ラヴェル:3つのヘブライの歌

グレイ(Msp)作曲家?(P)(polydor/cascavelle他)1932/6パリ・CD

ほとんどの復刻が二曲抜粋なものの(作曲時期が1910年と14年に別れるせいか)、いずれも短いので一曲欠けるくらい些細なことと考えれば自作自演として普通に聴かれてきた録音。だが、cascavelleが三集にわたって大成したラヴェル集およびマドレーヌ・グレイ集としてCD一枚にまとめた音源のデータには従来と異なる記載がある。グレイ夫人の伴奏として自演と言われていたが、無名のピアニストへの指示だけで自分では弾いていない(ラヴェルが自作自演したものはピアノロールしかない)可能性が強いとのこと。録音技術への不審があった、などどういう根拠なのかわからないが、「マダガスカル島民の歌」より小規模でぐっと単純なので誰が弾いても伴奏の範疇でしかなかろう。明瞭で曇りのないタッチ。グレイ夫人の歌唱は癖があって嫌われたそうだが若い頃は正確で音域幅があり、同時代の作曲家に好かれた。それはカントルーブより捧げられたオーベルニュの歌(録音は抜粋、cascavelle等のグレイ集にも収録)からも、復刻の少ない戦前戦中SP録音からも窺い知れる。ここでは単純な歌を恐らくわざと崩して歌っていて民族性を出している。ヘブライ音律が支配的なマジェスケはピアノもろともさほど個性を必要としていない。2分弱の同曲のあと、ラヴェルにはしばしばあることだが不格好に長いカディッシュが入る。3分半あまり、繊細ではあるがピアノは少しも難しくない軽いタッチの歌である。民族的にやるべきところだろうが、この演奏はわりと真面目で面白くない。1分に満たない終曲「永遠の謎」こそこの曲集の要とも思うが、よくレストアされているとはいえ音数の少ない曲の神秘的な叙情を醸すには分が悪い。
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