マーラー:連作歌曲集「さすらう若人の歌」

フォレスター(Ca)ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(SLS)1958/12/27live

改訂は重ねられたものの既にして完成されたマーラーの歌曲世界、円熟した管弦楽技法を実感させる四曲である。これは歌曲ではあるがまず伴奏無くして曲たりえない絡み合い、まして管弦楽伴奏となると、二、四曲目で共通の主題を使用したタイタンに繋がるスケールの大きな楽曲になる。ミュンシュはマーラーをほとんどやっていない。歌曲集2つに交響曲第10番一楽章くらいである。だからこの曲はミュンシュがもし第1番一、三楽章をやったら、という「もし」を少し実現するものとなっていて、しかも(まずフォレスターは安定した歌唱力を提示していると置いておいて)とくに前者は浮き立つようなリズムが、調性こそ違えどタイタンの一楽章をこうやってくれたら素晴らしく愉悦的なものに仕上がっただろう、と思わせるくらいハマっている。後者も歌唱に沿ってではあろうが止揚するテンポがロマンティックな抑揚を、しかし明確にデジタルに付けていて、最後など退嬰的にしぼむ表現を上手にコントロールして秀逸である。冒頭の一曲目も同じような、まるでウィーン風を装うようなテンポの揺らし(コントロールされている)がミュンシュらしくないくらい積極的にマーラーをやろうとしているように聴こえる。まあ、しかし正規セッション盤があるのでこの音の悪いモノラルを聴く必要があるとすれば最後の拍手くらいか。演奏自体は既に完成された揺るぎないものに感じた。これはフォレスターも同じ。
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