ディーリアス:遅いつばめ(フェンビー弦楽合奏編、弦楽四重奏曲第三楽章)

バルビローリ指揮ハレ管弦楽団(EMI)1969版・CD

なんとも難しい曲で、はっきり言えば原曲を聴くべきである。原曲である弦楽四重奏曲もビーチャム監修の譜面が使われるが、これは四本以上の弦楽器を使って大袈裟にやる曲ではなく密やかに燕の旅立ちを見送る心象的な音楽で、こうも肥大化させてしまっては旋律の力が分厚いハーモニーの流れに負けてしまい、逆に和声のみ聴く音楽として割り切らないと、聴いてられない「恥ずかしい曲」になってしまう。繊細な和声そのものはディーリアスの真骨頂で半音階的に揺れるさまがワグナーとも一線を画した爽やかかつ諦観に満ちた独特のもので聴き応えがある。ディーリアス晩年の助手(以上の存在であることは何もディーリアスに限らず米英の大家ではたびたびあることだった)フェンビーの行為については賛否あるようだが、個別の三曲を弦楽合奏用に編曲して作った組曲に編入された(また弦楽四重奏曲全楽章を編曲し「弦楽合奏のためのソナタ」として自身で録音している)。バルビローリの録音についてはEMIではかなり編集したようなものがあり、実演記録とかけ離れた様式で神経質に整えられなめされたスタジオ録音(マーラー6番など)には違和感をおぼえる。お国ものであるRVWやディーリアスでも、弦楽器において「のみ」透明感、異様な調和を求めた感のする録音がある(自身がチェリストであるため弦楽器への要求が奏法の細部に至るまで、しかも楽曲によってそれぞれ異なったものまであったと伝えられる)。バルビ節と言われる特徴的な歌謡表現もむしろ抑え気味になってしまう。非常に残念な「タリスの主題による幻想曲」の録音の「継ぎ目」など、今はキレイにされているかもしれないが、カラヤンと同時代の人だったんだなあ、というところである。グリーンスリーブスも余り評価しない人がいる。とにかく響きの調和に神経質でかつボリュームがあり、現代的な意味で研ぎ澄ますことなく、ひたすら稀有壮大になってしまう。つまりこの曲もあんまりにも稀有壮大なのである。そんなにつばめが去るのが悲しいのか。原曲を知らないならこちらから聴いたらいい。原曲を知っているなら、あの悲哀を大声で叫びあげるような編曲に演奏なので、おすすめしない。いくらパセージによってソロやカルテット編成を混ぜ込んでも視覚的効果程度のものしか出ない。

そんな演奏なのに、なぜか末尾で綻びが出る。うーん。
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