ウォルトン:ファサード全曲

イディス・シットウェル、ピーター・ピアース(朗読)アンソニー・コリンズ指揮イングリッシュ・オペラ・グループ・アンサンブル(alto他)1954・CD

全曲は珍しい。抜粋の朗読なしだとウォルトンの出世作という知識と短いパロディ音楽の寄せ集めという面から、完成期のウォルトンとは異質の作品と捉えられてしまいがちだが、全曲だと諸所の異国的な音律に既にウォルトン特有の書法が現れているのがわかる。素直な旋律を現代音楽(後半ではジャズ)風に歪める諧謔性はウォルトンそのものだ。ほぼ室内楽編成で簡素なところくらいが違いと認識されるものだろう(改訂は確かなされている)。朗読にもさまざまな形があるが詩の作者を含むこの演奏ではいきなりラップで始まる。音楽のスピードにあわせて完璧に噛み合った韻律を楽しむ趣向なのである。とくにピアースはさすが口が回り歯切れ良い。その音楽は朗読と切り離せないがジャズふうのSomething Lies Beyond The Sceneなど確かに単品として聴けるもので、ハリウッドのミュージカル映画を思い起こさせる雰囲気がある。1分しかないけど。そのあとのアルトサックスやミュートされたペットもジャズふうというより現代的なカッコ良さを演出するジャズそのものを志向している。この演奏はモノラル末期の良好な音質で、作曲当時の雰囲気を残し、コリンズならではの自然さを纏った精度、力感ある演奏ぶりも耳に自然に入ってくる。変なクラシカルな処理、その逆の処理もなされず、どこが聞き所なのかわかりやすく聴きやすい。ノイズもなく、お勧め。
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