マーラー:交響曲第9番

テンシュテット指揮NYP(en larmes)1982/2/18放送live

日本でもFM放送されたものであり、ここでは本編以外拍手などカットされているので詳細は不明だが、混信めいたノイズが静かな場面で非常に耳障り。籠もって音域が狭く感じられ、いかにも80年代のステレオ放送エアチェック録音音質である。しかしなおテンシュテットの雄渾で粘り腰の九番の魅力は強力に伝わってくる。二楽章のいかにもレントラー舞曲らしい重々しく突進する動きもいいのだが、やはり一楽章に尽きるだろう。暗い情念の感じられる表現は時に極度にデフォルメされるも、バンスタのような個人的な表出意欲より、マーラーの音楽の包蔵するそのものを引きずり出しているようで、変な言い方だが、「ドイツ的な感情」を発現させているように聴こえる。漢らしく、弱々しい自己憐憫などなく、ただ諦めと荒んだ心が抽象音楽に昇華されてゆく。ニューヨーク・フィルがこのような(ペットの派手なミスが1箇所あるが)高精度の演奏をマーラーで成すのも珍しいように思う。バンスタの一部の演奏にも神懸かり的なものが残っているが、強いて言えばそれを下敷きにしたようなところもあり、例のファーストヴァイオリンへの「スル・タスト」奏法導入はまさにバンスタ解釈からの借用だろう。いずれ録音状態からも後半楽章の煮詰まり方からも完成された完全な名演名記録とは言えないものの、マーラーの九番はこういう曲だ、というのはこの人の「黒い演奏」とワルター晩年の「白い演奏」を聴けばわかる、それでもわからなければバンスタで肌で感じろ、といったところか。
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