レスピーギ:ローマの松

○シュヒター指揮NHK交響楽団(king,NHK)1959/11/8放送・CD

完璧主義者として知られたシュヒターの記録である。私は「日本だから」というようなレッテルをプラスにせよマイナスにせよ貼りつけて評価するのがキライで、これはシュヒターの松であること、たまたま日本の楽団であること、という前提で聴くわけだが、なかなかによく鍛え上げられた演奏、という印象に尽きる。シュヒターの燻し銀の演奏は時にロマンティックな方向にも振れ、そこがチャイコなどでは魅力になるわけだが、ここでもヴィブラートすらかけさせないような(まドイツ式といえばそれまでだけどソリストの「棒吹き」「棒弾き」はちょっと気を削ぐ)厳しい統制があるからこそ、リリカルで透明感漂うセンスに富んだ演奏がなしえているわけである。とくに聴き所は3楽章であろう。逆に、もっと破壊的に、突進する迫力が欲しかったのは4楽章だ。数々の即興的名演が産まれている「アッピア街道」だけに、相対的には「普通」という感じ。シュヒターらしい中庸さと言うこともできるだろう。オケは決してドイツ的な雰囲気が濃いわけではない。ただ、記譜外での音色変化に乏しく、無個性な感が否めない。解釈のせいでもあろう。総じて○。
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