ガーシュイン:パリのアメリカ人

クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団(columbia/erato/warner)1949/2/15-16シャンゼリゼ劇場・CD

SP期の珍しいセッション録音で、しかもガーシュインのこの曲というのはかなり少なかったのではないか。パリのアメリカ人と言いながらパリで録音されるのはグローフェのオーケストレーションに更に編曲を加えた「ジャズ版」ラプソディ・イン・ブルーくらいで、一応、ガーシュイン単独の管弦楽曲としては、何の素材を流用した、あるいはする前提にせよ円熟期の代表作として「クラシック音楽として」纏められた作品で木琴を叩いた(これが上手いのだがほんとだろうか)自作自演もあるくらいで、個人的にもジャズ・クラシックの金字塔と思っているくらいだから、車のクラクションなどすでにサティで飽き飽きしていたパリの聴衆に受けなかったのかどうかわからないが、やっと戦後に、しかもこの後もあまり演奏されていないのは不思議なものである。パリを揶揄している側面もあるからだろうか。評論家ドビュッシーにしても案外と音楽そのものより背景を重んじる芸術の都である。前置きが長くなったが、アメリカ人はドビュッシイズムの影響下に現代音詩というものをわりと多く書いている。これもその範疇に入れられるだろう、即物的表現より感傷的な響きと何より旋律の美しさ、それらの構成の明瞭さが際立っており、どの作曲家のものより優れて耳に残るし、悪口を書くのも難しい。ジャズとクラシックの融合(併合)をはかったポール・ホワイトマンからはすでに遠く離れた「ガーシュイン」という音楽ジャンルになっている。ミヨーがフィードラーに強いられて書いた凡作「ニューヨークのフランス人」を見ても、ミヨー自身ヨーロッパに帰ってジャズをクラシックにも取り込みうるイディオムを持つものとしていち早く作品化した先駆者だっただけに、長年かかって世界戦争二度も終わってまだ、クリュイタンスにしか許されなかったのかという…つまりは著作権的なものやレコード会社の都合もあったということか…録音事情に、ミヨーがそんな感じになってしまっていたのも仕方ないかとは思う。とまれ、これはけして状態はよくないが、従来通りブラスセクションにはジャズふうの奏法を取り入れているところもあるけれども、クリュイタンスらしくあくまでクラシック音楽として整え、血気盛んな(?)オケを上手にさばきながら、今にも通用するレベルのガーシュインにまとめてきている。根本がジャズであることを下品な響きで強調したり、スコアの再現を精緻に行って却って旋律音楽の底浅さを炙り出してしまったりなどしない。うまいところで「寸止め」している。時代としてはよくやってくれたという気はする。すくなくとも、このまだ懐かしい響きを残したオケで。
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