チャイコフスキー:交響曲第4番

ストコフスキ指揮NBC交響楽団(CALA他)1941・CD

さすがに30年代レベルの音質でノイズも酷く、演奏様式も30年代量産したフィラ管との盤の一部にみられた、音色より「激烈さ」を重視する傾向が強い。極端で恣意的な表現はのちの微に入り細に入る柔軟な演奏とは少し違い、シェルヘンのように強い発声にデジタルな変化を付けるものだ。録音初期には敢えて激烈に発声しないと技術的制約から溝に刻めない時期があったが、ライヴでは伝えられる独自解釈を録音だと貧弱で明確に伝えられないからこその発想が残っているのかもしれない。ストコフスキは同時期の他の指揮者同様トスカニーニに感化されたような表現をすることもまた多くあった。これはNBC響なので尚更トスカニーニ的な「即物的な激烈さ」もまたある。音が冷たく硬質なのがまたフィラ管の生温さと違う明確な曲の印象ももたらす。同曲には一楽章派と四楽章派がいると思うが(全曲の統一感だの三楽章ピチカートだけの創意だのいうメリットは二の次)、私はだんぜん四楽章派で、この演奏は「どうしてお得意であろうソビエトでここまで出来る指揮者がいなかったんだ!」と怒りを覚えるほど極めて劇的に弄り倒され厳しく整えられた「我田引水様式」として、曲を知ろうが知るまいが誰でも「わかる」興奮系演奏として完璧だと思うが、退屈な一楽章最初の方、管楽ソロが突然珍妙としか言いようのない歌い回しをさせられ、そこから変な操作が細かく入ってくると、退屈さが失せていく。沈痛に落ちていくチャイコの鬱的退屈さも、ストコの「それじゃこれでどう?」という最早歌い回しの範疇を超えた「クリエイター魂」によって払拭されてゆく。頭でっかちな曲なので2楽章なんてさすがに印象には残らないが3楽章のピチカートは浮き立つようなリズムにオケの技術的メリットが引き出されシャッとした演奏に仕上がっているのもまたストコの憎いところだ。取り敢えず有名な録音で、NBC交響楽団の奇盤で知られたものではあるので、SP並のノイズ耐性があり、チャイ四が苦手な私のような方は是非聴いて楽しんで欲しい。
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