ディーリアス:ブリッグの定期市

ビーチャム指揮交響楽団(columbia/somm)1928/12/11、1929/7/10・CD

フルートの序奏からさっさと始まりオリエンタルなフレーズ(五音音階は田舎のイギリス人にとってはオリエンタルでもなんでもないだろうが)を強調することなくいきなり進む。しかし、やはりこれは50年代の録音同様に冒頭だけで、短い民謡旋律に注意深い変奏を加えていく中身は旋律に耽溺しまくる。この曲はディーリアスが初期に簡素なオーケストレーションでただ民謡を洗い直すだけだったり、全盛期に常套的な濁った和声を駆使し半音階で煙に巻いたりしたものとは異なる過渡的な時期のもので、元となった民謡を歌曲翻案したグレインジャーの直接的影響も大きいだろうが、薄く明るい響きを保ちながらハープなどフランス風の綺麗な装飾を加え木管中心で進めつつも、フランスのそれとはまったく異なる優しい民謡は旋法的な特性を上手く引き出されて、まったくの旋律音楽として編曲され、部分的にはのちの半音階的な曇りを持ち込まれているとしても世俗性を感じさせない。それだけに、ここまで煽ってもあまり臭みはなく、ただただ感傷的な風景を想像させるのみである。田舎の市場の音楽だが、それは都会の想像する理想の田舎でもあり、ビーチャムは生粋の都会人だから単純な愛の歌をこう抽象化してなお感情を煽れたのだろう。良い音。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

岡林リョウ

Author:岡林リョウ
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム
リンク
カテゴリ
TAG

ストコフスキ 四重奏団 フィテルベルク ミュンシュ トスカニーニ コンドラシン バルビローリ 作曲家 モントゥ アンセルメ 作曲家演奏 ブール エネスコ ガウク ミトロプーロス ロスバウト サージェント オイストラフ フランセ ワイエンベルク ORTF アンゲルブレシュト サモスード デゾルミエール イワーノフ ゴロワノフ ムラヴィンスキー ピエロ・コッポラ モイセイヴィチ ベーム セル クーベリック カルミレッリ シュヒター バーンスタイン ビーチャム パシャーエフ ツィピーヌ アルベール・ヴォルフ パレー ウォレンスタイン アラール オーマンディ サモンズ 山田一雄 ロストロポーヴィチ シェルヘン モートン・グールド ギレー モイーズ 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード