ウィリアム・シューマン:交響曲第3番

クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団(SLS)1941/10/17初演live

師ハリスの「アメリカアカデミズムの一派を象徴する重厚な作風」に似るが、出自がバンドを組みポップス畑からキャリアを始めたということからもわかるとおりハリスより派手で、届きやすい効果を狙ったところが受ける要因になっていたかと思う。この作品はバロック様式を念頭にしたといい、マニアックに構造的に書かれわかりづらいところもあるがそれはあくまでスコアを見るからそう思うのであって、アメリカ同時代交響曲の中では踏み外さないうちに新味も取り込んだ響きと比較的明瞭なメロディがあり、後半楽章では生硬ながらアイヴズ的な野心の感覚に裏打ちされた(この作曲家との関わりはアメリカ変奏曲の編曲で有名)ヒンデミットふうの盛り上げ方を持ち込んでおり、さらに中音域の抜けた響きが澄んで明瞭な印象を加えて、けして悪くはない。のちにショウマンシップを発揮しテレビタレントとして活躍したイメージが、知らないはずの私にさえあるが、この時点ではトップクラスではないだろうがロイ・ハリスの脇にいて先を狙う力強い楽才を発揮しかけていたのがわかる。スネアの伴奏の上でジャズのリズムの無調風フレーズを吹かせていき、そこから逡巡しつついわゆる「ボレロ的展開」に入ると、いやボレロほど単純ではないが、目まぐるしく映画音楽的に盛り上がる。クーセヴィツキーは前半楽章(第一部)において素晴らしく色彩的で、美麗な響きを繰り出し、こんな緻密なハーモニー整えられる人だったんだ、と驚嘆させる。ティンパニ打撃も派手。鼻歌も聞こえるので乗っているのは確かだ。元のハーモニー自体の単純さはさておき、楽曲的に後半は響きより構成と動き主体なので、少し時間はかかるが、フィナーレの胆汁気質なハデハデな終わり方はクーセヴィツキーらしい剛直なフォルテッシモな感じである。聴衆は少し戸惑い気味だが、クーセヴィツキーは満足したものと思われる。楽団に瑕疵がない。
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