フォーレ:弦楽四重奏曲

○ギレー四重奏団(POLYMUSIC)LP

じつはこの曲、曲名をダイアモンドのカルテット3番と勘違いしていて(どういう勘違いだ)、終始「渋くて古風な動機だなあ」とか「フォーレの移調・転調そのまんまじゃん・・・素晴らしいけど」とか「ファーストがえんえんと旋律を弾きつづけるところが多いなあ、終楽章は若干込み入ったフーガが出てくるけど構造的に複雑というほどでもないよなあ」とか「きほん旋律音楽だけど、旋律自体の魅力が強いのでこれはこれで成立している・・・ただ、主題自体が少なくて揺れ動く調性でもたせているのがくどい」とか、結論として「これはロシア国民楽派の折衷派以降、ドビュッシー前(フォーレやイベールやルーセルも型式感という意味では前とする)のフランスの弦楽四重奏曲の影響の強い、隠れた名作」と書こうと思ったらクレジット間違ってた。。なんといってもファーストのギレーの音色が優しく心強い。雄渾でもあり、それがチェロと絡むときにチェロも同じ音色でまったく融合し、結果として全楽器がギレーの音にそろえているため非常に完成度の高さを感じさせる。技巧の曲ではなくハーモニーの曲でも必ずしも無いので、そういったところを如何に補完するかといった部分では純粋に旋律表現や移調の鮮やかさ(中間楽章での無限に転調し高揚していきまた羽根を休めるように収まる幻想的な移ろいの繰り返されるさまは今思うと確かにフォーレだよなあ・・・フランクのエッセンスを凝縮して抽出したような非常に感動的な展開がいくつかあります)だけで聞かせる、言うなれば一本の音線でどれだけ表現しきれるかといった横の流れが重要なのであり、これはギレーだからこそなしえた功績は大きいだろう。全般として○としておくが、フォーレ晩年作の演奏記録としての魅力は相対的にも非常に大きい。名演。
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