デュティユー:交響曲第2番「ル・ドゥーブル」

○ミュンシュ指揮フィラデルフィア管弦楽団(DA:CD-R)1964live?(1962/3)

この曲懐かしいなあ。LPを持っていたがたぶん正規録音のほうだと思う。曲的には決して新しいということもなく、新ウィーン楽派後のコンテンポラリー音楽の典型的な方向の垣間見える作品といったふうで、室内楽的アンサンブルと大規模管弦楽の入れ子構造というのもそれほど目新しいものではない。ひたすらレガートの長い音符が繋ぎつなぎされていく中、沈潜するように心象的で雰囲気音楽的な音響が打楽器主義的な側面も持ちつつ揺らぐ様はそれほど奇矯ではなく、常套的と言ったら語弊があるかもしれないがよくあるパターンというか、このての音楽に抵抗の薄い人であればけっこう聴きやすいと思う。フィナーレはあきらかにメシアン的な音響で気を盛りたてるがジョリヴェというかむしろスクリアビンあたりに遡るような艶めいたかんじもある(そういえばミュンシュはスクリアビンを演奏したことはないのだろうか)。この聴きやすさというか、一種アメリカ音楽的ですらあるわかりやすさは、ミュンシュの整理が行き届いているせいもあるだろうが。アイヴズの静かな無調の管弦楽曲なんて、技巧的整合性はともかく殆ど同じような雰囲気がある(もちろんあちらは具象(既存素材)により抽象を描いており、最初から抽象度の高いこちらの純管弦楽曲とは隔絶しているのだが、聴感的には似ており、チェロやペットソロの使い方など似た感覚がある。)。このようなチェンバロの使い方はソヴィエト現代にありそうだ。ライヴ録音だけあって音響は余りよくはなく、長い音符の揺らめきのうちに不安に満ちた耳を撫でる如くポリリズム的に織り交ざるチェンバロの走句が遠くて余りよく聞き取れなかったりするのだが、そのぶん生々しさがある。終楽章がやや鈍重か。鋭い音響を駆使する人なだけに、厚ぼったく演奏されるとちょっと野暮ったさも感じる。静かな終盤もどことなくアメリカ産交響曲的な和音の感じがして、古っぽく思えるが、好き好きだろう。○。
AUTHOR: サンセバスチャン URL: DATE: 03/20/2007 15:06:58 Unknown
ラムルーとの正規録音を聴いたのは1回だけか、先日裏面のルーセル『組曲』のほうを聴きました。
『メタボール』も聴かせます。換骨奪胎の巧妙さゆえのことかもしれませんが、初演、あるいは献呈されている作品ゆえ作曲者も織り込み済みかも。
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