ディーリアス:チェロ協奏曲

デュ・プレ(Vc)サージェント指揮RPO(EMI他)1965/1/12,14・CD

とりとめもなく比較的高い音域で途切れもせず歌い続けるチェロと和声的に絡み合いまた途切れ途切れに支えていくオケ、24分半あまりをこの調子で単一楽章で通すというのは弾く方ももちろんだが聴く側は睡魔を禁じ得ない。美しいしきちんと構成され有機的に絡み合った要素の集合体なのに、ぜんぶ同じに聴こえる。ゆえに演奏機会は少ないのだろう(ヴァイオリンとて同じようなものだが)。平易さが特徴的なのでデュ・プレもじっくり取り組んでおり表情をつけようと頑張っている。デュ・プレにしては太くしっかりした音だ。オケは職人的にうまくつけてくる。半音単位で重なってゆく分厚い響きを綺麗に整えあげてディーリアスの音楽を損なわないようにしている。半音で揺れる旋律の気まぐれな連なりの中にはモダンな雰囲気を持つ調性の不明瞭なものもあり、取り出してみると部分部分は面白いのだが、まあ、普通はそんなこと考えず「浸るため」だけに聴くBGMかもしれない。こんな綺麗な曲書いておきながら渡仏後はピカソたゴーギャンだムンクだミュシャだと並み居る20世紀の立役者たちと社交的に付き合い、羽目を外すことも…それが死へつながる病を得てしまう原因…多かった。画家イェルカと出会ってからはその行動はストイックになったようだが、逆に「ディーリアン」しか相手にしないこのような曖昧模糊とした耳触りの良いだけの黄昏をえんえんと書いてしまっても文句を言われなくなったのだろう。長いだけに聴きやすい部分、前衛的な部分も盛り込まれ、ラストでは一時期親しくしていたヴォーン・ウィリアムズを思わせる田園の中に消えてゆく。佳作に佳演、これ以外あっても同じになるだけか。
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