ブロッホ:ピアノ五重奏曲

○カゼッラ(P)プロ・アルテ四重奏団(fono teca/HMV)1933/2/8・CD

野蛮主義的な曲に対してややピアノが負け気味にも感じたが録音のせいか。ユニゾンで迫る弦に対しては負け気味にもなるだろう。フランス風の味付けがわずかに洒落気をもたらす。二楽章はユダヤ調が全面に出て土臭さがあるが、楽団の洗練に救われている。それにしても弦のユニゾンが多い。アレグロ・エネルジーコの三楽章は再び激しい音の応酬。カゼッラが不可思議な響きを加える。不可思議なのは緩徐部の妖しいやりとりでユダヤ的だ。ピアノはそれほど浮き立ってこないが弦が盛り上げる。法悦的なフレーズが頂点を形作ると若干メシアン的な趣のある静寂が支配する。
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ロイ・ハリス:ピアノ三重奏曲

○カゼッラ(P)ポルトロニエリ(Vn)ボヌッチ(Vc)(fono teca/columbia)1934/10/13、16・CD

奇妙な現代性を発揮した曲で、鋭く表現すれば曲の本質が見えてくるだろうが、ここでは時折あらわれる叙情性に引きずられ、他は晦渋に感じられてしょうがない。中間楽章は少しショスタコ風だ。カゼッラのピアノはタッチがはっきりしていて曖昧さがない。弦二本が厚く生温かい音を重ねている。ハリスの書法は脈絡がないというか、新古典になってみたり無理な転調を挟んでみたり色々仕掛けていて、楽団としてはそれをよく理解して演奏している。それにしても、最後までカタルシスのない曲だ。

ヴォーン・ウィリアムズ:田園交響曲(交響曲第3番)

○ヴァレント(sp)オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団(ETERNITIES:CD-R/youtube)1972/10/12live

シベリウスを得意としたオーマンディがシベリウスの使徒とも言えるRVWの、奥座敷のような田園交響曲をどうさばくのか、非常に興味を惹かれたが、録音のせいもあって色彩がビビッド過ぎて、あけっぴろげな表現が陳列されていて、何とも言えない違和感はあった。二楽章のラッパはほんとに何とかしてほしい。あんなに表に出て堂々と吠えるシーンじゃないのだ。ただ、四楽章は何故か良くて、ソプラノも強くなり過ぎず、微かに遠く響き、弦楽合奏がとくによく、重なり合う響きの深さは特筆できる。全般にさっさと進む傾向があるが、ここでは割りと揺れている。分離がハッキリして構造の見えやすい録音なので曲理解を深めるにもいい盤だなとも思った。この曲だけを録音した例を私は知らないし、オーマンディが振ったRVWのシンフォニーはこれしか知らないし、指揮者にも何か理由があってこれを取り上げたのだと思うが、他の既出盤とは違った肌触りは楽しめると思う。

バルトーク:管弦楽のための協奏曲

○ガルデッリ指揮ハンガリー国立管弦楽団(eternities:CD-R)1988/5/20live

これがまたまっとうな演奏で、オケは透明感を保ったまま高い精度で、かつライブらしい気概のようなものを感じさせる。ガルデッリらしいかといえばよくわからないがアンサンブルを鍛えるのに十分な腕、それに明るく色彩的な処理に長けているのは確かだ。やや最後が弾けない感がするのは録音の限界かもしれない。粘らないのがガルデッリだ。○。

コダーイ:ハーリ・ヤーノシュ組曲

○ガルデッリ指揮ハンガリー国立管弦楽団(eternities:CD-R)1988/5/20live

三曲目、ツィンバロンさえ入らなければレスピーギになるところだった。色彩的で開放的、一曲目などつまらない曲ではつまらないのだが、有名な音楽時計は良く出来ているし、ややだらしなさもなくもないがオケの覇気で面白く聞かせる四曲目など場面場面が想像できて楽しい。バルトーク的な間奏曲はガルデッリ風味は後退してわりと純音楽的な感がある。終曲は変わって劇的要素が前に出て面白い。ブラスの音が輝かしい。色彩変化も鮮やかで、ガルデッリで聞いて良かったと思う。

ドビュッシー:マンドリン、Bring with Love、ロマンス

○ネジダーノヴァ(sp)ゴロワノフ(p)(aquarius)1941・CD

マンドリンは力強く、ピアノも名技的なところを抑え気味に示し旨い。次の曲は記載名が違うが忘れられた小唄からグリーン。ドビュッシー自作自演よりもねっとりした感がある。マンドリンにもヴァランの古い録音があるがこの録音よりクリアという状態。ロマンスは甘やかな歌だがロマンティックな書法ゆえゴロワノフの夢幻的なタッチが活きてこない感もある。夫婦共演、プライヴェート盤が元になっているという。

ラヴェル:5つのギリシャ民謡~花嫁の歌(花嫁の目覚め),何と楽しい

○ネジダーノヴァ(sp)ゴロワノフ(p)(aquarius)1941・CD

曲が曲だからか颯爽と溌剌としたネジダーノヴァの歌唱は原語によるものであるものの違和感はあまりない。夫婦共演、プライヴェート盤が元になっているという。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第8番

○バルビローリ指揮ハレ管弦楽団(ermitage/aura/bs)1961/4/11ルガーノlive・CD

録音状態は悪くはないが演奏精度はライブなりのもので綻びや下品さが感じられるところもある。主題の無い変奏曲と題された一楽章のヒステリックなまでの盛り上げは聴かせるし、弦楽合奏だけによる三楽章はバルビローリのビニイリサイニイル解釈をよく聞き取ることができる。ボウイング一つから解釈を付けたというこの指揮者の特徴だ。音の切り方とポルタメントの細かな付け方だけとってみても独特。シベリウス的な細かい松葉がひとつひとつの音に付けられているがテンポが速いのでしつこくならない。四楽章はしっかりした足取りで、ややきつめの表現ではあるが祝祭的雰囲気を盛り立てている。有名録音だが最近協会盤が出た。ナレーション入りだそう。

ホルスト:組曲「惑星」

○スヴェトラーノフ指揮スウェーデン放送交響楽団他(weitblick)1994/9/3live・CD

基本的な解釈はスタジオ盤と同じ。おっそいなあ、という楽章は遅いし、繊細すぎやしないか、という楽章は繊細の極み。だがスタジオ盤よりも緊張感があり、1楽章など重量感が迫力に昇華され、重すぎることはなく重戦車のような響きを堪能させる。リアルなロマンチシズムと細部まで透明感ある繊細な響きという点では終楽章。旋律にはロマンチシズムを残すが全体の響きはモダンな面をしっかり浮き彫りにしている。ブラスとティンパニの激しい扱いのみが取沙汰される人だがこの高性能なオケでは弦や木管に要求されている細かい動きがきっちり仕上げられているのもいい。なかなかの演奏。但し、ライヴなりの羽目を外したような解釈を期待したら裏切られよう。

ハチャトゥリアン:バレエ音楽「スパルタクス」

○ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(放送)1955/9/24live

この日のプログラムのハイライトだろう、ハチャトゥリアンのわかりやすい世界がガウクにはあっているようだ。速い音楽での畳み掛け方はスヴェトラを彷彿とさせ拍手も飛び出る。抒情的な色もあっていい。○。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番

○オボーリン(P)ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(放送)1955/9/24live

ソリストもそれほどぱっとせず、演奏全体的にぱっとしない。とはいえ演奏レベルが低いと言うわけではなく、特長に乏しいと言ったほうがいいだろう。スピードもそれほど煽られず、熱気も上がらない。

ショスタコーヴィチ:交響曲第9番

○ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(放送)1955/9/24live

なにげなく始まって素っ気ない感もあるが勢いのある楽章では拍手が飛び出すほど力強い疾走を聴かせる。但しやはり雑味が気になる指揮者ではある。

ショスタコーヴィチ:祝典序曲

○ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(放送)1955/9/24live

開放的な指揮で放送響とは思えないバラケ味もかもす演奏だが、勢いはある。しょうじきそれほど旨くは無いがガウク好きなら。

ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲~カデンツァ

○フリエール(P)スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(?)1965/12/29live

フリエールは雄弁だが響きが濁ることがある。この曲の難しいところだろうが余裕綽々で弾いているのに耳障りな響きが混ざる、うーん。

ベートーヴェン:交響曲第1番

○ゴロワノフ指揮モスクワ放送管弦楽団(melodiya他)1948

CD化されていたと思うのだが今検索すると出てこない。動画共有サイトなどで聴くことができる。演奏は後期ベトの様式で大管弦楽を鳴らしまくるもので、楽章間の対比が激しく、速い楽章でのバラケっぷりと激烈さはシェルヘンルガーノを思い浮かべる。静かな楽章が余りぱっとしないが、両端楽章を楽しもう。○。

マーラー:交響曲第9番

○ジュリーニ指揮CSO(DG)1976/4・CD

クレンペラーを思わせる鈍重さ(崩壊含め)がきわだった演奏ではあるが、旋律表現での重厚な盛り上げは聞かせるものがある。一楽章はフィラ管ライブに比べて音が茫洋とし鋭さが感じられず、録音のせいかもしれないがピンとこなかった(おかげで長い長い時間二楽章以降を聞かずにいた)。シカゴ響らしい機能性は二楽章で活かされていたと思う。重い舞曲表現はこの楽章ほんらいの姿だ。三楽章は制御がききすぎて勢いを削いでいる感もあるが、時折聞かれるこの指揮者独特の解釈が明瞭にそれとわかるように示されているのもよい。武骨さがあるジュリーニのマラ9だが四楽章は暖かい。分厚い響きで正しく演奏している。奇矯な解釈はなく、概ね早めのテンポでドラマを綴っている。秀逸な終楽章。
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