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コープランド:静かな都会

メージャー(trp)スペイヤー(コーラングレ)作曲家指揮ボストン交響楽団(SLS)1945?/3/10live

「静かな街(静かな市)」とも表記されるが日本語だと若干意味合いが違ってくる。大都会NYの夜の片隅でユダヤ人の少年と浮浪者の織り成す人間模様を描いた劇音楽の付随音楽として構想され、本来ピアノと管楽三本による室内楽編成であったものを、コーラングレを含む弦楽合奏+2本(二人の登場人物を示す)の編成として書き換えられた小品である。冷え冷えとした情景を示す弦楽器の全音符による和音、その上(もしくは下)で管楽器がやり取りするのが基調となり、基本はトランペット(少年)がわかったようなわからないような旋律を吹き通し、中盤で弦楽器が動き出しコーラングレ(浮浪者)と絡んでいく場面がさしはさまる。純粋に音楽として聴くとコープランドがわかりやすい方の作風によって西部の大平原を描写するさいに、弦楽器のピアニッシモで高い音域の協和音を伴奏する下でトランペット等管楽器に主題を吹かせるといった手法に近く(これこそ「アメリカ的表現」でありかつてアイヴズの得意とした方法である、原点は「中央アジアの平原にて」かもしれない)、作曲意図を知らないと都会ではなく田舎の印象を持つだろうと思うのは、この演奏だと中盤のコーラングレと弦楽合奏のやり取りが実に「ヴォーン・ウィリアムズ的」であり(簡潔な立体的書法で和声的に耳なじみ良すぎるからでもある)、木管ソロと弦楽器という暖かな音の重なり合いが感傷的に聴こえ、まるで優しいからだ。もっと劇的には変化に富んだものであり、これは「巧すぎる」がゆえの印象変化だろう。もっとも、冒頭からほぼひたすら最後まで剥き出しで吹き通しのトランペットソロの譜面の超絶さの前に、ソリストが少しとちったり息切れしたりするところも聴いて取れ、それは静かな情景の雑味にはなっている。自作自演なのでこれでいいのだが、個人的に悪い録音(40年代なので推して知るべし)であってもこの音楽的にまとまりある演奏のほうが整えられたがゆえ硬質の新録音より好きだけれども、もともとの劇音楽としてのテーマは薄くなっているかもしれない。録音年はクエスチョンマーク付きだそうである。正しいとすると昭和20年3月10日。東京下町が最大の劫火に焼かれた日。太平洋戦争勃発が報じられるとシンシナティのグーセンスはいち早くコープランドに兵士を鼓舞する音楽を依頼する。しかしコープランドは兵士のためではなく、コモン・マンのための吹奏楽を返した。それが作曲家のみならずアメリカ合衆国の20世紀前半に生み出した代表作「庶民のためのファンファーレ」である。
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