フォーレ:劇音楽「ペレアスとメリザンド」~シシリエンヌ

○デュフォー指揮シカゴ交響楽団(RCA)1945/12/12・SP

ワルツのテンポも心地よい颯爽とした演奏ぶりでカップリングのストラヴィンスキーとはえらい違いである。スピード感がありオケものっているが絞める所はしっかり締めて、終演もきっちり切る。そこがかっこいい。○。
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ストラヴィンスキー:花火

デュフォー指揮シカゴ交響楽団(RCA)1945/12/12・SP

ワグナーみたいな演奏で、変な威厳がある。堅いのだ。その堅さゆえペットなどミスが目立ち現代のスタジオ録音ではありえないような精度(これはシカゴのオーケストラホールでのセッション録音だそうだが)。かっちりしているぶんオケがヘタクソに聴こえるのは痛い。デュフォーはSP末期にはたくさん録音を遺しているが中古市場に余りまくっている、つまりはそういう指揮者なのだろう・・・ネットで聴ける。無印。さっそうとしたシシリエンヌとのカップリング。

ヴォーン・ウィリアムズ:ノーフォーク狂詩曲第2番

○ヒコックス指揮LSO(chandos)CD

1番に比べると映画音楽的な世俗性、単純さの目立つ民謡メドレーで、チェロソロより始まる最初こそ1番に似るが、それ以後は旋律中心の、やや古風な国民楽派ふうでもあり、部分的には後期RVWぽい野蛮さもあり、最後は冒頭主題に回帰するが、まるでディーリアスのような調子の音楽で、少し飽きる。ヒコックスはまあまあか。○。

ヴォーン・ウィリアムズ:ノーフォーク狂詩曲第1番

○ヒコックス指揮LSO(chandos)CD

重厚な響きと荘重な音使いで世俗性を帯びた民謡編曲をうまくクラシカルな音楽語法に寄せて表現している。上品でかつ壮麗だ。ソロから合奏へのもっていき方がいつもながら自然で、そら聴けここで聴け、という押し付けがましさがない。RVWの曲にはしばしばそういう押し付けがましさがあるので、こういう注意深さは重要。おおむね二部分に別れる民謡編曲ではあるがその間の繋がりも自然だ。○。

ヴォーン・ウィリアムズ:ランニング・セット

○ヒコックス指揮LSO(chandos)CD

騒々しく楽天的なショートピースでオケの派手派手しい響きにやや疲れをきたすも演奏としてはしっかりしている。4番交響曲の頃に書かれているがあの晦渋な世界とは無縁の音楽である。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第3番「田園交響曲」

○エヴァンス(SP)ヒコックス指揮LSO(chandos)CD

同曲にしてはシンフォニックでダイナミックな演奏。全体の調和のとれた拡がりある響きで、2楽章のトランペットソロもトランペットだけが突出するのではなく、バックの響きの中にうまくおさまる形で他演と一線を画した表現となっている。ジャケット絵が歩兵の影であるのは象徴的で、RVWがこの静謐な作品を作るきっかけとなったのが第一次大戦従軍中見た田園風景だった、ということでただ静かなだけではなく、想いの起伏をちゃんと盛り込んだところがヒコックスの見識だろう。調和のとれた響きという点では終楽章の無歌詞歌唱とオケの取り合わせにも言えるところだが、少々幻想味が薄く、リアルな音になってしまっているのは録音の良さのせいもあるのか。オケは精緻で隙が無い。この盤は現役盤がヒコックスのRVW交響曲では唯一sacdしかなく、しかもsacd再生が可能な機種でないと聴けないという問題がある。海外ではCD売りもまだしているようである。圧縮音源配信はされていない。naxosオンラインでは聴ける模様。○。

ヴォーン・ウィリアムズ:弦楽とピアノとハーモニカのためのロマンス

○ラリー・アドラー(hrm)サージェント指揮管弦楽団他(columbia)1952?・SP

依属者による演奏だが、これはEMIで繰り返しCD復刻されているLP音源(RCA)と同じものと思われる。時期的に微妙だがLP盤をSPに焼き直して出したものではないかという説がある。昔のRVWのディスコグラフィーには別録音として記載されているが、音質差はあるものの表現はほぼ同じで、やや感情的にも聴こえるが焼くときのブレにすぎないだろう。サージェントのディスコグラフィーでは同曲は一回しか録音されていないことになっている。この曲の要は弦楽合奏の織りなす暗くも美しい風景にまるでハープか電子楽器のようなピアノがとつとつと異界的な打音を響かせ、その上にソロハーモニカが民謡ふうメロディを連綿と歌い続けるという、総合的な響きの面白さにある。アドラーはやや世俗性が強く表現も少し戸惑い混じりの堅さがある。サージェントはさすがそつない。ピアノが聞こえづらいのが残念だ。アドラーの盤を前に取り上げた時にはまだまだアドラーは現役であった。もう没後12年にもなる。音盤は時の流れとは無関係に、いつまでも時代の空気を伝え続ける。

バックス:オーボエと弦楽のための五重奏曲

○L.グーセンス(ob)インターナショナル四重奏団(NGS/oboe classics)CD

グーセンスの依属作品でオーボエ協奏曲的な側面が強い。冒頭のオーボエソロのオリエンタリズムにはびっくりするがその後フランスっぽい雰囲気も併せ持つ民謡風メロディの親しみやすさとディーリアスを思わせる妖しげなハーモニー進行にはイギリスの近代音楽特有のものが現れていて面白く聴ける。RVWなどに比べて複雑なバックスなりの書法の新鮮味があり、弦楽の扱いが若干下支えのハーモニーに徹するような部分も多く見られるものの、アンサンブルとしての面白さは諸所にある。グーセンスは軽やかに上手い。ラヴェルの録音でも知られるインターナショナル弦楽四重奏団もそつなくこなしている。NGSのSP録音でも優秀な演奏記録だろう。○。

ヴォーン・ウィリアムズ:南極交響曲(交響曲第7番)

○ホーヘンフェルド(sp)スラットキン指揮フィルハーモニア管弦楽団&女声合唱団(RCA)CD

ヴォーン・ウィリアムズ晩年の傑作で、前期交響曲同様、表題交響曲として書かれている。映画「南極のスコット」の音楽からかなりの部分を使って再構成したものでウィンドマシーンなど相変わらず直接的な描写表現が目立つが、立体的な音響表現は比類なく、ブラスからパーカスから木管から、ヴォーン・ウィリアムズなりの最高の技術と個性が注ぎ込まれている。そこにはかつての盟友ホルストの影も見られ、綺羅びやかで美しくも深く異界の轟きを伝えている。最盛期のジョン・ウィリアムズがかなりこの特有の響きに影響されているのもわかる。スラットキンはさらにこの音楽を純音楽として捉えようとし、前進的で求心力の高い表現をとっている。聴きやすく、言ってみれば少し昔のバルビローリ頃の演奏に似ている。反面神秘性は少し落ちるかもしれないが、優秀録音ゆえ聴取環境で変わるだろう。佳演。

ミヨー:ルネ王の暖炉組曲

○デニス・ブレイン管楽五重奏団(bbc)1955/6/22・CD

モノラルで録音も良くない。デニス・ブレインの名もこのホルンのほとんど目立たない木管中心の曲にあっては意味がない。中庸で地味だ。フランス南部的な牧歌的な雰囲気もあまり醸されていない。うーん。

ラヴェル:ダフニスとクロエ第二組曲

○クーセヴィツキー指揮NYP(whra)1942/2/22live・CD

無茶苦茶な録音の悪さはともかく、この揺れに揺れ伸び縮みに伸び縮みしダイナミクスも極端に付けまくりのロマン派的ラヴェルは一聴の価値はあるかもしれない。ロシア的ラヴェル。しかしニューヨーク・フィルのソリスト陣が凄く、無言劇でのフルートソロの音色、無茶苦茶ソリスティックな変化を付けた表現は出色。独特のラヴェルであり、交流あったラヴェル自身も苦笑したであろうクーセヴィッキー節を堪能しましょう。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第4番

○A.デイヴィス指揮BBC交響楽団(warner他)CD

緩急の付いたダイナミックな演奏。オケが程々に派手なのでブラスや高弦の激しい表現に耳が行くが、前半楽章はとくに弱音部の美しさ、晦渋で密やかなフレーズの悲壮感、そのあたりが聴きもの。テンポはやや整えたようなものだが叙情的な雰囲気には他にはない情感がある。3楽章からは縦を厳しく律した構造的に見通しのいい演奏ぶりが耳につく。細部まで疎かにしない配慮はテンポの停滞を招き曲の前進力を損なう危険性もあるが、リズム感の良さがそこを救っている。ブラスにはややキレが足りないところもあるがそのぶん開放的な迫力は出ている。4楽章はもっとはじけて邪悪な明るさを出し、それまでの楽章との変化を明確にしたほうがいい気もするがスタンダードな表現ではある。弱音部へのこだわりは感じる。だがオケの技巧的な弱さがやや感じられるところもある。総じてまあまあ。

ヴォーン・ウィリアムズ:6つの合唱曲~戦時に歌う歌

○ヒコックス指揮LSO、合唱団(chandos)初録音・CD

シェリーの詩に基づき第二次世界大戦初期の頃に書かれたもの。手慣れた手腕の発揮された輝かしい合唱曲だが個性や新味は薄く、RVW自身の初期の曲に近い雰囲気がある。内容的に現代からは何とも言い難いものがあり、ヴォーン・ウィリアムズが戦争に対峙したときに、従軍経験や同志の悲劇をへて一筋縄ではいかない思いがあったろうに、何故か単純な音楽で表現する方向を選んでいる、その一つのあらわれのように思える。悲劇から歓喜へというようなベートーヴェン的な構成に何か納得いかないものを感じるが、最後二曲は美しい。ヒコックスの演奏は迫力がある。

ヴォーン・ウィリアムズ:ミサ曲ト短調

○ヒコックス指揮ヒコックス合唱団(chandos)CD

4番交響曲の後にこれとは何という組み合わせ。20年代初期の牧歌的なRVWが全面に出た混声合唱曲で、冒頭キリエの旋律の重なりなど弦楽合奏に置き換えたらそのまんま田園交響曲である。ヒコックスは合唱指揮に定評があるがこの曲にも色々表現方法があるんだなあと思った。旋法的な教会音楽の印象をあたえる静謐で調和を重視したもの、合唱と言うより器楽曲的な情緒的起伏を強調して旋律音楽の面白みを与えるもの、しかしやはり前者が正統だし(後者のスタイルは古い録音にきかれる)ヒコックスもまた前者に近い。バッハに倣ったような曲ではない、そういう意味での古風さは無い曲であり、非常に親しみやすいので、ラテン語に拒否感を感じる人でなければぜひ。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第4番

◎ヒコックス指揮LSO(chandos)CD

これは勢いがあっていい。その勢いが昔の演奏みたいに押せ押せで縦よりも横みたいなものにはならず、しっかり構造を引き締めたうえでオケの力量を最大限に引き出しつつ、一歩踏み出した派手な響きを伴い耳を惹く。整いすぎた演奏でもないのである。むしろヒコックスのこの選集の中では異質のライヴ感がある。ブラスやパーカスが活躍するRVW初の純交響曲ということでRVWの中でも異質(部分的には完成期後の作品にあらわれる表現だし6番は特に近い位置にはあるが求心力と娯楽性ではこちらに軍配があがる)の曲、それをヒコックスはきちんと理解して表現を変えている。最初から最後まで見事に楽しめる演奏。戦争と絡めての情緒的な部分を重視する向きには晦渋さがなく食い足りないかもしれないが、RVWにこういう曲が書けたという点をわからしめるにはいい。入門編としては最適だろう。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番

○ヒコックス指揮LSO(chandos)CD

ヒコックスのヴォーン・ウィリアムズはsacd化されているものが多く、田園交響曲に至っては現役盤がsacdしかなくmp3配信もしていないという状態である。裏返せば最新録音を最新設備で細部まで明瞭に聴け!という製作側の心意気が伝わってくるのかどうか知らないが、実際これは最新録音でふだん聴こえない細部まで聴こえるので、演奏的には上手でまっとうだがそれ以上の特徴を指摘し辛い、いやヴォーン・ウィリアムズの交響曲は演奏比較が難しい、差が出づらいものなので、ようは6番をちゃんと聴ける録音なのでそのように楽しみましょうということ。ブラスとパーカスを全面に打ち出したヴォーン・ウィリアムズにしては珍しい曲であり、ブラスとパーカスの使い方がそんなに上手くない作曲家だがここではカッコよく聴こえてくる、それをロンドン響セクションがケレン味無くしっかりハッキリやっているのが清々しい。高弦も酷使されながら不安なくやり切っている。低弦はいつもながらご苦労様。○。

ヴォーン・ウィリアムズ:富める人とラザロの五つの異版

○スラットキン指揮フィルハーモニア管弦楽団(RCA)CD

滞りなくハッキリとした調子で、スラットキンの円熟した指揮が音楽に生命力を与えている。一昔前の弦楽合奏曲の演奏のようなまさにオケアンサンブルであるという聴きやすさがあるし、フィルハーモニア管ならではの技術力の高さがスラットキンの職人性とあいまって、熱い思いすら感じさせるものに昇華されている。セントルイス時代のスラットキンと似て非なるものがあるが、けして不連続ではない。しっとりとした演奏ではないが、ひたすら祈るような旋律に彩られた輝かしい曲の魅力を引き出している。晩年のヴォーン・ウィリアムズはこの曲を偏愛したというが、色々新しいことをやろうとしても、結局こういう憂愁溢れる民謡音楽が好きだったんだなあ、と聴いていたらスピーディーに終わり次のトラックの南極交響曲が始まった。さすがに気分台無し。でも、ある種の透明感は指揮者オケ共に持ち味であり、そこは繋がっていた。蛇足。○。

ヴォーン・ウィリアムズ(編):クイック・マーチ~海の歌

○スラットキン指揮フィルハーモニア管弦楽団(RCA)CD

派手な行進曲でスラットキンらしいあっけらかんとした、かつ力強い演奏となっている。三分余りの小品。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第8番

○エルダー指揮ハレ管弦楽団(ho)2012/2/3・CD

繊細な音表現が印象的なエルダーの、素晴らしい記録。ヴォーン・ウィリアムズがこの時期にマニアックにやっていたことをちゃんと音にして聴かせ、他の演奏ではおよそ聴こえない内声の面白みを引き出し、若干整えた感が気になる所はあるが、特有の立体感をものにしている。ほんとに素晴らしいのは一楽章の柔らかく優しく繊細なやり取りだが、ブラスの弱いオケをしてちゃんと聴かせた二楽章もいい。○。

ディーリアス:小管弦楽のための二つの小品

○エルダー指揮ハレ合唱団(ho)2005/11/3・CD

エルダーはディーリアス向き!厚い和音を適切にひびかせその移ろいを適切に聴かせる。繊細な音線を密やかに絡ませ、ハレ管の好演もあってこれはじつに心に染みる演奏。二つの小品といっても一曲目が春初めてのかっこうを聞きながら、二曲目が川の上の夏の夜というそれぞれ独立して演奏されるしっかりした演目で、前者はかっこうの直接的描写にあざとさがありながらもディーリアスらしい濃厚なロマンチシズムを漂わせた、印象派とはまた違った明るい雰囲気音楽、後者は木管ソロと弦ソロの線的な絡みでほとんどが構成されるという、少ない楽器が室内楽的に絡んで進む曲だからこそ、特殊な響きの目立つ、ディーリアスとしてはかなり前衛的な難曲。新ウィーン楽派の活躍した時代の曲というところまで思いはせる。エルダーの軟らかい音でいながら速めのさっさとしたテンポも曲をだれさせないでいいが、これはやはりハレ管が天晴。○。
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