チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第3番

グラズノフ四重奏団(Aprelevka)SP

意外だったのが中低弦の雄弁さ。新作ではなくマンネリの王様チャイコの古風な曲になると、ちゃんと弾くのだなあ(失礼)。発音こそロマンティックなそれであるものの、スタイルは実直で、面白味に欠ける。そもそも少ない楽想をこねくりまわすチャイコのやり方は、この曲においては魅力的な旋律の欠如という点でマイナスにしかならず、はじけたようなところがないと退屈になる。一楽章は突如夢見るようなワルツ主題があらわれてハッとするものの、しなくてもいい変奏をして渋味の中に溶け込んでしまう。二楽章は特徴的なリズムと下降音形がチャイコらしさを醸すがそれだけである。三楽章は一楽章とおんなじ。一楽章ほどには古典に倣ったような書法が鼻につかないのと、そこそこの旋律に幸福な和音で前半チャイコ好きにはアピールしよう。グラズノフ四重奏団はこの楽章では厳しくなり過ぎず、そこそこの表現で譜面を再現する。ファーストが歌う長い音符の、ヴィヴラートを伴う音程の不安定さは下手なんではなくて、そういう表現ではあるのだろうが、いかんせんSPの音では暖かみが伝わりづらい。単に下手に聞こえてしまう。後半の闇暗さはチャイコの性格的なものなのでしょうがない。最後、光明がさすような透明感のある高音表現はなかなかよい。四楽章は使い古された言い方だが、交響曲ないしバレエ終幕的な発想に基づくフィナーレで、この曲は一楽章のワルツとこの楽章の民族的高揚のためにあるので、あとはグラズノフ四重奏団がんばってくれ、という感じ。下手ではないが上手いとは言えない。第二主題の弦セレみたいな構造的なところをもっと高音を浮き立たせて聴かせて欲しかったが、録音上の制約か。
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