ブラームス:交響曲第1番

ロジンスキ指揮NYP(SLS/columbia)1945/8/2-22・CD

原盤はテストプレスで実際に発売されたものではない模様(流通しているものは録音年月が違う)。状態は推して知るべし、ノイズにまみれボロボロで、SLS直販のCD-Rでも日本焼きCDでもまったく差はない。ロジンスキにしては直線的な推進力のみならず粘り腰の表現もきかれるが、世界史的にきわめて重要な時期に行われた録音~広島長崎への原爆投下と第二次世界大戦終結~だという特別なものは一切感じられない。いつものロジンスキスタイル、というか重量感の無い録音のせいかむしろ軽さすら感じさせる即物的なものだ。四楽章冒頭からなどいつもの引き締まった筋肉質のスタイルが緩んでいるように聞こえる。これはオケのせいだろうとは思うが、音は美しい、技術もそれなり、でもどこかよそよそしい。ブラスが音を重ねつらねヴァイオリンの主旋律に入るまでのくだりは、音がぜんぜん重なった感じが無く、数珠つなぎに吹いているだけで、何の盛り上がりもない。録音のせいと思いたい。弦楽器はたかまりを伝えてはくるし、木管も綺麗でうまいが、中音域以下があまりに弱い。加えてテンポも性急に流れがちで、変な焦りがある。あのロジンスキのセッション録音とは思えない緩い演奏だ。軽々しく旋律を撫でていくだけで、戦前のSP録音かと思うような「想像力を要求される」代物。終盤でやっとブラームスらしいアンサンブルの妙味が伝わってくるものの、この曲ではそのくらいはどうやっても伝わってくるものである、遅い。思い入れとかそういうものとは無縁、ロジンスキの志向が近現代の大曲でいかに自分の棒さばきを魅せるかにあり、古典志向の曲は後期ロマン派であっても、こういうことをすることがあるのだろう。影のない、でも明るく吹っ切ったわけでもない、ただの思い入れの無い録音。太平洋戦争への痛烈な皮肉か、という皮肉を書きたくもなる。
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