ウォルトン:チェロ協奏曲

○トゥルトゥリエ(Vc)ベルグルンド指揮ボーンマス交響楽団(EMI/warner)CD

ウォルトンのチェロコンというとおもむろの闇、憂愁の旋律に思索的な響きを交えながら複雑な運動を続けるソリストといったヴィオラ協奏曲よりも暗くわかりにくい曲で、高度な技巧に裏付けされた力強さと意志的な解釈表現が必要とされると思っていると、こういう調和のとれた緻密な演奏が出てきてびっくりしたものだ。トゥルトゥリエというソリストは私にとっては未知の領域であまり印象にも残らなかったが、ここではピアティゴルスキのような長所と短所の入り混じった様相は示さない。ベルグルンドがシベリウスの影響いイギリス音楽をもう少し記録に残しておいてほしかったと思うほどに、和声と構造によく理解を示し意外とテクニシャンな楽団を相手にソリストとの融合をはかり、音色的な統一感や大きなスケールにおける緩やかな流れはウォルトンが本来書いていた楽曲の本質(自作自演では指揮の硬さからオケのやりにくさが伝わる)、その聞き方というものもわからしめる良演となっている。これを聴くとウォルトンの一応4つある協奏曲でヴィオラは別格として、長ったらしく同時代音楽を剽窃し技巧に走ったヴァイオリンや、それらとは毛色の違う生硬なピアノよりすぐれた作品として認識できる。悠々自適というかもう代表作は作ったし依頼されれば報酬と気分次第で地中海から派手な曲を送るみたいな作曲的晩年の気配はない。最初に聞くのに向いている。
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