ドヴォルザーク:チェロ協奏曲

ロストロポーヴィチ(Vc)ジュリーニ指揮フィルハーモニア管弦楽団(ICA)1962エジンバラ音楽祭live・CD

ICAはあまり新譜を出さないが時折、完全初出のライヴや希少音源を発掘してくるので侮れない。メロウでねっとりしたジュリーニ、穏健なテンポ設定にロストロポーヴィチも合わせたように丁寧に弾いていく。技巧的には何の不安もないが、この盤はデュ・プレがメインとはいえ、「おまけ」扱いの音源である理由は録音の悪さだ。モノラルは言うに及ばずその中心点が左にずれ、環境雑音があり籠もっておりかつ一楽章に非常に耳障りな小さなパチパチノイズが入り続ける。パチパチというより圧縮失敗したデジタル音源のような嫌な音だ。ダイナミックで激しい演奏なら気にならないが緩やかテンポのカンタービレの指揮者のスタイルに沿った、一歩引いた演奏となるとそこに耳が行かざるを得ない。ボウイングの妙を「じっくり」聴かせるニ楽章はジュリーニとのセッションならではで、憂愁の音楽の演出はうまくいっている。ジュリーニのオケ繰りの上手さも光るが、陶酔的なテンポ設定に反してイタリアというよりドイツ風の堅牢な響きも特徴的。ドヴォルザークだからという面もあろう。録音ノイズも少ない。三楽章はノイズ復活するが、音楽が激しくなるとノイズが大きくなるのは圧縮音源にありがちなのでこれも元は圧縮音源なのだろうか。ただ一楽章ほどではない。ロストロポーヴィチの技巧を「じっくり」堪能できるテンポで、こういう解釈はスタジオでは詰まらなくなるのだが、ライヴだから一回性の緊張感がそうさせない。チェロが大きく捉えられているので細かく聴きたい向きでも他の録音瑕疵を押して聴く価値はある。オケも張り切った音が清々しい。このテンポだがライヴなので一、三楽章で各一箇所音を曖昧にとってしまったりニ楽章で一箇所とちったりはしているが、気づいたのはこのたった三箇所である。前者はマイクの問題かもしれない。三楽章はひたすらメロディを堪能すべし。コンマスとの絡みでのオケの量感が絶妙でここは絶品。フィルハーモニア管弦楽団の力量を知らしめ、他の指揮者がいかに無頓着に「二人のソロの絡み」にしてしまっているかがわかる。陶酔からしっかりテンポアップしてブラヴォのうちに終わる。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

岡林リョウ

Author:岡林リョウ
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム
リンク
カテゴリ
TAG

ストコフスキ 四重奏団 フィテルベルク ミュンシュ トスカニーニ コンドラシン バルビローリ 作曲家 モントゥ アンセルメ 作曲家演奏 ブール エネスコ ガウク ミトロプーロス ロスバウト サージェント オイストラフ フランセ ワイエンベルク ORTF アンゲルブレシュト サモスード デゾルミエール イワーノフ ゴロワノフ ムラヴィンスキー ピエロ・コッポラ モイセイヴィチ ベーム セル クーベリック カルミレッリ シュヒター バーンスタイン ビーチャム パシャーエフ ツィピーヌ アルベール・ヴォルフ パレー ウォレンスタイン アラール オーマンディ サモンズ 山田一雄 ロストロポーヴィチ シェルヘン モートン・グールド ギレー モイーズ 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード