プロコフィエフ:交響曲第7番「青春」

ロストロポーヴィチ指揮フランス国立管弦楽団(erato/warner)1986/6・CD

極めて精緻なデジタル録音で演奏も今もって一位に推す人がいるくらいのものである。かつて色調の濃いソヴィエトオケの録音ばかり聴いていた自分には穏やか過ぎて印象に残らなかったがそれは録音があまりに広大な音場を形成し音を遠くしてしまったのと、明るく叙情的ではあるが既に無個性を得たオケのために、本来の細やかでよく練られた解釈が、素人にはあまり響いてこなかった、曲が簡素なだけに物足りなさを感じさせたことがある。内声までしっかり配慮が行き届き構造面もよく聞き取れる。しっとりした落ち着いた音楽は、若い頃にはわからなかった、この偉大な音楽家の歩んできた道のりの険しさの裏面なのである、ということを今あらためて実感させる。スピードが落ち着きアタックが弱めなのはセッション録音であることも理由に挙げられるだろうが、これは「現代の世界的な流れに乗った最新の演奏」であり、旧弊なローカルな音楽を志向していない。まさにロストロ先生らしさなのである。激しい表現も避けているわけではないが、そのチェロ演奏同様「違和感を感じさせず」スムーズに圧力を強め、または弱め。空疎な響きはまったく出させない。瑣末な操作は排除し、壮大な構成感のもとに正攻法で組み立てられている。終楽章クライマックスの壮麗さと、最後の寂しさは聞きものだ。四楽章を通して、些かの不安も心地悪さも感じさせないが、その中に、柔らかいニュアンスの中に、ピアニッシモの中に、僅かな短調のフレーズの微妙な描き方に、友人プロコフィエフ自身も含む、激しい時代の波の中で翻弄された音楽家への遠い思いが、詠嘆のフレージングとなって聴き取れるのは、けして贔屓目に見てのことではないだろう。最後はプレストを省略した静かな版を選んでいる。ペットの挽歌で終わる。アシュケナージなどとの違いははっきりしている。個性を主張したり音楽のちからを見せつける演奏ではないが、現代の演奏レベルと、古きものへの大人な思いを感じさせる「大きな」演奏。
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