは抽象音楽の表現としては正しい。とにかく同曲の録音史上最もやり過ぎた演奏であり、やり込んだ演奏であり、これ以上曲を理解した演奏もなかろう。◎。

シベリウス:交響曲第4番

○ビーチャム指揮BBC交響楽団(somm)1951/10/4live・CD

最初ロンドン・フィルと間違えてて、やけにキレがよく引き締まってるな、とか、いやに分厚くて充実した響きがするじゃないか、いやうまい、と感嘆してたらBBCだった。短い音符のアクセントを強くつけ水際立った表現はシベリウスののっぺりしがちな弦楽合奏を引き締めて、最初別の曲かと思うくらいリズミカルでのりにのっている。だが、、、曲のせいか、、、飽きてくる。単調というか。。ビーチャムのもたらす緊張感は並ならぬものがあるが、シベリウスの精妙さを味わうには、、、録音が悪過ぎる!板起こしのノイズまみれ、これは非正規版並だ。マルにはしておくが、薦めない。

グラズノフ:弦楽四重奏曲第5番~Ⅱ.

○グラズノフ四重奏団(MUStrust)1930年代?・SP

速い。かつこの演奏精度は素晴らしい。テンポが前のめりだがそれがグラズノフの畳み掛けるような書法とピタリとあっていて正統な演奏であると感じさせる。ワルツ主題はそれにも増して速くびっくりするが、音の切り方、アーティキュレーションの付け方が巧緻でなかなかに聴かせる。ワルツ主題が優雅に展開する場面で初めてオールドスタイルの甘い音が耳を安らがせる。ここは理想的な歌い方だった。ショスタコーヴィチ四重奏団も歌いまくるがそれとは違う、優雅で西欧的な洗練すら感じさせる。その後テンポが激しくコントラストを付けて変わり、慌ただしくもあるが、冒頭主題が戻るとかなり落ち着く。その後はうまくまとめている。これほど達者で洗練された団体だとはあのボロディン2番からは想像できなかった。○。新グラズノフ四重奏団とは違う団体です。

グラズノフ:5つのノヴェレッテ~Ⅰ.スペイン風

○グラズノフ四重奏団(MUStrust)1930年代?・SP

どこがスペイン風なんじゃと百年以上にわたって言われてきたであろう曲だが、低弦のピチカートにのせてリズミカルな旋律を奏でればなんとなくスペイン風、でいいのだ。グラズノフはそんなノリで中世風とか色々おかしな題名を付けている。これはグラズノフの室内楽でも著名な組曲の一曲目で、若書きということを置いておけば至極凡庸な民族音楽である。伝説的なグラズノフ四重奏団の私のSPはロシアで輸出用に作られたもののようでレーベル名も不確かだ。回転数がやや遅めに設定されているようで、78だと非常に速くびっくりしてしまう。だがそこを考慮しても勢いがあることには変わりはない。オールドスタイルの奏法は目立たず、それより精度と覇気、この2点に目を見張る。現代でも通用するだろう。短いのに聴き応えがあった。録音も良い。○。

シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番


○ギンペル(Vn)ローター指揮ベルリン放送交響楽団(audite)1950s・CD

放送録音。ソリストの音がオケに埋没して聴こえないなど状態の悪さには閉口するが、作曲家と同時代ないし近い時代に活躍した著名ヴァイオリニストとしてはシェリングくらいしかこの曲をやっていないので、同じ「お国演奏家」としてもギンペルの演奏が残っているのは貴重である。シェリングの線の細い音で継ぎはぎ的につむがれる精緻な音楽とは遠くかけ離れ、細かい所は省略してでも音楽の連続した流れをひたすら保つ怒涛の演奏スタイルはウィルコミルスカのほうに近いかもしれない(技術的には劣るだろう)。特徴的なのは音をなかなか切らず息の長い旋律、ひいては違う旋律へ移るときでさえ休符で途切れさせることなく音楽をずーっと連続して聴かせていくスタイルで、その中で表現される起伏、ニュアンス表現はなかなかのもの。但し音色や厚みに幅が無く飽きてくるところも否めない。オケが乾燥している(ないし復刻が乾燥している)のも民族的情熱を煽る曲を冷ましてしまう要素である。総じて何度も聴く音源ではないが、同曲の演奏スタイルとしては独特の部分もありシマノフスキに興味があるなら聴いておいて損は無い。シェリングよりは好きだった。

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

○ギンペル(Vn)アイシュヴァルト指揮シュツットガルト・プロ・ムジカ管弦楽団(HECTOR:CD-R他)1950s

確かにギラギラした演奏をするヴァイオリニストだ。デリカシーの欠片も無い前半部においては、バックオケのアンサンブル能力と表現力の豊かさに感心しつつ、ソリストはただバリ弾きしているだけ、のような印象を持つ。音色はこのようなロマン派音楽に向く赤黒い色で決して悪くは無いのだが。後半部になると一転してソリストにもニュアンス表現の豊かさが感じられるようになる。しかし技術的にダメダメ。前半部でもちょっといじってる個所が聞こえたが、後半部では装飾音をごまかしたり音程を取り損ねたりライヴ演奏のような粗暴さが気になる。とはいえまあ、この曲はでろでろやりすぎると聴いていられない甘ったるい匂いをはっするので、一面即物的なこのソリストのやり方はあっている。バックオケが構造をよく理解してアンサンブルしているのもよい。そんなところか。録音は悪い。板起こし。

マキューアン:弦楽四重奏曲第2番

○チリンギリアン四重奏団(chandos)CD

伝統的な四楽章制の国民楽派弦楽四重奏曲で、中欧志向の強い作品だが、既に自然な旋律美と独特の調性変化が表れており、マキューアンを代表すると言っていい佳作になっている。緩徐楽章のワルツ主題の美しさはウィーン的で筆舌に尽くし難い。響きが浅く中欧ふうと言うには躊躇もある楽章だが、続くスケルツォ楽章からフィナーレの律動は重い響きに支えられ充実している。もっともこの後半楽章の雰囲気が同じような感じであるためにやや飽きもする。チリンギリアンは上手いが、もう少し艶のある表現が欲しかった。○。

マキューアン:弦楽四重奏曲第8番

○チリンギリアン四重奏団(chandos)CD

ドビュッシー色の非常に強い和声感覚で仕上げられているがよりどぎつく力強い音楽になっている。わずか10分余りの三楽章制であるからあっさり聴けるし、この作曲家特有の旋律の美しさは響きのフランス的透明感をもってとてもいい。毒も灰汁も無いが毒や灰汁のある作曲家に匹敵する個性も発揮されており、それが演奏困難さを産んでチリンギリアンくらいしか録音しないことにつながっていようが、これはいい演奏であり、とくに他に必要性は感じない。

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」~ロシアの踊り、御者の踊り

○ドワイヤン(P)ガストン・プーレ指揮パリ・プーレ管弦楽団(decca)SP

色彩的で派手な演奏だが昔風のてんめんとした、少しルーズな感すらする部分もあるのが父プーレらしい。ロシアの踊りはリズミカルでスピードもあり聴き応えがあるが、ブツ切れで終わる御者の踊りはテンポが落ち着き過ぎていて歯がゆい。短いのでこんなところか。ドワイヤンがソリストを演じているのが意外なところ。

コリン・デイヴィス死去

知らなかった。全然目立って報道されなかった。14日のことだそうです。。

BBC News - Conductor Sir Colin Davis dies http://bbc.in/XLBWmA

ブルックナー:交響曲第9番

○C.アドラー指揮VSO(CRV:CD-R/SPA)LP

かなりロマンティックなブルックナーだがVSOの個性とアドラーの少しアメリカナイズされたような明るい色調が独特の聴き心地だ。演奏精度的には問題ない。マーラーを思わせる一楽章、かなり達者な二楽章、ダイナミックな三楽章。二楽章の厳しい調子はなかなかかっこいい。三楽章は妙に高くうわずった音で浅く始まるが、これは録音の特徴なのだろう。楽器毎の音量バランスがおかしくて別の曲のように聴こえる。卑近な派手さ、といったらいいだろうか、耳の近くでかわるがわる弾き吹きされるような感じだ。全般テンポは鷹揚としているが緊張感があり、アメリカにおけるブルックナーの権威でもあったアドラーの真骨頂であろう、師匠マーラーの曲をやるよりうまいかもしれない。○。

エルガー:弦楽四重奏曲(短縮版)

○ロンドン四重奏団(M&A他)1921・CD

同曲はサモンズらが初演しているがこの時期には既にロンドン四重奏団を抜けている。演奏はしかし達者なもので大正時代とは思えない覇気と精度を併せ持ったわりと現代的な演奏。発音はオールドスタイルで甘いがリズムはきっちりしている。三楽章すべてからの抜粋でほぼ全曲を聴いたような気になるからこれでもよい。曲はエルガー風の旋律美が中欧ロマン派の重厚さに載って、そのてのものが好きならおすすめできる。○。

マキューアン:弦楽四重奏曲第15番「小四重奏曲~スコットランドのムードで」

◎チリンギリアン四重奏団(chandos)CD

快活で軽い出だしから掴まれる。突如転調して晦渋になったとしても長続きしない。透明感のある民謡音楽がRVWらの前期を思わせる聴き易さと、そこに僅かにプラスされる個性的な「前衛性」のミックスでマキューアンの到達した領域を垣間見させる。特筆すべきは3楽章で、こりゃ奇妙だ。冒頭、平易な民謡調で通している楽曲では異質の、これも民謡から来ているのだろうが、奇怪な装飾音型にリズム、響きには瞠目。この律動は新鮮で魅力的でもある。再現されるさいには待ってましたと思ってしまうほど。適度にモダンでもあり恥ずかしい旋律も素晴らしく、これはイギリス民謡室内楽としては名曲である。小規模だがそれなりのボリュームはあり、書法はヴァイオリン偏重で複雑ではないが上記のとおり聴いていて面白い部分が多く、しっかりした3楽章制が生きている。演奏はこれ以外ないほど素晴らしいし、実際これ以外録音されていない。◎。

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第2番

○タネーエフ四重奏団(melodiya)CD

言われるほど暗く晦渋ではなく、前半楽章はプロコの2番のようだし三楽章で突然いつものショスタコ節でシニカルな舞曲、四楽章もいつものショスタコの簡素な書法で暗さもあるが、重厚なハーモニーによる進行にはどこか親しみやすさのある聴きやすいものを感じる。全般聴きやすいから先入観無しに聴いて欲しい。一楽章なんて民謡旋律が溌剌と透明感を持って演奏されるさま、ほんとプロコだ(もっと簡潔だが)。単純さを力と勢いで何とかするという意味ではタネーエフ四重奏団の民族的な野蛮さが役に立っているが、僅かにアバウトさも感じる。
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