プレートル氏死去

「巨匠」などという抽象概念より、「個性的名匠」という敬称がふさわしい。明確な意思を持った「現役指揮者」として、幾度となく様々なオケと訪日したことも含みおいて、聴衆に愛された方だった。早くからフランス作曲家自作自演や大物ソリストの伴奏指揮者として、特に日本では知られていない秘曲の録音によってマニアには知られていたが、そのじつチャイコフスキーの交響曲など、ソヴィエトの「巨匠」が凶暴に振っていたのとは対極にある、高品質の個性的解釈を施した録音もEMIに行っていた。これを一般のマニアが認識したのはそう昔のことではなく、ロシアの大波が彼岸に引いたあと、軒並み中古LPの価格が高騰したことで私も再認識したおぼえがある。他のどの指揮者とも違う、不思議な軽やかさと鮮やかな立体感、しかしローマの松にみられるような(今はyoutubeで三つの楽章だけ観られる)激しい表現もまた可能であり、ニューイヤーコンサートで遅まきながら大々的に名前が知れたのも、この方の指揮者としてのポテンシャルの高さが、狭いレパートリーにとどまらないものであることを証明している。楽団員との良好な関係性の中で、その独自解釈を浸透させることのできる稀有の技巧家であったと聞く。ご冥福をお祈りする。

仏指揮者のジョルジュ・プレートルさん死去:朝日新聞デジタル

私の中では既に歴史的人物であったことを最後に告白しておく。最晩年まで旺盛な指揮活動をされていたのに無関心であったのは、私の不明によるところである。
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