シェーンベルク:ピアノ独奏付きヴァイオリンのための幻想曲op.47

マカノヴィツキー(Vn)ノエル・リー(P)(meloclassic)1963/3/29live南ドイツ放送・CD

単にヴァイオリンとピアノのための幻想曲とも表記される。最晩年作であり先鋭さや厳格さより「音楽性」をとった感もあるが、それよりもかつてのウィーンへの追憶を抽象化したが如く重音の官能性はベルクを、とつとつと、時折走る点描的な表現による思索性はウェーベルンを想起させられざるを得ない。だが編成からしてもあくまで簡潔で、展開は依然シェーンベルク的でやや古風な印象もあり、晩年作にしばしば見られる焼き直し感や日和った感は全くしない。これは6分あまりの短い曲にも関わらず多くのことを学ばせる。今でも頻繁に演奏され、グールドの声掛けで録音されたメニューインの録音は有名である。現代作品にも優れた適性を示すこのコンビにおいては、硝子細工のように見通し良く生臭さのない、かといって血の通った生き生きとすらした印象を受ける。同じ盤に入っているストラヴィンスキーのコンチェルタンテとはえらい違いで、芯の通った楽曲となっており(むろんその技法に支えられたものだが)、心のささくれだったときに共感するシェーンベルクの音楽であるが、これは冒頭を除きむしろ現代に生まれ変わったロマン派音楽のような、何とも言えない味がある。何度でも聴ける音楽だし、もう理由を伝えるにはスコアの分析くらいしかないのかもしれないが、とにかく名曲である。そして、名曲であることをストレートに伝える完璧にシェーンベルク的な、否、ウェーベルン的な、豊穣にして簡潔な演奏である。余計な解釈もなく、計算でできるものではない。模範だ。それにしても良い音の奏者である。太過ぎず細過ぎず、品格ある色艶を安定した技巧のもとに煌めかせている。古典派も非常に上手く、ボウイングに絡めた細かいヴィヴラートの使い方が極めて上手い。
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